二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

つぎに会うまでのさよなら(ポエムNO.3-24)

2019年11月26日 | 俳句・短歌・詩集
お世話になった人たちが消えていく。
死んでしまったというが
遺体にお別れしたわけではないので ぼんやりと想像するだけ 
悲しみにくれることすらできずに。

なんだか体の調子が悪くてね このところ。
まわりの人たちが死んでいくたびに
ぼくという人間のカケラを持ち去ってしまうから。
シーソーはいまでもゆれていて

ああ いつになったらゆれやむのだろう。
人っ子ひとりいない 小さな遊園地か街中の公園
そして置いてきぼりにされただれかのこころで。
ぼくにはそれが見える 軋む音が聞こえる。

あの人がいる この人がいる。
まだそんなに遠くへはいっていないのだ。
手をのばせばとどくような距離に。
そこからも いずれ立去ってしまうだろうけれど。

そのときほんとうにいなくなった といえるのだ。
知り合って話して 飲んだり食べたり笑いあったり。
たわいもないこと 契約に類するようなこと
人生観にかかわる・・・ようなことすら。

まだそこいらの空気の中に
その気配や香りがただよっている。
あの人やこの人の
そしてそこにいたぼくの。

お焼香をすませて外へ出ると
ウォーキングにはげむじじむさい年寄りたちが通る。
つぎつぎ 通る。
ああ どこへ向かっているのか

ぼくにはよくわかる 訊く必要なんてない。
さよなら さよなら
すぐそこの街角を曲がったら
元気だったころの祖父にだって会えるのだ。

だけど ほんとうのことは胸にギュッとしまっておこう。
悲鳴をあげる友人がいたら困るし。
さよならは つぎに会うまでのさよならだね。
あの人とも この人とも。

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