IT翻訳 Nobuyuki の仕事部屋

ボランティアでソフトウエアーローカライズのために翻訳をしている。

がんの告知とはまた

2007-04-17 06:48:36 |  Mozilla Org.

3月22日は忘れられない日となった。

人生で、不幸は前触れもなくやって来る。

近隣のある公立病院でがんの告知を受けた。食道がんである。

3月15日に内視鏡の検査をうけ、食道と胃から組織を摘出し、その細胞の検査結果から、胃の組織は良性で全く問題はなかったが、食道のものは悪性ということだった。

ただし、『不幸中の幸い(お医者さんの言葉によると)』は進行がんではなく、初期のがんであるから、内視鏡による手術でとれるし、浸潤(しんじゅん)もないであろうということだった。そして、診断書を提示され、セカンドオピニオンを求めることもできると言われた。もし、その公立病院で手術をするならば、関連の大学病院から内視鏡手術の専門のお医者さんを呼ぶ手当てをしていただけるとのこと。

私はその場で、処置の取り計らいをお願いした。がんセンタなど別の病院で、再度検査をする時間と労苦が大変に思えたからだった。それに、告知をされたお医者さんは、たまたまその病院の院長先生であったが、実にさりげなく、たとえがんでも現時点ではフェータルな問題でないことを説明いただけた。

実際その後の精密検査(エコーとCT検査)では、がんの転移や浸潤は認められなかった。

そして、内視鏡による切除手術を受けるために本日入院する。手術は明日で、一週間程度の入院となる。

実は、その公立病院でがん検査のための内視鏡検査をうけることになったのには少々込み入った経緯がある。

昨年の6月ころから、右胸に不快感や違和感を覚えるようになった。それは、食事をした後などに感じることもあった。痛みではないが、嫌な感じという程度である。そこで、昨年の8月に別の病院の消化器内科で、内視鏡検査を受けた。結果は問題なしということだった。もともと、慢性的に胃痛があったので、薬を処方していただきそれを服用した。ところが、今年になっても右胸の違和感や不快感がとれないばかりか、程度が強まったような気がしてきた。病院でその事を話したが、同じ薬(タケプロン)を処方され、薬を増やすような手当てをされた。

実は、私は今から30年ほど前、大学生の頃アカラジアという病気で、当時通っていた大学の付属病院で手術をうけたことがある。この病気は一般には知られていないが、大変厄介な病気である。食事ができなくなるのである。食べても胃にものが到達しない。ビールを飲むと鼻から戻ってくる。当時何も知らなかった私は、自分の身体に起こった変化に大いに戸惑った。それまでは、ごく普通に食事をしていたものが、ある日を境として、食べ物が徐々にのどを通らなくなっていくのだから。若いながら、この世の終わりだくらいに感じていた。

手術で嚥下困難の状況は改善されたが、この病気には完全治癒はないようだ。程度の差こそあれ軽度の嚥下困難はその後も残った。それに慢性的な胃炎や食道の炎症は継続した。『アカラジア』は食道がんの遠因になるという話も聞いていた。タバコをすう人が肺がんになりやすいように、食道がんになる可能性が高くなるそうである。

そんなわけで、最初の病院の診断になんとなくしっくりとしなかったので、別の病院を探すことにした。インターネットで、消化器外科で食道の専門医のいる病院を見つけ、診察を仰いだのが、2月の末ごろである。

内視鏡検査で食道を中心に見ていただいた。専門的な話になるが(以下の話はお医者さんから聞いたままである)、ルゴールという薬剤を食道内部に散布して、粘膜の変化を見る。正常な粘膜であれば、赤く染色される。染色されないところがあると、なにか問題がある。実際検査で、そのような部位が見つかって、そこから組織を採取された。その時点で、悪性かどうかわからなかった。お医者さんの話では、なんとも言えないとのことだったが、ひとつはがんであっても、進行がんではないので・・・・と言われた。

3/22日に家内と一緒に結果を聞きに行って、悪いほうの予感が的中してしまった。ただし、お医者さんは現時点では重篤な状況でなく、内視鏡で簡単にとれると言っていただけた上、その後の精密検査の結果も悲観する内容でなかったので、少しは慰められる。しかし、この1ヵ月のあいだ、不安な思いに悩まされてきた。食道がんは、進行が早いとも聞くので、もっとすぐに手術できないのか、やはりがんセンターに行ったほうがよかったのかなどなど。しかし、こうなった以上じたばたしても仕方がない、と思い直して、ふつうに仕事をして、子供の引越しなど手伝って、非常にあわただしくすごしてきた。

そして、本日入院する。あとは、運を天にゆだねるのみである。