【 随想曲 李白の白髪 】 (五) 倭の里 仁目子

倭の里の風土 風情を 外から眺めて見る。

視野が変わると、実景も異なる。

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【 蒙 昧 が 知 性 を 馬 鹿 に し よ う と す る 時 】 

2018-02-14 | 日記

           ーー   憲 法 学 者 を ア ン ポ ン タ ン                                   呼 ば わ り す る ア ン ポ ン タ ン  ーー

 

対米戦争敗戦七十年後の今日に至るまで、「なぜ、あんな無謀な」「なぜ、あんな馬鹿げた」戦 ( いくさ ) をしたのか、という声は、いまだ列島で絶えない。

それは、意地と蒙昧が知性と良識を踏み躙( にじ) って始めた戦だから、当然、「無謀」と「馬鹿げた」戦に帰着するしかない。

 

七十年も過ぎると、国を廃墟にした戦の教訓などは、いとも簡単に忘却されるようで、血気に流行る安倍首相が「強い日本を取り戻す」べく、海外派兵を主眼とする「安全保障関連法案」を先達て衆院で強行採決に踏み切った。

国民はどう思っているのだろうか

読売新聞の民意調査は、「反対」64%、「賛成」26%で、FNN産経の民意調査は、「反対」63.4%、「賛成」29%・・・という結果で、反対が圧倒的に多い。

片や、Yahoo newsの行なった「意識調査」によると、賛成51.3%、反対45.9% で、賛成が反対を上回っている。

 

同じ列島内の人民の「民意」と「意識」が全く逆さに、真っ二つに分かれているというのは、何を意味するのだろうか。

大手新聞の民意調査は、読者を対象にしているので、一応、知識人の民意、つまり、知性と良識を主体とする反応であるという事が言える。読売と産経は、一般には安倍寄りと言われているので、公開した数字より、実際の「反対」率はもっと高いのではないか、という影の声もあるように、知性と良識の比例はかなり高い。

Yahoo newsはウエブ媒体で、誰も好き放題な発言の出来る場所だから、「民意」とは言い難く、単なる「意識」の収集で、それだから、この調査は「統計に基づく世論調査ではありません」という但し書きを付けている。従い、仲には良識もあるだろうが、それよりも寧ろ意地と蒙昧による反応の方が遥かに多いのは避けられない。だから、新聞の「民意調査」が賛成 30 % 以下なのに、ウエブの「意識調査」の方は賛成 51、3 % というデタラメな結果が出る。

 

このような独特な「両極現象」は、列島の「伝統的な持病」みたようなもので、歴史的に、国の大事に際して、常に、国に大なる頭痛をもたらして来た。

ついこの間の対米戦争がそうである。当時、大日本帝国の軍上層部ですら、対米戦に勝てると断言出来るのは一人も居なかったのに、対米戦を発動した、正しく無謀であり、「軍部の暴走」と言われる由縁でもある。言い詰めれば、意地と蒙昧の後押しによる戦争だったと、負けて始めて、列島庶民は気が付いたのである。

 

ウエブ上で、ある人が、『「2800人の学者、研究者らが、集団的自衛権の行使を可能にする法案に対する反対の意思を表明した」との新聞記事には背筋が寒くなりました。』という書き出しに、続いて、『大学の先生達は日本の安全より憲法の条文のほうが大切なのですか?有事に国と国民を守るという国家の責任より憲法条文のほうを優先するのですか?』という質問を設定して、長々と先生達を説教し、挙げ句、次のように締めくくっていた;

『だから日本は集団的自衛権を容認して、アメリカ軍と一体にならなければ中国軍を防ぐことができません。今日急迫する野蛮な中国軍の脅威を見た時、この法案はまさに日本の命綱です。憲法学者が,いかに何も知らないアンポンタンか、よく分かりました』

 

この一文を書いた人のprofile を見ると、去る私大の法科卒で、世界を股にかけて商売をして来た経歴の持ち主と自称しているから、普通に考えて、話の分かる人種の内に入るが、法科の恩師である憲法学者、それも一人や二人でなしに、2、800 人を束にして「アンポンタン」と決め付けるのは、とても常識では考えられない。況して、礼儀を重じ、恩師を敬う事を誇りにする国柄であれば、このような発言は、非常識もはだはだしいと言わざるを得ない。

そして、「野蛮な中国軍の脅威」という表現は、嘗ての「鬼畜米英撃滅すべし」というかけ声と全く同質の喧嘩言葉である。

如何なる「意識」がこのような発言をさせる原動力になりうるのか?

