「とん ことり」の音がして

暮らしの中で 絵本と私

『 蟹と彼と私 』

2007-09-01 00:33:30 | 書籍・絵本


       『 蟹と彼と私 』  荻野アンナ
                             集英社


    日本人の死因は癌が第1位
         「癌」の本は 闘病記・介護の手記・医学関連書と どのくらい読んだか
    数え切れない私だ。
    時には怯え 時には励まされ 時には生きる意味を考えた。

    「 そんなに読んで、何になるのよ?」 と息子が顔をしかめた。
          いまなら、そんな私をそばで みていた息子の気持ちが判る・・・。

    『 蟹と彼と私 』は いままで 読んだ「癌」の本と少し違う感じだった。

    「パタさん」と「私」は十数年来のパートナー
    結婚はしていない
    その「パタさん」が食道癌となり、「私」は「パタさん」を救おうと奔走する。
         癌の本を読みあさり、怪しげな代替治療をすすめ 
         神仏にもすがる。
         病気が進行する「パタさん」の苦しみ
         それを支える「私」の心労
         思わず、泣きそうになるが そんなシーンになると 随所に
         「癌細胞」と「私」が掛け合い漫才のような語りをしたりと
         笑いを誘ってくる。
         
         「パタさん」没後の「私」には とても引き込まれた。
         私小説として これを書いた荻野アンナさんは凄い。
        
         蟹(キャンサー)・・・
         癌細胞は「カニ」に似た形をしているらしいが
         自身の「癌細胞」と対面した時は とても「カニ」には見えなかったけど・・・
    この本の読後、スーパーの売り場に並ぶ 「カニ」 とにらめっこをした。
         この小説のように 「癌」を外、違う世界から眺めるのも悪くない気がした。
    でも、私 まだ、やっぱり「蟹」を食せない・・・。
   


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