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『ヒトラー帝国の黒幕たち:ヨーゼフ・メンゲレ』

2019-11-14 13:00:27 | ドキュメンタリー
アウシュヴィッツの“死の天使” ヨーゼフ・メンゲレ、です。
アウシュヴィッツ収容所での人体実験の悪行から
人体実験&悪魔のような医師=メンゲレ、という図式が成立。
また子供、特に双子に執着していたことは有名で。
さらに悪名を際立たせております。

しかし、このドキュメンタリー番組では
そのような「悪魔の医師 メンゲレ」ということよりも
ナチス時代の医師たちの行ないや考え、などを紹介しています。
まぁメンゲレひとりでは、時間が持たないってこともあろうが。
メンゲレを、もっと広い視点から見ているって感じでしょうか?

そして・・・・私が「オッ、あまり期待していなかったが上々では?」
とニヤニヤした理由は・・・・
この視点です。
「なぜメンゲレが、代表格のように語られるのか?」
→「それは逃亡し、生き延び、結局は逮捕されなかったから」
と、確かに~という理由をしっかり伝えている点。

そして・・・・コレはなかなか取り上げられないのですが
メンゲレの故郷=ギュンツブルクを紹介している点です。
ドイツの南部にある街です。
メンゲレ一族は、このギュンツブルクの街では今も昔も名士です。
農機具関連の工場を経営し、裕福な資産家であります。
ヨーゼフは、後継者とはならずに、医学の道へ。

番組では、今のギュンツブルクの街を見せています。
案内人(番組のナビゲーター的存在)と歴史家が語ります。
街の公園・・・子供用の遊具がある。
公園の名は、ルース・メンゲレ公園。
ヨーゼフの弟の妻の名を冠した公園だ。
そしてカール・メンゲレ通り、という道もある。
これはヨーゼフの父親の名を冠している。

驚く案内人。“あの”メンゲレの名を取ったって?
平気なのか?
名士であるメンゲレ家は、街に福祉関連の活動や、寄付も行っている。
また・・・番組では言われませんでしたが
私が読んだ本では・・・・
メンゲレ経営の工場などで、働く街の住人も多い。

メンゲレ家に逆らえない・・・・もあるし
また同時に“アウシュヴィッツの死の天使”が?どうした??
という雰囲気・・・・問題視することもなく・・・・

これはヨーゼフが、逃亡中に実家に帰ったこともあったり
また実家はヨーゼフに多額の資金援助をしていたこともあり。

つまりね・・・・街の雰囲気は
ヨーゼフ・メンゲレに影響されていない・・・・
または影響があっても、それは極最小にってことらしいです。

この視点は、流石!と唸ってしまいましたね。
是非は、番組で示さなくてもOKなんですよ。
考えることは視聴者に委ねられているのだから・・・・
上質のドキュメンタリーとは、そういうものでは?

街の名誉?のために書きますが
番組では、ヨーゼフの悪行のモニュメントがあります。
それは多くの“目”に覆われたモニュメントです。
これはヨーゼフが、子供の瞳の色が変化の実験で
瞳に染料を注射して・・・という実験を物語っているそうです。
そしてこのモニュメントは、地元の高校生が建てたものだと。

これがヨーゼフの生家の街、です。

番組は、まぁ知られていることが語られるって流れです。

ヨーゼフの幼少期~少年期には、何か惨酷性を物語るエピソードはない。
普通の少年期を送って・・・・
(この辺は、歴史家も期待外れですが~と言っていました)
大学のため、街を出る。
医学を学び・・・・そして社会では優生学が大きな学問になっていた。
しかしナチスの提唱する優生学は、あまりにも極端だ。
障がい者や難病者への断種。子供を遺さない様に。
それが進むと、安楽死計画になる。
障がい者のための資金(税金)は、無駄ではないか?
それならば・・・・
その金は、他のことで多いに活用できるのだから。

T4作戦。
医師たちは、ナチスの提唱に積極的に関わってくる。
安楽死だけではない。
人体実験も、望めば幾らでも・・・・実験体はいくらでもいるのだから。

この風潮にヨーゼフも、ドップリ浸かっていきます。

これらから読み取れるのは
ヨーゼフが、極端に異常者ではない、ということです。
例え安楽死や人体実験に関わっていたとしても
それは当時の最先端の学問に関わっていた、ということになるのです。

だから特に異常ではない。

とは言っても・・・・アウシュヴィッツでの選別の担当者となって
送られてくる人々を、左右に分ける作業に従事する医師たちの中で
妙に積極的であったことは、事実のようです。
普通は嫌がって避けたいのに
メンゲレは、「代わるよ」と積極的に参加していた、とか。

この辺では、もう普通とは・・・・
でもこんな人、他にも沢山いただろうし。

ちなみに、この選別作業には、特別手当が支給されます。
現金ではなく・・・煙草や食糧の増量などなど。
やはり「汚れ仕事」という認識はあったようね。
それと「嫌がれる仕事」だったってことも。

戦争遂行のため、ナチスは人体実験を推奨していた。
医師たち、意欲的な研究者にとって
収容所は、天国のような場所だったのだろう。

医師とは人を助ける仕事なのに?困惑する案内人。
歴史家は繰り返す。
多分対象を人間として見なしていなかったから・・・・

それが全てだ。

それでも・・・ナチスの人体実験が世界に貢献した事例もある。
肝炎がウィルス性の疾患であると分かったのは
ナチスの実験からなのだと。

人体実験は、前線の兵士を助けるためであると同時に
ナチスの人種差別政策を正当化するためだったのではないだろうか?