意地と蒙昧以外には考えられないだろう。意地と蒙昧は、知性と良識を麻痺させる力を持っているからである。

 

嘗て、石原慎太郎が、( 米国に対して) 『ノーと言える日本』という本を出し、ベストセラーになり、国会議員選挙、都知事選挙、全て最高票で当選した。慎太郎或いは、その本のお蔭で、日本は米国にノーと言えるようになるどころか、逆に、「唯唯諾諾」の属国に甘んじているのが実状である。

では、慎太郎は何の為にそのような本を出したのか、よくよく考えてみると、同胞の意地と蒙昧に付け込んだ自己売り込みと本の売り込みの一石二鳥を狙ったものとしか思えない。

上述の私大法科卒氏は、自国の憲法学者を「アンポンタン」と決め付ける一方で、「中国、いい加減にしろ」とか「韓国、いい加減にしろ」という本を立て続けて出版している。

 

知識層を叩くと無知蒙昧なる人種は喜ぶ。世の常である。近隣を誉めるより、罵( ののし) る方が、今の列島では歓迎される。すると、この人が敢えて自国の権威学者を束にして「アンポンタン」の貼り札を付け、近隣諸国相手に怒鳴り散らすのは、「国を愛する」が故に、と言うよりも、「本の売り込み」の為の自己宣伝が実際の「動機」である、という事も考えられる。

 

私はこの人を個人的に知っているいるわけでもなく、勿論、何ら怨み辛みも無い。ただ、法科卒の肩書きを持つ人が、憲法学者2、800 人を事も無げに「アンポンタン」と決め付けるという一般常識よりかなり逸脱した発言に、礼儀礼節の国柄とは裏腹に、意地と蒙昧が列島社会で結構併存している「実情」に驚きを感じて書き出したものである。

 

衆知のように、大正末、昭和初頭、日本が過去の「同盟国」だった米英に対して「敵意」を抱き始めるようになった主な切っ掛けの一つは、「ワシントン海軍軍縮会議」にある。

主力艦の保有台数の比率を、米 5、英 5、日本 3、とする、そしてフランス 1.75、イタリア 1.75。と決めた米英を主体とする「軍縮会議」に、日本が不満を持った事から、列島で、米英が「鬼畜」に扱いされ始めるようになった。

果たして、米5、英5、日本3 というのはそれほど「理不尽」なものであったのかどうか、ほぼ、百年近くの月日が経った二○一三年の五月、ウエブ上で、この質問に答えて、『ベストアンサーに選ばれた回答』の内容を見てみると、

 

『日露戦争に勝ち、海軍力を着々と増強していた日本は名実ともに世界三大海軍国の一つになっていた。そして軍人の中には既にアタマに血がのぼってしまっていたものがいて(笑)、世界に冠たる大日本帝国海軍が米英海軍の下とはけしからん!と騒いでいた。その様な成り上がりもの的な感情論以外にも、対米比率が少なくとも7割でないと敵が攻めてきた時に護り切れないという戦術論もあり、、、』

『それでは日本が意地を通して条約を結ばないで蹴っ飛ばして帰ってきた方がよかったのか?主席随員の加藤寛治(のち軍令部総長)はそう主張して加藤友三郎に怒鳴りつけられました。同じ加藤でも大違いです』

 

このような、客観冷静な分析を行ない、当時、軍縮会議の結果に不満を持った原因は「軍人の中にはアタマに血がのぼってしまったものがいて、、、騒いていた」、そして「その様な成り上がりもの的な感情論以外にも、、、」などのように、日本の国事決定に際しては、知性良識よりも血気や意地などの感情が往々にして進むべき方向を左右している列島の伝統的な「異常性」を指摘し、そのような論点が『ベストアンサー』に選ばれたのは、注目に値いする。

 

列島の現政権が、「外から攻め込んで来た際に、日本を守る」という前提の下ではなく、「他国の戦に介入、海外派兵が出来るようにする」という事を主眼に安保法案を強行採決をするのは、国の安全保証というより、単なる「国威発揚」の為でしかない、それは、嘗ての「日本帝国」が歩んだ道を再び歩こうとする事に外ならない。

 

安倍首相は、戦後世代で、生粋の「坊っちゃん育ち」だから、七十年前「帝国」を滅亡に導いた戦争の「凄惨」をよく知る訳は無い。だから、いとも単純に、「強い日本を取り戻す」という幻想に浸り、帝国日本の「轍を踏む」ような無謀を敢えて犯そうのするのだろう。

 

広い太平洋を隔て、広い新大陸から、遥かの島国の現状を眺めていると、なぜ、馬鹿げた無謀を一度ならず、再三に亙り意地で通そうとするのか、非常に理解に苦しむ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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