二宮正治の世界2です。

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二宮正治小説:心の旅路の果て:第50回

2014-11-27 13:12:16 | 日記

「死にたい」

 啓二はため息混じりにこう言った。

かおるは今はやりのギャグ、

「ダメよダメダメ」

 こう言ってみたが啓二は笑わない。

それどころか、

「ぼくは生ける屍になってしまった」

 こう言ってまたため息をついた。

「もうぼくの記憶は蘇らないのだろうか」

 啓二は首をうなだれる。

「自分の娘も思い出せないなんて」

 かおるは啓二の背中をさすりながら、

「必ず思い出せるから。私がついている」

 かおるのこの言葉に初めて啓二は笑みを浮かべて、

「ありがとう」

 こう言葉を返した。

 

*この物語は中井貴一、薬師丸ひろ子、杉田かおるをイメージして描いています。