ココヨリトワニ

野球と文章書きに生きる男、空気王こと◆KuKioJYHKMのブログです。(人が死ぬ創作文があります、ご注意を)

ガーディアンアカデミー第1話 「入学式」(前編)

2010-01-07 01:57:47 | 二次創作
ネギ・スプリングフィールドは、「天才」と呼ばれる男である。
かつて9歳という今でも破られぬ最年少の若さでアカデミーに合格した彼は、そのまま何の問題もなく優秀な成績で卒業。
10年間ガーディアンとして活動し数え切れぬ実績を残した後、教師としてアカデミーに戻ってきた。
そんな彼が、その日は珍しく緊張していた。
今日はアカデミーの入学式。ネギは、その司会進行役を任されたのである。


◇ ◇ ◇


ガーディアンアカデミー・講堂。この場所には現在、20人の新入生と教員たちが集まっていた。
ずらりと並んだ20人の若者は、年齢も出身地も能力も千差万別。
また、この場における反応も千差万別。
緊張に顔をこわばらせている者もいれば、余裕がにじみ出る大物感溢れる者もいる。

「続きまして、当アカデミー校長でいらっしゃいます江田島平八先生よりお言葉をいただきます」

そんな新入生たちの耳に届くのは、マイクに増幅されたネギの声。
そのアナウンスに合わせ、一人の男が壇上に上がる。
一本の毛髪もない禿げあがった頭。それとは対照的な、常人以上に濃い眉とひげ。
全身から放たれる威圧感が、ただでさえ大きな体をさらに大きく見せている。
彼こそこの世界で暮らす者で知らぬ者は皆無と言ってもいい、伝説の七英雄の一人。
江田島平八、その人であった。
壇の中央にたどり着いた江田島は、一つ咳払いをする。
そして、あらん限りの声で叫んだ。


「わしがガーディアンアカデミー校長江田島平八である!!」


その一言だけ残すと、江田島は満足そうな表情で壇を下りる。

「ありがとうございました」

わけがわからずきょとんとする新入生たちをよそに、ネギは平然と式を進行させる。
どうやら、この江田島の挨拶はいつものことらしい。

「続きまして、来賓代表の挨拶です。内閣総理大臣、本郷猛様、お願いします」

続いて壇上に上がった男に、新入生の間からはざわめきが発生した。
それも無理からぬことである。
その男は江田島と同じ七英雄の一人にして、現在ジパングの政界でトップに立つ者。
仮面ライダー・本郷猛だったのだから。
現職の総理が挨拶に来るという事実が、いかにこの世界でアカデミーの存在が重要視されているかを物語っていると言えよう。

「えー、新入生の皆様、ご入学おめでとうございます」

よく通る声で、本郷は挨拶を始める。だがその直後、講堂に異変が起きた。

「おい、なんだあれ……」

最初にそう言ったのは誰だったか。異変には、すぐにその場の人間全てが気づく。
講堂の天井すれすれに出現した黒い球、それは徐々に大きさを増していく。
やがてそこから、大量の魔物があふれ出してきた。黒い球の正体は、こことどこか別の場所を繋ぐ次元の歪みだったのである。

「敵襲!?」
「そんな……アカデミーの対魔結界が突破されたんか!?」

「クックックック……。ハーッハッハッハッハ!!」

騒然となる講堂内に、狂気を孕んだ高笑いが響き渡る。
同時に、魔物の群れの中から鎧とマントを身にまとった銀髪の男が飛び出してきた。
その男は、他の魔物達とは雰囲気がまったく異なっていた。彼が特別な存在であることは、誰の目にも明らかであった。

「お前がボスか」
「その通りだ。我が名はオストラコン! 魔将軍・オストラコンだ!」

自分をにらみつけながら静かな声で尋ねる本郷に対し、男は堂々と名乗りを挙げる。

「聞いたことがあるぞ。祖国を裏切り、魂を悪魔に売り渡して魔物に転生した男、オストラコンの噂を。それが貴様か」

続いて、江田島がオストラコンに問う。オストラコンはそれにも、喜々として答えた。

「その通り。脆弱な人間をやめ、強大な魔物の力を手にしたのがこの俺だ!
 江田島平八、そして本郷猛。貴様らの首、その他の雑魚もろともこのオストラコンと配下の魔物300匹がもらい受ける!」
「誘惑に負け、力を手にするために人間をやめたか……。そんな相手に、この首をやるわけにはいかないな」

どこか切なげに呟くと、本郷は拳を固める。そのまま彼とオストラコンがぶつかり合おうとしたその時、無数の閃光が彼らの周辺に降り注いだ。

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル
 光の精霊100柱 集い来たりて敵を討て
 魔法の射手・連弾・光の100矢」

閃光の正体は、ネギの攻撃魔法。魔物の群れに襲いかかった百の矢は全て命中し、怪物たちの異形の体を消し炭に変える。

「何……!」
「これで、あなたの戦力は残り200です」

いきなりの攻撃で戦力を大きく削り取られ、わずかに動揺をのぞかせるオストラコン。
そこに、冷静沈着なネギの言葉が浴びせられる。

「ご無事ですか、校長、総理」
「心配しなくても、まだ何もされちゃいないさ」

自分たちの身を案じるネギの言葉に、本郷は穏やかな口調で返した。

「ここは僕たちにお任せください。お二人は避難を……」
「馬鹿者がーっ!!」

続いてネギは、二人に避難を促そうとする。だが最後まで言い終わらぬ内に、江田島の鉄拳が彼の頭を殴りつけていた。

「ひゃう! 何するんですか、校長!!」
「仮にも相手は、厳重に張り巡らされた対魔結界を破れるほどの手練れ! 貴様のような若造の手に負えると思ったか! わしと本郷も戦うぞ!!」
「し、しかし!!」
「わしがガーディアンアカデミー校長江田島平八である!!」

ネギの心を、殴られたとき以上の衝撃が襲う。江田島の言霊に対抗することなど、彼の実力では不可能であった。
ネギが沈黙したのを確認すると、江田島は今一度声を張り上げる。

「聞こえるか、新入生諸君! これを諸君の最初の授業とする!
 頭はわしと教員たちで抑える! その代わり、二百の雑魚は諸君らのみで殲滅せよ! 以上!
 わしがガーディアンアカデミー校長江田島平八である!!」

講堂全体を振るわすようなその声は、当然新入生たちの耳にもしっかりと届いていた。

「古泉君、聞いた?」

江田島の言葉を受け取った涼宮ハルヒは、たまたま近くにいた友人・古泉一樹に話しかける。

「ええ、もちろん。新入生20人で200匹の魔物を倒すとなると、単純計算で一人当たり10匹撃破がノルマになりますね」
「……楽勝ね」
「ええ、仰るとおりです」

二人の顔に浮かぶのは、共に不敵な笑み。
ハルヒは愛用の剣を抜き、古泉は両手にエネルギーを溜める。

「突撃ィィィィィ!」

ハルヒの声を合図に、二人は魔物の大群へと飛び込んだ。


後半に続く

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