さくらんひめ東文章

指折って駄句をひねって夜が明けて

勘三郎さん!またやってくれましたね♪

2010年04月29日 | さよなら歌舞伎座
御名残四月大歌舞伎 第一部

「御名残木挽闇爭」

古風な味わいがある大好きな時蔵丈舞鶴、実力派の三津五郎丈景清らとともに
若手花形揃い踏みの舞台。

新しく生まれ変わる歌舞伎座を待つ想いがこめられた一幕である。

五郎の海老蔵丈と十郎の菊之助丈がとにかく美しかった!

「熊谷陣屋」

初代吉右衛門の最後の舞台もこの「熊谷」だったか?
直実の様々に揺れる心の内を肚でみせなければならない大曲で
さすがすでに名優の誉れ高い当代がじっくりとみせたくれた。

妻の相模の藤十郎丈、
子を想うあまり陣中に来てしまう母の姿と直実に愛されている妻、
そういう女としての可愛らしさが自然ににじみ出てくるのがやはり凄い!

弥陀六の富十郎丈・義経の梅玉丈・藤の方の魁春と
最高の「熊谷陣屋」であった。

「連獅子」

勘三郎丈・勘太郎丈・七之助丈親子三人の連獅子は、すでに何度か拝見しているが、
昨日は特別思い出に残るものがあった。

前ジテの我が子を千尋の谷に突き落とすシーンが実に素晴らしい!
子獅子の無事を祈りながら子獅子を探す親獅子の勘三郎丈のたたずまいが
実際のご本人の親子の情愛ともだぶってみえて感動してしまう。

後ジテの毛ぶりの「巴」は、圧巻だった。
親子三人の息がぴったりとあって、
囃子方の演奏が終わってもその勢いが止まらない!
再び囃子がその後を追い、どんどん加速し、一体何回まわしたのだろう?

幕が下りても拍手が鳴りやまず、一部の公演終了なのに観客が席を立たない!
「中村座」やコクーンではないのでカーテンコールはないとわかっていても
あまりの感動に皆席を立てなかったのだと思う。

「勘三郎さん!またやってくれましたね♪」

この千穐樂の「連獅子」を拝見させて頂けたら、
たとえ二部・三部を観られなくても観客は充分満足出来たはず!

本当に有難う!
いつもながらの御客様サービス精神にあらためて敬意を表します♪