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世界はやがてジャパネスクの時代を迎える(非公式)

安倍総理も知らない、シリア問題の真相(下) ~金融資本主義の根源にある「本当の構図」とは?~

2014-02-23 | 米欧・枠組み・金融資本主義

原田武夫です。おはようございます。

引き続き揺れ動く中東、とりわけシリアの情勢。
アサド大統領は「今後も米軍による軍事攻撃はあり得る」と言いだしました。なぜなのか??何が一体狙いなのか??

「世界史の刷新」の方向性を知りたい全ての皆様に向けて。
昨日アップ致しましたコラムの「後編」を、本日も東洋経済オンラインにアップして頂きました。”真相”はここに書いてあります。

どうぞご覧ください!

http://toyokeizai.net/articles/-/20279

 

https://www.facebook.com/iisia.jp/posts/544777212260171


 

原田 武夫:原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)代表取締役
2013年9月27日

今回の「シリア『化学兵器』騒動」に関連して(→前回のコラムはこちら)、わが国の大手メディアは全く語らないものの、ドイツ語圏を中心に欧州系メディアで一斉に流布され始めた情報が一つある。それはこの騒動を最終的に収めることになった「シリア・アサド政権による化学兵器禁止条約への加盟」という提案は、ロシアのプーチン大統領が発案したように見えるが、その実、ポーランドのシコルスキ外務大臣が関係各国に対して働きかけたのがきっかけであったというのである。

ポーランドのシコルスキ外務大臣の「正体」

本人もそのことを公言しているが、なぜかわが国の大手メディアは一切キャリーしない。その結果、「安倍総理は今回の騒動を通じて対米追従外交からは一戦を画し、ロシア寄りの路線を取った」などという「お茶の間インテリジェンス評論家」による“独自分析”が飛び出す始末なのである。

「なぜポーランドが関係あるのか? 全く無関係なのではないか」

そう思われた方には是非一度、外務省が作成したシコルスキ外務大臣の略歴をご覧いただきたいと思う。そう、「この外務大臣は一体何人なのか?」という経歴の持ち主なのである。

実はこの我が国外務省が作成した「略歴」には書いていないことが一つある。それは、シコルスキ外務大臣が実は英国に「政治亡命」した経歴を持つということだ。英国に「英語学習のために留学」していた同外務大臣は18歳であった当時、祖国ポーランドで戒厳令が布告されるという事態に直面した。そして彼は英国に対して「政治亡命」を申請。1982年にこれが認められたというわけなのである。

これだけでも十分「不思議」なわけであるが、もっと不思議なのはその後の展開である。名門オックスフォード大学に進学したシコルスキ外務大臣は卒業後、英国紳士(ジェントルマン)たちだけが入ることの許される「紳士クラブ」に入会する。

実はこの同じ「紳士クラブ」に現在のキャメロン英首相が属していたのである。そして1989年にベルリンの壁が崩壊し、祖国ポーランドに帰国するまで、シコルスキ外務大臣は有名紙「オブザーバー」等の記者・特派員として英国メディアにおいて大活躍したのであった。

金融資本主義の根源にある「本当の構図」とは

昨年(2012年)秋以降、最新刊である拙著『それでも『日本バブル』は終わらない――残された2年間ですべてが変わる』に至るまでの間に私の書いた書籍をじっくりとお読み頂いた皆様はこのように聞いて必ずやピンと来ているのではないかと思う。それらで書いてきた「思考の補助線」を改めてここで再現してみよう:

 

●「ベルリンの壁の崩壊」「東欧革命」をもたらしたのはヴァチカン・マネーであった。すなわちヴァチカンが我が国銀行関係者を経由してパナマに送金し、そこからポーランドの反体制組織「連帯」へと大量のマネーを注入。これが今度は東欧各国にあった反体制組織へと流されることによって一連の「体制転覆」が実現可能となった

●こうした動きの背後にいて、全体の戦略図を描いているのは、英国そのものとも独立した存在であるロンドン・シティ(City of London)である。その主人公たちと密接不可分な関係にある英国紳士(ジェントルマン)たちが寄り集う場所が「紳士クラブ」であり、そこでの日常的なやりとりの中で前者の意思は後者へと伝達され、あるいは物事が決められ、実行へと移されていく

●これが現在の金融資本主義の根源にある「本当の構造」である。その延長線上に作られた道具、あるいは舞台装置が「国民国家」なのであり、それ以上でもそれ以下でもない。またこの「本当の構造」との比較で言うならばいわゆる“超大国”として知られる米国であれ、ロシアであれ全くの張子の虎でしかない。そしてそれを率いる首脳たち(オバマ米大統領とプーチン露大統領)が気にしているのはこの「本当の構造」の意向であり、これに従う限りにおいて、彼らの政治的な延命は確保される

 

これら3つの「思考の補助線」を頭の中に引くことで読者の皆様は、その延長線上でシリアの「化学兵器」を巡る騒動を“正しく”分析することが出来るはずだ。つまりそこで「化学兵器禁止条約」という解決のためのアイデアの震源地がポーランドであったことには至極意味があったのであり、しかもこれを米ロ両国に分かるように拡散させたのがシコルスキ外務大臣であったことにも重大な意味があったのである。

