さくらんひめ東文章

指折って駄句をひねって夜が明けて

上村松園展

2010年09月19日 | アート♪
抑えた表情の中にも、凛と一本貫いたものを持っているような強さと
品格ある女性を描く上村松園が大好き♪

私が一番心惹かれるのが、あの六条御息所を描いた「焔」や
謡曲をテーマにした「花がたみ」

どちらも流れる黒髪がまるで生き物のようリアルであるが、
しかし生々しいいやらしさは感じさせず、むしろ観る者に哀れをさそう。

子どもや娘たちは、頬ずりしたくなるほど愛らしく、
遊女や湯上りの美人たちの色香さえもじつに清らかさが漂う。

12歳から画学校や画塾に通って、しっかりと身に付けた技術による描写力が
簾の重みや透け感や鼈甲の櫛の透明感などを感じさせる。

着物の柄のデザインや帯や小物とのコーディネイトもうっとりするほど素敵で
ため息がでた。

構図や余白の使い方も大胆で、松園という人自体が保守と革新と両方を持ち合わせた方だったのだろう。

すでに私たちが忘れてしまい、廃れてしまっている日常のくらしの中の
素晴らしい日本文化を松園の描く女性たちの中に追想するひとときであった。