さくらんひめ東文章

指折って駄句をひねって夜が明けて

芸術祭十月大歌舞伎 昼の部

2009年10月02日 | さよなら歌舞伎座
昨日、芸術祭十月大歌舞伎の初日を昼夜拝見した。

かなり疲れた(笑)
もう若いころとは違うので通しには体力がついていけないのを実感した。

今月は、江戸の荒事、上方の和事と「これぞ歌舞伎!」というラインナップだ。


昼の部

「歌舞伎十八番の内 毛抜」

三津五郎丈演ずる硬軟あわせもった粂寺弾正が良かった♪
1742年初演の芝居であるが、磁石の原理がキーになっている
とっても科学的な芝居であるのが面白い。
梅枝丈の錦の前も奇病に取りつかれたお姫さまの心情がよく伝わってくる。


「蜘蛛の拍子舞」

源頼光の土蜘蛛退治の物語を「女方」のために
女郎蜘蛛の精が白拍子になって現れるという設定にした芝居。
「女方」といえば玉三郎丈♪
じつは、この白拍子が三条小鍛冶宗近の娘ということで
剣の由来や名刀鍛冶の名を連ねて菊之助丈の源頼光と
渡辺綱の松緑丈と三人で拍子舞をするのがなんともいえなくいい♪♪♪
また、小さい蜘蛛がどんどん大きくなって
たちまわりや大見得をきって観客を楽しませてくれる。


「河庄」

「心中天網島」の「河庄」
はんなりとした柔らかさやおかしみのある上方和事の様式を
たっぷりと楽しませてくれる紙屋治兵衛

「たましいぬけてとぼとぼうかうか…」

藤十郎丈の治兵衛が花道から出てくる。
進退きわまり呆然自失の心理を歩く姿だけで表現する見せ場である。

心ならずも治兵衛にあいそづかしをする時蔵丈の小春が哀れで涙をさそう。
そんな小春の心も知らずに悪態をつく治兵衛。

さんざん女房子供も泣かし、最後は恋人の小春までも泣かすのかと
自分勝手ともみえる治兵衛を藤十郎丈がじつに巧みに演じられる♪


「音羽嶽だんまり」

尾上松緑丈のご長男である藤間大河さんの初お目見得の舞台。
菊五郎丈・吉右衛門丈・富十郎丈とパパ松緑丈と口上のご挨拶
それぞれの方の口上で、おじぎをするタイミングを絶妙に心得ておられ
一番早くおじぎをされてとっても愛らしかった♪
まだ3つでいらっしゃるが、現歌舞伎座での初お目見得の舞台が
きっと心に残ることだろう♪