路地裏ニライカナイ

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ちくわぶの記憶 その2

2008年12月17日 22時23分25秒 | 妄想紀
雅美は竹輪麩が大好きだった。

安くて、煮込むとカサ増しする竹輪麩。

6人兄弟の大家族で育った彼にとって、

竹輪麩はおでんに無くてはならない、

大好きな家庭の味だった。



僕らはあの頃エイサー会を大きくしようと必死だった。

発想力と創造性に自信のある僕と、

ズバ抜けた運動神経の持ち主である雅美、

ふたりは絶妙なコンビネーションで沢山の演舞を考え出した。

そして休日は決まって朝まで飲み明かしていた。



あの寒い冬の日もおでんだった。

僕の家にはいつものように友人たちが集まり、

鍋を囲み語り合っていた。

そのとき、

僕らは衝撃的な発言を耳にする。



大好きな竹輪麩を取ろうと、

鍋をつついていた雅美が発したその言葉・・・

「もう□※%○¥÷△ないの?」

「・・・え?」

「だから○÷¥△%※□ないの?」

「・・・は?」

「っぃきゅぅわぶないの?」

「・・・???」



そう・・・雅美は極度の舌っ足らずだった。

それでも必死になって彼は「ちくわぶ」の名を叫んだ。


    「ちくわぶ」


   「ちくわぶ」


「ちくわぶ」





彼のその一言だけで、僕らはお腹を抱えて笑い転げた。

その笑い声は、結露で曇る窓ガラスを揺らすほど、

一晩中、絶えることがなかった。




彼が消息を絶ったのは、

それから2年が過ぎた頃だった。

家にも帰らず、携帯電話も繋がらない状況が一週間以上続いた。

そして時を同じくして、

ある女友達もこつ然と姿を消している事実に、

僕らは驚愕する。



このとき僕は初めて、

駆け落ちを経験した友人を持つことになる。






  つづく・・・
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コメント (2)