星に願いを

　一つ目の治療が終り　まだ小さいと思っていた二つ目の虫歯のレントゲンを撮ったら思ったより大きかった。
　治療が始まり麻酔の注射を行ったとき　ディズニーの映画音楽が流れました。
　　　　　(痛みを和らげるため　針を刺すと音楽が鳴る仕組み)
　小鹿のバンビ　白雪姫　ダンボ　ピノキオ　１０１匹わんちゃん　美女と野獣など鮮明に心に浮かんだ。
　女子職員に聞いたらГ星に願いを」と教えてくれた。
　治療の苦痛も忘れ　思い出に耽った。

　治療中待たされた。
　待ちくたびれて備付けの手鏡で自分の顔を見た。
　シミだらけ　シワだらけ　透析やけの浮腫んでいる顔　　とても生きている人間の顔とは思えない。

　もし私が野生の動物だったら？　と考えた。
　病気持ち入うえ虫歯になり痛くて食事がとれない。野生なら確実に死んで行くのだろう。

　人間社会に住んでいるにしても、今現在が　死ぬタイミングとしては最良だと思われる。
　　これ以上長生きすれば人に迷惑をかけるのは必至である。

　でもこればっかりは　《　星に願っても　》　自分の思うようにはならないらしい。
　ならばいっばい長生きして　いっばい人に迷惑をかけてやるか！
　　憎まれっ子世にはばかる　悪い奴ほど良く眠る。