ニルヴァーナへの道

究極の悟りを求めて

チベット情勢緊迫

2008-03-15 13:16:31 | ダライラマ


さすがに「中国の御用新聞」(石平)である朝日も無視を決め込むことができなくなったのか、今日の朝刊の一面に大きくチベットのデモを報じている。
私は朝日を購読しています。歴史認識や政治思想は異なることが多いが、最も影響力の大きい新聞の論調をチェックするという立場で購読しています。もう一つ、本の広告が充実していることも購読の理由です。

さて、チベットのデモであるが、金曜の夜からCNNやBBCで盛んに報じている。さすがに、世界のジャーナリズムをリードするメディアである。日本の腰抜けメディアとは、意識が全くことなる。勿論、それぞれの偏見や固定観念はあるが、少なくとも、世界で何が起きているのかを知ろうとするならば、この二つのメディアを無視することはできないだろう。

タイムの記事では、今回のデモはチベット版のインティファーダではないか、ということで、あるチベット専門家の言葉を紹介している。
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1722509,00.html

「Whatever the outcome, though, it seemed to be a turning point in the history of Tibet and perhaps also China. "This is massive," said one Tibet specialist who was in touch with many Lhasa residents, "it is the intifadeh. And it will be a long, long time before this ends, whatever happens today or tomorrow."」
(今回のデモの結果がどのようになろうとも、これは、チベットや中国の歴史においてターニングポイントとなるように思える。「これは広範囲に及ぶデモです。」とあるラサの多くの住民と接触のあるチベットの専門家は語る。「これはインティファーダです。そして、この抗議運動は、今日や明日に何が起ころうとも、これが終るまでには、非常に長い時間がかかることでしょう。」)

なるほど、チベットにおける、中国の侵略に対するインティファーダなのか。しかし、イスラエルと中国のどちらが、侵略度が高いかといえば、勿論、中国のほうが圧倒的に高い。歴史的にみても、中国の、チベットは中国の一部だとする主張は、全くの暴論なのだ。文化的にも、チベットと中国は全く異なる国家なのである。勿論、清朝の時代にチベットを侵略したことはあったが、だからといって、チベットは中国のものだとする主張は狂っていることは普通の歴史感覚を持っているものには誰にでも理解できることである。が、中国共産党の人間には理解できないらしいのだ。

それでは、現代中国人の考え方、歴史意識とはどのようなものなのか?

「・・・・・モンゴルも、チベットも、東トルキスタンも、満州人の清帝国の「領土」ではなく、清朝皇帝の同盟種族の住地だったにすぎない。それがどうして、現代の中国人の立場から見れば、中国の一部だったことになるかというと、現代中国が、日本型の国民国家化を目標としているからなのだ。日本では、国境の内側の住民は全員が日本人だというのになぞらえて、国境の内側の住民は全員、中国人(漢人)であるべきだ、全員が同じ中国語(漢語)を話すべきだ、全員が黄帝の子孫の「中華民族」(漢族)だという意識をもつべきだ、というのが、現代中国人の理想だからだ。
 中華人民共和国のチベット自治区や、内モンゴル自治区や、新疆ウイグル自治区で起こっている、人権侵害問題のほんとうの原因は、中国共産党が、この日本型の国民国家化を実現する手段として、少数民族を絶滅させようとめざしていることにある。
 チベットでは、チベット人を残酷に弾圧して、チベット文化を根絶しようと試みている。チベット語を学校では教えない。中国語(漢語)で話すことを強制する。チベット仏教の信仰を禁止する。ダライラマの写真があれば没収され、持ち主は拷問され、監獄にぶちこまれる、というような残酷な統治方針をとっているのは、単なる人権侵害ではない。中国共産党のたてまえでは、チベット人はほんらい、悠久のむかしから中国の領土の一部である土地に、たまたま住んでいる少数民族にすぎず、れっきとした中国人であるにもかかわらず、自分が中国人であるということを否認し、中国の文化に同化されることを拒否しているのは、祖国に対する反逆だ、という認識になるわけだ。」
岡田英弘著「歴史とはなにか」(文春新書)より

いやー、書き写していて、怒りがこみ上げてきましたわ(苦笑)。
そもそも、こんな自分勝手な論理を振りかざす民族と共存共栄なんて出来ないのは当たり前でしょう。
中国のチベット支配を容認する人たちは、このような論理も受け入れるのでしょうか。
チベットの悲劇とは、とりもなおさず、中国に侵略されっぱなしであることにある。ダライラマが「文化的ジェノサイド」と呼んでいるのも、こういう中国側の論理を聞かされれば、よく理解できるというものです。こういう考え方を持っている民族に支配されたら、時間が経てばたつほど、支配された民族の情況は悪化していく。ダライラマの非暴力の方法も、考え直さなければならない時期に来ているのではないか。チベット青年会議の暴力主義も理解できるというものです。

ダライラマ法王CNN-IBNインタビュー


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