読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

「かもめ食堂」

2008年01月05日 | 映画
『かもめ食堂』(荻上直子監督、2005年)

劇場で公開していたときに見逃したので残念に思っていたら、ケーブルテレビでやっていた。小林聡美がフィンランドのヘルシンキで日本の庶民がたべる食事を出す食堂をやっているところへ、日本からなにかの原因で逃れてきた片桐はいりがやってきて、小林聡美に助けられて食堂を手伝うようになる。そこへスーツケースが行方不明になったためにヘルシンキに足止めを食っているもたいまさこもやってきてコーヒーを飲みに来るうちに、食堂の手伝いをするようになる。最初は、日本オタクの若者しか来なかったのに、シナモンロールのおいしい香りにひかれて、おばさん三人組がやってきたのを機に、次々と現地のお客さんがくるようになり、ついに満席になるというお話し。

フィンランドの夏の、暑いんだか寒いんだか分からないような風景がなんとも涼しげでいい。日本の夏にうんざりしている向きには天国のようなところにちがいない。しかも人口は少ないし、治安も悪くなさそうだし、冬は寒いからちょっと敬遠したくなるが、空気も澄んでよさそうだし、一度行ってみたい。

異国の地で外国の食べ物にうんざりしたわけではないけれど、心も身体もぼろぼろになったような状態の時には、米のご飯と卵焼きとか鮭の焼き魚がどれだけおいしいものか、片桐はいりがしみじみと語っていたが、私にもよく分かる。パリの知り合いにおにぎりをいただいたときの、あのおいしかったこと、けっして忘れないだろう。だからそういう傷心旅行というわけではないが、旅に疲れた日本人向けというわけではなくても、日本人の日常的な食事をだす食堂にしたいという小林聡美の想いが、この映画が「人間賛歌」とかと評されるゆえんだろう。

その意味でおにぎりを日本人のソウルフードと言っているのはなかなか目の付け所がいいなと感心した。おにぎり、このシンプルで、この上ない一品料理、これだけで立派な料理に引けを取らないことは確かだ。

コーヒーを盛んに飲むシーンが出てくる。私と上さんもコーヒーが好きなので、毎朝入れて飲む。たくさん飲みたいのでできるだけ薄めに入れるから、喫茶店のコーヒーは濃すぎて好きになれない。映画の中で何度も飲むシーンが出てくるので、ついつい私もコーヒーを入れて上さんと飲んだ。

上さんもこの映画が気に入ったらしく、盛んに片桐はいりのこととか感想を言っていた。まぁたしかにこの役者さん、独特の雰囲気をもっている。存在感がある。小林聡美もきりりとした雰囲気でよかった。外国にはあまり行きたくないが、フィンランドは一度行ってみたいものだな。


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