さらに言うと、だからこそシリア情勢の緊迫化を前にしてローマ教皇フランシスコは繰り返し「軍事介入はいけない、あくまでも平和的な解決をすべきだ」と述べていたというわけなのだ。そして何よりも英国議会(下院)において対シリア軍事介入の可否について採決が行われ、「僅差」で否決。キャメロン首相が苦渋の決断といった様子で「民主主義の決定には従わなければならない」と述べたことも、ヒソヒソ声で紅茶をすすりながら語り合う場所である「紳士クラブ」でシコルスキ外務大臣と同首相がつながっていることを思い起こせば、全くもって理解できるのである。

ちなみに「軍事介入を決定」と決めたはずのオバマ政権に対して、「シリアを化学兵器禁止条約に入れることで鉾を収めるべしというロシア提案を受け入れるべきだ」と説得したのはイスラエルだということになっている(少なくともそのようにイスラエルの大手メディアは大々的に報じている)。だが、そのことだけをとらえて「シリアの『化学兵器』を巡る騒動が波及することを恐れたイスラエルが米国を説得した」などと簡単に分析して済ませてしまうのでは全くもって素人の議論である。

なぜならば8月31日に行った「対シリア軍事介入演説」を行う直前に、オバマ大統領自身が誰にも相談せずに演説草稿に入れた一文があるからだ。それは「軍事介入の可否について米連邦議会の同意を得たい」という下りである。大統領補佐官たちはオバマ大統領が何の前触れもなくこうした一文を入れたことに驚いたのだという。

しかしオバマ大統領からすれば、こうしなければならない理由があったのである。直前になって壮大な演出を伴いながら「梯子」を外してきたキャメロン首相。その向こう側でロンドン・シティ、そしてヴァチカンにまで連なる大西洋の向こう側の壮大なネットワークを想えば、その意向を忖度し、動くことしかオバマ大統領に残された選択肢はなかったのである。

そして表面的にはグローバル・マクロ(国際的な資金循環)という形で世にその姿を現すこのネットワークの織り成す「世界史」から完全に外されているのが現在の安倍政権率いるわが国だというわけなのである。そのことは今回の出来事に直面し、「オバマ支持か否か」という枠組みだけでしか物事が考えられなかったわが国の政治的リーダーシップの面々、さらにはそのことしか報じなかった大手メディアたちによる発言・報道からはっきりとわかるのだ。

「結果としてシリア情勢は収まっていたのだから良いではないか。中東でもはや騒動は起きず、徐々に沈静化に向かうはず。後はわが国の国内政治・経済のことだけ考えれば良い。特に消費増税、成長戦略、そして何よりも2020年東京夏季五輪の方が大切だ」

読者の皆様が仮に今、そう考えているのであれば「世界史」を貫く時代精神(Zeitgeist)から間もなく大変な平手打ちを浴びることになる。詳しくは次回以降に書くとして、それまでの「宿題」として、最後にいつくかの質問を投げかけておこうと思う:

 

●オバマ大統領はロシアによる「提案」に同意するや否や、「これからは国内の問題に専念する」旨発言した。「景気が良くなっているはず」の米国でこれから“一体何が本当の問題”として浮上するのか。デフォルト(国家債務不履行)リスクは本当にないのか

●「化学兵器」の全部廃棄に同意したシリアのアサド大統領は米国のテレビに出演し、「化学兵器は全て差し出す。しかしそのための作業には1年かかり、しかも10億ドルほどの費用がかかる。この費用は米国に出してもらいたい」と断言した。一体何を目論んでいるのか。米国はこれを支払うことができるのか

●「軍事介入」には最初から後ろ向きだったドイツのメルケル政権は、米ロ合意後、「2002年から2006年までの間、ドイツからシリアに対して化学兵器に転用可能な化学物質を大量に輸出していた」ことを公的に認めた。なぜ今更、アサド政権への化学兵器供与について間接的に認める発言をしたのか

●今年(2013年)の国連総会を機に一気に急接近し始めているのが米国とイランである。そもそも両国が敵対関係に入ったのは1979年に発生した「イラン・イスラム革命」によるわけだが、この時、革命を指導したホメイニ師は、なぜフランス・パリから帰国したのか。またホメイニ師は「イラン人」であるはずなのにどうしてペルシア語が“不得手”なのか

●米国がイランの「核開発」について糾弾し続けてきているが、そもそも誰がイランにそのための技術を供与したのか。後のチェイニー副大統領がCEOとして率いていた米大手企業「ハリバートン」は1990年代を通じてオーストリアにあるダミー会社を経由する形で、イランで何をしていたのか

 

今年(2013年)秋。いよいよ「本当のこと」が次々と明らかになってくる。仕組まれた「世界史」の激動についていくことが出来るのか否か。明らかにこのエンド・ゲームから意図的に外されている私たち日本人の覚醒が、今こそ問われている。

 

http://toyokeizai.net/articles/-/20279


 

安倍総理も知らない、シリア問題の真相(上) ~またもやインテリジェンス能力のなさを露呈した日本~

http://blog.goo.ne.jp/nobody-loves-you/e/12ccd9bd527497bc0944fd285ce7d731

 

【深読 シリア、アサド政権・油断できない化学兵器禁止条約】原田武 < 2:50~ >

https://youtu.be/nrxH-6NtrVQ?t=2m50s

 


 

【深読 シリア、アサド政権・油断できない化学兵器禁止条約】原田武

 
2014/06/08 に公開

シリアのアサド大統領と化学兵器禁止条約。
鍵はイギリスにあると読む。



元外交官、独立系シンクタンク IISIA(イイシア)、株式会社 原田武夫 国際戦略情報研究所代表
原田武夫 ズーム!そこまでいうか! ニッポン放送 2013年9月14日

 

https://www.youtube.com/watch?v=nrxH-6NtrVQ



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