にっぽにあにっぽん日本語&日本語言語文化

日本語・日本語言語文化・日本語教育

春庭ニッポニアニッポン事情>中国の労働教養制度

2012-05-16 07:00:00 | 社会文化
労働教養制度
haruniwa
 中国では政府が報道統制を行っているので、一般の人々が世界の情勢を自由に見聞きすることはできません。
 尖閣諸島問題についても、一方的な報道が為されているであろうことは想像に難くありません。

 また、外国人記者が中国国内の情勢を取材するためにも、様々な規制があります。
 ですから、中国に関して、知らないことは数限りなくあります。
 高倉健主演の『単騎千里を走る』の撮影で中国の刑務所内の撮影が許されたのも、例外的な出来事だったのだとか。刑務所内の近代化も進んで、撮影されても問題がでないと当局が考えたのでしょうし、問題ない部分だけ撮影が許されたのでしょう。
 刑務所はどこの国にもありますが、中国には「労働教養制度」というのがあると、2010年09月24日付けの朝日新聞が報道していました。

 労働教養制度について、早稲田大学の但見亮さんが2004年に早稲田比較法学の紀要に論文を書いていますが、一般にはほとんど知らされることはありませんでした。私もまったく知りませんでした。
 比較法学の論文が出ているくらいですから、報道関係者はあるいは知っていたのかもしれません。しかし、報道はされなかった。中国政府に都合の悪いことを報道して、政府の怒りを買い、その後の取材が不自由になると困るからです。報道関係者も何を報道するかについては、自社の利益との兼ね合いで取捨選択しているのですから。

 中国に関しては、報道されていることといないことが多々あります。
 朝日新聞2010年9月24日10面 中国「労働教養制度」意のまま批判者勾留、裁判抜きで強制労働
という記事が掲載されました。
 おそらく、一般の人がこの労働教養制度という民主国家ならありえない制度を始めて知ったことでしょう。

 政府に反対する国民を拘束し、裁判など経ず、刑務所よりひどい状態で最長4年。継続逮捕有りで労働させ、「国民としてふさわしい教養を身につけさせるための矯正施設」
 民主化運動、チベットや新疆ウイグル地区の独立運動家、ファルンゴン法輪功ほうりんこう、などの新興宗教信者が拘束されています。
 中国ではこの制度の廃止を求める運動が続いていますが、民主化闘争の弾圧が北京オリンピック前も後も強化されこそすれ、廃止への道は遠い。

 中国政府がこのように民主化への要求を押さえつけ、経済の自由化は認めても政治の民主化を決して認めようとしないのには、山のように理由があるのですが、理由はなんであれ、13億人を統治するには、現状が崩されることは当分ないでしょう。
2010-09-27 11:31:24 ページのトップへ

グローバル世界の中での中国
haruniwa
 中国13億人のなかでパソコンなどを使ってグローバルな活動ができる人々はまだ1割程度にすぎません。
 しかし、1割でも日本の人口以上の中国人が世界と直接つながるようになった点は大きい。

 私が2009年に滞在している間、youtubeは閲覧が禁止されていました。リンクしても、妨害電波のためにつながらなかった。学校でtoutubeがつながらない、と学生に言っても信じてもらえなかった。中国はすべての情報は自由ですと学生たちは主張していました。今、井の中から飛び出た学生たちは、世界を知り、中国の現状を外から眺める目を養っています。私が教えた学生たちは頭のいい子たちですから、日本滞在中に必ず自国を冷静に見る目を養うと思います。

 これからの中国が13億人をどのように率いていくのか、13億人特に少数民族がそれぞれの主張を始めたとき、どうするのか、チベット問題、新疆ウイグル問題のほか、課題は山のようです。
2010-09-27 11:38:21 ページのトップへ

尖閣諸島問題
haruniwa
 今、中国政府が尖閣諸島、釣魚島問題を国内外の大きな争点としていることには、私はひとつの意図を感じます。
 中国政府はこれまでも、国内問題で抑えられないような大問題が起こると、国民の目を外に向けさせ、国内の問題から目をそらさせるという措置を執ってきたからです。

 1950年代の「大躍進運動」が大失敗に終わり、国民が飢えかかったとき、毛沢東は、台湾との国境問題金門島で連日軍事活動を行って、領土問題へと国民の目を向けさせました。

 尖閣諸島問題で中国が強気に出ているのを見ると、私は逆に「国内問題の何を隠そうとしているのだろうか」と疑ってしまうのです。

 日本国民は冷静に事態をながめ、中国の挑発に乗らないようにしてほしい。
 カフェブログをながめても、「中国との徹底抗戦を」「弱腰外交の菅政府」を憤る声が圧倒的です。
 ちょっと待って。このように日本国民が慌てふためき怒りをあらわにするほど、中国政府は「日本を憎め」と自国民をあおり立てる材料にする。
 経済格差の増大による中国国民の怒りが政府にむく前に、日本への憎悪にかえさせようとしているのかもしれず、決して挑発にのってはいけません。

 春庭が、中国人留学生とのんきに交流しているようすをUPすると「そんな場合じゃないでしょう」と、怒り出す人もいるかなと思いつつ、月末のトピックとして選びました。

ちよさんのようにこの交流の意味をわかってくれる人ばかりではないことは承知の上ですが、まあ、火の粉がとんできたときは、ばたばたと慌てて火消ししましょう。
2010-09-27 11:55:46 ページのトップへ

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。