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大阪城こま犬フィールドワーク

大阪城こま犬フィールドワーク

 2月23日、元ピースおおさか事務局長の有元幹明さんを講師にお迎えして、大阪城の戦争遺産をめぐる大阪城こま犬フィールドワークを行いました。待ち合わせ場所は、JR京橋駅の南口。私と娘が行くと、すでに10名ほどの人が集まっていました。それから、後から後から人が増えて最終的には30名ほどの人が今回のフィールドワークに参加しました。

 大阪城とその周辺は、戦争当時陸軍の管理下に置かれ、大阪砲兵工廠といってわが国最大の兵器工場がありました。ほとんどの施設はなくなりましたが、一部建物が残っているところもあります。戦争の爪痕が数多く残っているのも、兵器工場であったがゆえに爆撃の標的になったと思われます。

 まず最初に行ったのは、大阪大空襲京橋駅被災者慰霊碑です。終戦の前日8月14日に大阪城内の大阪砲兵造兵廠に対してB29による集中攻撃がなされた際、その流れ弾が京橋駅に落ちました。犠牲者は、5百名とも6百名ともいわれ、もっと早く降伏していたら、出さずにすんだ犠牲だったということでした。

 そこから大きなビルが立ち並ぶビジネスパークを歩きました。戦時中は、いろんな軍需関連の工場があったところです。そして、大阪城の周囲まで行くと、川を挟んで対岸にある砲兵工廠の荷揚げ門を見ることができます。当時、材料の搬入や製品の輸送を水運にたよっていたため、船が工場内に入って荷揚げできるようにしたとのことでした。

 大阪城公園内に入ると、砲兵工廠化学分析場や守衛室などの建物が今も残っていました。こうした戦争遺産をなくしてしまおうとする動きがあるようですが、二度と戦争をしない戒めとして残しておくべきだと思います。


 さらに、京橋口から大阪城内に入ると、中国製のこま犬があります。1982年暮れ、このこま犬が中国侵略戦争の中で盗ってこられた略奪文化財であることがわかり、1983年から84年にかけてこのこま犬を中国に返還し、複製品を作り2度と軍国主義の復活を許さない戒めにしようと大阪府市民が運動を起こしました。それに応え、中国が改めて友好の証として、大阪市に贈ってくれたものです。後にわかったことですが、日本軍国主義が中国への全面戦争を開始した1937年、7月7日に盧溝橋事件を起こし、その直後、天津市庁舎を攻撃しそこからこのこま犬が略奪されてきました。このこま犬はまさに侵略の動かぬ証拠です。主催者から、7月7日には、このこま犬の前で今の安倍政権の戦争策動を許さない平和の集いを持ちましょうと提案がありました。




 その後、天守閣に至る手前の山里丸あたりまで行きました。戦争中に米軍による爆撃によって、えぐられた石垣がありました。その場所が低い位置にあることから、当時そこで働いていた人を狙ったものであろうということです。また、この山里丸付近には、豊臣秀頼と淀殿の自刃の跡地があり、秀吉による朝鮮出兵について触れられ、その時朝鮮から陶器などを焼く陶工が無理やり連れてこられたそうです。そうして連れて来られた陶工が焼いた焼き物が有田焼など日本の名だたる焼き物のもととなったそうです。



 そして本丸に移動すると、天守閣と大阪市立博物館があります。今は、閉鎖された大阪市立博物館は、かつて第四師団司令部庁舎でした。有元さんの話では、子どもの頃天守閣の中にも戦争を鼓舞するような展示がなされていて、大阪城はまさに戦争の拠点だったようです。大阪市立博物館のわきには、有元さんらの尽力で建てられた「大阪城公園内に残る戦争の傷あと」という銘板があります。戦争当時、大阪城公園内には砲兵工廠には、一般行員のほか動員学徒、女子挺身隊など64000人の人が働いていて、その中には朝鮮から強制連行された朝鮮青年も含まれていたそうです。



 最後は、有元さんが事務局長をされていたピースおおさかまで歩きました。ピースおおさかは、二度と侵略戦争の誤りを繰り返さないため、日本の戦争の加害の歴史も展示されていますが、橋下市長になってから、これを潰そうとする動きがあります。さらには、平和を願ってつくられたものを戦争賛美の西の遊就館に変えようとしています。有元さんは、こんなことは絶対許せないと、これからもそうした動きと闘っていく決意を述べられました。平和は、自分たちの闘いの中で勝ち取っていかなければならないものだと改めて思います。これからも、侵略戦争の動かぬ証拠である大阪城のこま犬をもって、A級戦犯の祀られた靖国神社に参拝し口先だけで不戦の誓いなどと口にする安倍首相の欺瞞をあばき、本当に平和を願う人々の輪を広げていきましょう。


(報告 高橋美香子)
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