二草庵摘録

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「賢者の戦略 生き残るためのインテリジェンス」手嶋龍一・佐藤優(新潮新書)

2017年11月29日 | 対談集・マンガその他
第1章、第2章あたりはそれほど身につまされはしなかったが、第3章「『東アジア』での危険なパワーゲーム」、第4章「集団的自衛権が抱えるトラウマ」で、すっかり身を乗り出してしまった。
手嶋さんと佐藤さん、国際戦略の専門家お二人が、抉りの効いた、すごい対談をしている。
現代史はむろん、明治以降の近代史にかかわる闇の部分が、インテリジェンスをキーワードに明かされていく。

なぜインテリジェンスというかというと、これに対する精度の高い訳語が、日本には誕生していないからだという。
「冷戦期までは、インテリジェンスというえば国家が生き延びる術でした。ところがいまでは、民間企業でもインテリジェンスの技法は熱心に学ばれています」(本書250ページ)。

佐藤さんはインテリジェンスを4つの領域に分けている。

1.積極諜報(ポジティブ・インテリジェンス)
2.防諜(カウンター・インテリジェンス)
3.プロパガンダ
4.謀略

3や4までインテリジェンスの枠内の出来事と指摘しているわけであるが、外交というのはすさまじいつばぜり合いなのだ。マスコミが報道するトピックやニュースの裏の裏を読むこと。
それはむろん、だれにでもできる分析ではない。

原発の大部分が停止し、中東原油の海に危うく浮かんでいる日本経済。依存度は85%だという。対応を誤れば、たいへんな経済的、人的損害をこうむることになる。
インテリジェンスにすぐれたイギリス、イスラエル、ロシア、中国。こういった国際社会の荒波を乗り切って、日本はいかにしたら、この平和と繁栄を継続することができるか!
お二人の「真相究明」のインテリジェンスに耳を傾けずにはいられない。しかも、インテリジェンスは大企業、多国籍企業の防衛や、他社との競争にも役立つ。そういった真相を、ずばり、ずばりと指摘し、えぐり出す。血が流れてからでは遅いのである。
「水面下のたたかい」とは何であるのか?

これまで読んできた佐藤優さんの著書、対談集はどれもおもしろく、興味がつきないのだが、この対談もまた、見えない世界を白日のもとにさらけ出すような情熱にあふれている。
手嶋さんも的をはずさない人だが、佐藤さんの着眼点、歴史分析力も驚くほどすぐれているといわざるをえない。
現代の国際社会において、水面下で何が行われようとし、それは近未来の何に結びつくというのか。

「旺盛な経済の力は、軍事力に転化する」
「中立政策は必ずしも国家の安全を保障しない」
こういった鋭利な見解がいたるところにバラまかれている。
佐藤優さんを中心として、山内昌之さん、池上彰さん、宮家邦彦さん、半藤一利さんら、まだまだ読書の範囲は拡がっていくだろう。著書が多いので、とても全部は読み切れないし、その必要もないだろうが・・・。



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