「死にたい」
啓二はため息混じりにこう言った。
かおるは今はやりのギャグ、
「ダメよダメダメ」
こう言ってみたが啓二は笑わない。
それどころか、
「ぼくは生ける屍になってしまった」
こう言ってまたため息をついた。
「もうぼくの記憶は蘇らないのだろうか」
啓二は首をうなだれる。
「自分の娘も思い出せないなんて」
かおるは啓二の背中をさすりながら、
「必ず思い出せるから。私がついている」
かおるのこの言葉に初めて啓二は笑みを浮かべて、
「ありがとう」
こう言葉を返した。
*この物語は中井貴一、薬師丸ひろ子、杉田かおるをイメージして描いています。