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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

墓の建立と継承 「家」の解体と祭祀の永続性をめぐる社会学①

2025年04月10日 | セレモニー
『墓の建立と継承 「家」の解体と祭祀の永続性をめぐる社会学』(辻井敦大著)、墓関連の本としては今までにない興味深い書籍です。


この無縁墓の増加といった現象は、島田の視点のように個人の「自由」の発露であり、墓の継承者であっても何にも拘束されずに「自由」に生きられる証だと肯定的に解釈することもできる。しかしながら、マスメディアでは無縁墓の増加を社会問題として捉え、行政もその対処に動いている(『朝日新聞』二〇一四・七・三十朝刊)。すなわち、無縁墓の増加は、個人の「自由」、ないしは趣向の問題ではなく、行政も憂慮すべき事態としてみなされているのである。こうした点と関連して、人々は「家」を意識していなくとも、依然として可能である限り、墓を建立・継承している。それを裏付けるように、現代においても公営墓地での墓の需要は依然として高く、墓参りの実施率は減少していない(東京都公園審議会二〇〇八、NHK放送文化研究所編二〇二〇)。
 このように、現代日本においては、墓を必要としない選択肢が現れる一方で、それでも墓が建立・継承され、そこに意味が与えられている。言い換えるならば、多様な選択肢が与えられているにもかかわらず、人々は何かしらの規範のなかで墓を建立・継承し、そこに意味を付与しているのである。こうした「家」なき現代社会における墓をめぐる社会規範を明らかにすることこそ本書の目的となる。それゆえに、本書の問いは、「現代日本において墓の継承が途絶えることが、なぜこれほど憂慮されているのか」を明らかにすることにある。すなわち、自身や先祖の壑、他者の墓を問わず、それらの継承が絶え、無縁化し、死者が記憶・記録されなくなることが社会的に問題とみなされ、憂慮されている理由を問うのである。


しかしながら、本書では「家」・同族、ないしは家族・親族、「家的なるもの」といった視点から墓をめぐる社会規範を考察しない。代わりに本書は、これまで着目されてきた「家」の解体・変容という視点ではなく、「家」の解体にともない、その機能を代替し、新たに台頭してきた社会的アクターに注目する。そして、本書では、こうした社会的アクターが「家」の解体を意識し、いかなる論理をもってT家」に内在していた〈祭祀の永続性〉を代替しようとしてきたかを問い、現代日本における墓をめぐる社会規範を明らかにする。ここで「家」ではなく社会的アクターを取り上げるのは、もはや集団としての「家」を自明視することが難しいからである。それゆえに、本書は社会的アクターを通して、「家」を代替してきたシステムを問うのである。(つづく)
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