『 父の侘び状 』 向田邦子 文春文庫
乳がんの手術後、「長く生きられないのではないか」という
不安の中で執筆が始められたという。
昭和の家族の風景をユーモアを交えて描いた24編
〔あとがきより〕
三年前に病気をした。
病名は乳がんである。病巣は大豆粒ほどで早期発見の
部類に入るそうだが、この病気に100%の安全保障はない。
退院してしばらくは「癌」という字と「死」という字が
その字だけが特別な活字に見えた。
眠りの中でまで癌という言葉に怯えながら
私は、気持の半分ではこの字に知らん顔をして暮らすことにした。
厄介な病気を背負い込んだ人間にとって、
一番欲しいのは「普通」ということである。
私は気が弱いのであろう。
病気を話題にされ、いたわられたりした場合、気負わず感傷に
溺れずにいる自分に自信がなかった。
<あとがきより 一部引用>
世田谷文学館で
「向田邦子 果敢なる生涯」 展をやっていたので出かけた。
果敢に生きた向田邦子さんの生涯と作品に多くの示唆を
感じる一時を過した。
『 寺内貫太郎 』『 あ・うん 』 などのTVドラマの脚本家として
知られ直木賞作家・エッセイの名手
飛行機事故で亡くなってから25年になります。
「あかちゃんポスト」運用初日に3歳児が入れられた
というニュースを聞いた。
3歳といえば、もういろんな事を理解できる年齢
遣り切れない思いになる。
赤ちゃんでなく3歳児というのは想定外だったらしいが
この子のケアが万全であるようにと願がわずにいられない。