西鎌発、地域ぐるみで教育を考える

西鎌倉地域において、家庭、学校、地域が交流し、連携して子どもたちの教育環境を考える「教育懇話会」の活動記録です。

平成27年度代表者会レポート!!

2016-05-28 20:02:42 | Weblog

西鎌倉地域教育懇話会では、年に3回、各自治会・町内会や地域活動団体等の代表者、学校の先生方、そして私たち懇話会役員が一堂に会する「代表者会」を開催しております。代表者会では、地域の方々が学校教育の現状を知り、また懇談を通じて地域と学校が顔の見える関係を作り、地域ぐるみで子どもたちを育てていく意識の醸成を図っています。その様子を以下のとおりレポートいたします。

 

第1回

日時:平成27年7月11日(土) 場所:西鎌倉小

話題:「特別支援級「やまゆり」の先生として」

講師:横倉 味佳(西鎌倉小 教員)

 

第1回は、西鎌倉小で平成25年4月に開級した特別支援級「やまゆり」を担当する横倉味佳先生にお話をいただきました。特別支援級とは、横倉先生にいただいた資料によると、「障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けて、一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な教育を行う」クラスです。障害の区分はいくつかあって、そのうち「やまゆり級」では知的障害者の児童を受けて入れています。最近時折耳にする「発達障害」の子も、この区分に入るようです。横倉先生からは、その「やまゆり級」のプログラムや子どもたちの様子、そして地域に期待したいことについてお話をいただきました。

まず「やまゆり級」の授業は、通常の学級の授業とは異なり、買物の仕方や電車の乗り方など、自立活動を促すためのプログラムに力を入れており、その一環で毎週一回校外学習の機会があるようです。また社会に出る準備としてあいさつやマナーの指導、子どものうちから働くことを意識したキャリア教育なども行っています。つまり社会との接点を設け、いろいろ体験することが大切なので、地域の方々からのご協力や声かけが力になる、とのことでした。

横倉先生からお話をいただいた後、いつものとおり小グループに分かれて感想や意見を出し合いました。その中で印象に残った意見を幾つか紹介します。

まず一つ目は、小学校がこんなに身近な存在なのに、このやまゆり級のことを知らなかった!ということです。やまゆり級の学習プログラムは、地域との接点が多ければ多いほど豊かなものになるので、この存在を広く地域の方々に知ってもらい、そのうえで地域で「できること」を出し合うしくみを作るといいですね、という意見がありました。それは障害を持つ子に対してだけではなく、今後の高齢者福祉などでも同じことが言えそうです。

次に、正直なところ特別支援学級に対して偏見を持つ方もいらっしゃるのですが、その中でもやまゆり級の子たちと交流のある人は偏見がなく、交流のない人は偏見を持ちやすい傾向があるようです。やまゆり級の子どもたちの様子を聞いていると、実は誰しもが当てはまることだったり、あるいはアメリカでは障害に対して「特別なギフト」という考え方があるそうなのですが、一つの才能に突出して長けている場合も少なくありません。例えばあの著名な発明家エジソンがそうですね。多様な存在を幅広く受け入れられる寛容な地域づくりのために、またそうした突出した才能を引き出すためにも、こうした特別支援級との交流は、とても重要な意味を持ちそうです。

 

第2回

日時:平成27年12月12日(土) 場所:西鎌倉小

話題:「手広中学校の取り組み~家庭・地域・小中連携の視点から

講師:川合 良宏(手広中 校長

手広中学校に足を踏み入れると、たとえ見知らぬ人だとしても大人を見つければ必ずあいさつをしてくれます。またこれまで新任の先生から、この学校の雰囲気のよさに驚く声を数多く耳にしました。これはもちろん、学校の先生方の努力の賜物だと思いますが、学校が、家庭と地域と連携し、三位一体で子どもたちを見守る土壌を育ててきたことも要因の一つかと思います。またこの学区は、小学校と中学校の校区がほぼ同一で、小中連携すれば9年間連続して子どもたちを見守り、育てられる環境であることも大きいと思います。

