路地裏ニライカナイ

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旅立ちのとき

2008年04月03日 23時37分47秒 | 作品
まだまだ幼い「てふてふ」さんが、

今日こうして旅立っていきました。





いったい何処へ行くんでしょう?

「…春が来たから。」

そう言い残して「てふてふ」さんは風に消えていきました。

置いてけぼりの私は、

ひとり虚しく空を見上げていました。


すると、まだ雪が残る浅間山のほうから、

ふんわりふわりと花びらが落ちて来たのです。

ふんわりふわり。

はんらりはらり。

ちいさくて薄い桜の花びらです。

ふんわりふわり。

はんらりはらり。


私は、桜の花びらを追うように、

見慣れた松井田の山道を駆け出しました。

竹やぶを抜け、

庚申塚の間を縫い、

小川を飛び越えた頃に、

空が桜色に染まりました。


ごつごつした大きな桜の木が、

目の前に現れたのです。

でも、なんだか懐かしい気がして、

私は一生懸命に思い出したのです。


それは私がとっても小さい頃、

みんなで植えた桜の木でした。


どれくらいそこにいたのでしょうか。

気がつくと足元には桜のじゅうたんができています。


私は落ちてくる花びらを見ながら、

「てふてふ」さんが毎年なぜ旅立つのか、

少しだけ解ったような気がしました。


もう心配ない。


私はそう言って少し笑いました。


それから?それから?


今日はここまで。


これからまだまだ仕事です。





つづく・・・
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