案内人は問う。

メンゲレの研究に関しても語られます。
メンゲレが固執した双子の研究は、当時ではポピュラーであった。
メンゲレは最先端をいく遺伝学者のひとりであった、と。

アウシュヴィッツの医師となったメンゲレ。
彼には目的があった。双子の研究を、より可能にできるように。
アウシュヴィッツなら・・・・いくらでも研究対象はいる。
そして・・・・何をしても良いのだ。
この研究を発表し、医学会で出世することもできる。

案内人はアウシュヴィッツへ向かう。
ナチス最大の収容所。基幹収容所だ。

メンゲレは、武装SSの医師として戦地へ行っていた。
負傷し、戦地を離れ・・・・そしてアウシュヴィッツで働くことを志願した。

当然ながら、アウシュヴィッツのは大勢の医師がいた。
メンゲレは、その中のひとりだ。

医師の仕事のひとつ、選別。
列車から降りてきた人々を、働けるか否かで判断して“選別”する。

説明にしたがい、写真が紹介されます・・・・

メンゲレはなぜ双子に固執したのか?
明確には判明していないが・・・・多分・・・・
優秀な人種を増やす為の、双子を研究し
遺伝子を探っていたのではないか、と。

環境と遺伝・・・・双子は格好の研究材料だ。
不順な因子を排除するためにも、比較できる双子は最適なのだ。

ロマの子供たちも実験対象に。
お菓子を与え微笑み“優しいヨーゼフおじさん”を演じる。
そして子供を信用させ、研究室へ・・・
無用な手術、痛みを伴うテスト、手足の切断、
傷口をわざと化膿させたり、命に関わる病気に感染させる・・・
殆どの子供が命を落とす・・・・それならば解剖だ。

映像では、メンゲレの研究室が映し出されます。
今は綺麗に静かに見えますが、ここで・・・・

案内人は、自身も今までメンゲレの行いについては
本を読んだし、写真や映像、また映画などでも知っていた。
しかし、実際に来ると・・・・実感できる・・・・と。

戦後、逃亡に成功するメンゲレ。
一旦は多くのドイツ兵と共に拘束されたが・・・
メンゲレは、武装SSなのですが、タトゥー=刺青をしていなかった。
これが、武装SSつまり親衛隊ではない=逃亡できた、要因とされています。
親衛隊員は、左腕の脇の下に、自分の血液型の刺青をしているのですよ。
これは、親衛隊は優秀な人材であるので
他の兵士などよりも優先的に治療=輸血できる権利がある
って考えからで・・・・
でも入隊時にメンゲレは入れていなかったってことで。

偽名をつかって釈放されて。
ドイツ南部で農村で働いていた。
その頃戦後の裁判で、収容所の医師の悪行が明らかになり
メンゲレの名もあがり・・・

南米へ逃亡。
そこで本名でパスポートも取得している。
ドイツでは戦犯を追うことが、下火になった時期があり。
そのこともメンゲレに有利に働いていた。

しかし、だんだんと・・・・メンゲレに対する追跡が始まる。
同時期にアイヒマンの追跡もあり・・・メンゲレは更に逃亡する。
最終的にはブラジルへ。

ギュンツブルクの実家は、メンゲレを支えていた。
資金を送り、所在を確認し・・・
1970年代の半ば、メンゲレの息子が父親を訪ねている。

ここ、ちょっと!御注意!!
メンゲレの息子、は実の息子と、再婚した相手の息子、がいます。
ここで父親の会いに行ったのは、実の息子です。

時には、再婚した相手の息子も、“メンゲレの息子”と名乗るので
御注意を!
(って誰が注意するんだ?笑)

父親に会った息子は、父親に戦争中のことを聞きます。
特にアウシュヴィッツでのことを。
しかしメンゲレは何も語らず。
そして「何も悪いことはしていない。当時は正しいことをした」と。

メンゲレは、海水浴中に亡くなっています。脳卒中?心臓発作?


最後に案内人は、
なぜメンゲレが極悪人とイメージされるようになったか、と
歴史家に質問しています(イイ質問だ!)

歴史家は・・・イメージし易い犯罪であったからでは?と。
例えばアイヒマンが行ったことは、一般人には想像し難い。
しかしメンゲレは医師であるが、人間に対して惨酷な実験を行っていた。
それも子供に・・・
残虐行為も想像できる範囲だ。
そして逃亡・・・ますます関心が高まる要素だ。
だからメンゲレは、今現在認識されているような“地位”にいるのだと。

歴史家は、メンゲレがある意味逃げ切ったことは、不快だという。
悠々自適に人生を送っていたのだ・・・腹立たしい・・・と。
しかし実際には、「いつ追っ手が来るか」と大分怯えていたそうです。
末期には、精神的に不安定さが目立つほど怯えていた、と。


メンゲレについては、映画などの題材になりますが。
本が出ていますので。
本の方が、メンゲレについて分かるかと思います。

しかし・・・・登場する歴史家の方々は
アイヒマンよりも、メンゲレを不快そうに語っていましたね。

メンゲレは、確かにナチスの重要人物でも高官でもない。
しかし、ある意味、ナチスの歪んだ思想を体現している人物とも言える。
だからこそ・・・・メンゲレは汚名を遺したのだろう・・・・


最初にも書きましたが、良質のドキュメンタリーだと思いますよ。
ただ・・・・別にこの番組だけじゃないのですが・・・・映像や写真が・・・・
説明とマッチしている=説明されている場所で撮影されたものか否かが、
ちょっと分からなくて・・・・
その辺は、私は気になっています(ペコリ)






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