そこで今回は、手広中校長の川合良宏先生から、そうした地域連携、また学校同士の連携という視点で取り組んでいることのお話とともに、現在の教育方針などについてもお話をいただきました。

まず地域との連携に関しては、「学校へ行こう週間」などを通じて地域に学校を開く場を設けるだけではなく、地域の人が年に2回「一日先生」となって様々な体験学習プログラムを提供したり、職場体験の機会を設けたり、地域と連携して「体験学習」の場を提供する取り組みを行っています。また小中連携に関しては年間を通じてA4用紙びっしりになるほどの取り組みが挙げられていて驚きました。例えば小学生が、中学生の総合的な学習の発表を聞きに行ったり、あるいは中学生が西鎌倉小で職場体験を行ったり、様々な場面で交流や連携の機会があるようです。

そうした取り組みの根底にあるのは、現在の中学校教育では、子どもの「学力」を、単なる知識力だけではなく、それらを生きていく中で活用する力もその一つと捉え、通常の教科書を使った授業以外に、様々な実体験の場を提供する総合学習にも力を入れていることです。中学校に入ると、ああなるほどな、と、その成果をきっと肌で感じられると思いますので、地域の皆さんもぜひ学校に足を運んでみてください。

 

第3回

日時:平成28年2月27日(土) 場所:西鎌倉小

話題:「様々な子どもたちの居場所を作る~「ここだね」の取り組み~

講師:深沢 直子(ここだね 代表

 お子さんが小1の頃から不登校となり、母親として葛藤し、悩みぬいてたどり着いた取り組みが、その子なりの居場所作りを行うことでした。カフェ、農業、環境教育活動、建築―、その活動を通じて出会った大人たちは、誰もが仕事が楽しそうで、そして子どもがそばにいることを快く受け入れてくれました。こうした取り組みを続けているうちに、この体験を自分の子だけに留めておくのはもったいない、もっと広く、楽しく生きる大人たちの存在を知ってほしいと思うようになり、その思いでコミュニティスクール「ここだね」を立ち上げました。現在「ここだね」に参加する子どもたちは十数名、不登校の子もいれば、学校に行く子もいます。学校の居場所の一つ、またそれ以外にも様々な居場所を作っていきたいと考えています。

 活動を続けてきた感じたことは、「本物の仕事」と接することによって、自分は何かを生み出せるんだ!と実感することができたことです。子どもたちは少なからず何かの役に立ちたいと思っていて、その実感は自分の存在意義を確認することができ、明日への希望を持つことができるのだと思います。また不登校の子はとかく劣等感を抱きがちですが、その子たちがつながることによって悩みや喜びを分かち合える仲間ができたことも大きな財産、と言います。

 課題は、現在一人で活動していること。ゆくゆくはいろいろな大人たち同士がつながって、チームを組んでいければ、とのこと。また不登校で悩む親御さんは世間的にも身内からも孤立してしまいがちなので、どうやったら本当に悩みと不安を抱えている方々にこの活動を伝えられるか、考えていきたいとのことです。

お話を聞いた参加者の皆さんからは、まず一人の母親として、ここまで活動を続けてこられた情熱にとても感動した!という声を数多く聞きました。そしてこのまちでも、同じように町内会館等を活用して、子どもたちの様々な居場所を提供できるようにしていきたい、という意見もありました。その担い手として、何かと面倒見のいい、また子どもたちも打ち解けやすい「おばさん」の力を活かしたらどうだろうか、という提案がありました。ある自治会では「おたがいさまの会」という仕組みがあって、お互いにできることを持ち寄ってまちづくりに活かしているようなのですが、同様の仕組みで、子ども好きな大人を集めて取り組めば、かなり現実味を帯びた話になりそうです。


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