仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

父からの手紙

2022年12月27日 | 日記

昨日届いた本願寺新報元旦号、一面、執筆者無記名の「赤色白色」は、私の執筆です。元旦号の同コラムは4.5年依頼されています。

転載します。

 

数年前の元旦、届いた年賀状を見ていた妻が「珍しい人から届いていますよ」と言う。その年賀状は、すでに往生した父からのものだった。実は、私か書いたものだ。というのも毎年、元旦には「今年は何を大切にして過ごすか」を考えている。そこで年末に「そうだ、元旦の願いを父からの年賀状として自分に届けてみよう」と思ったのだ。▼年賀状は、謹賀新年から始まり、最後に「父より」と締めくくった。いつもの年なら元旦の願いをすぐに忘れてしまうのだが、その年は忘れることなく、時々思い出しては、父に励まされているような豊かな時間をもつことができた。

▼これは、小林一茶の有名な『おらが舂』に記された逸話をまねたものだ。丹後の国に深く浄土を願う僧がいた。年末、使いの者に手紙を渡し、翌日の元日の暁に自分へ届けるよう指示した。手紙が届くと「いずこより」と僧は問う。使いの者は「西方阿弥陀仏より年始の使いの者です」とこたえ、手紙を読んだ僧は泣いて喜んだという自作自演の逸話だ。▼この話を友人にすると、「親鸞聖人からの手紙を書こうじゃないか」となった。これが大変だった。何と書いて自分へ届けるか。その時は「いつを袮えて過ごしてください」と書いた。さて法要の記念の年頭に当たり、聖人からの手紙に何と書くか。皆さんにも思案してほしいところだが、私は「阿弥陀仏のお慈悲を、すべての人に伝わるように説いてください」と書いた。(以上)

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