戦場ヶ原からこんにちは

日光自然博物館がお送りする奥日光の自然情報+αです。

新・山の上からこんにちはvol.221

2017年07月28日 | 新・山の上からこんにちは

こんにちは、日光自然博物館です。

奥日光の自然情報を中心に、日光の最新の話題、さらに日光自然博物館のイベント情報を、
カテゴリー「新・山の上からこんにちは」の記事として毎週金曜日にお伝えしていきます。

 

■ 今朝の奥日光は20℃(博物館周辺8:00時点)

今回は、赤沼から戦場ヶ原を通り抜け、小田代原を周回してきました。
帰り道は『楽して風景を楽しんじゃおう!』ということで、低公害バスを利用して赤沼まで戻るルートを選択しました。

取材日はあいにくの雨模様。
ここ数日も曇り~雨が多いのですが、中禅寺湖の水位が低い・華厳滝の迫力がイマイチ……など、山の水が不足しているので、しとしと降り続く雨は『恵みの雨』と言えそうです。

 

まずは戦場ヶ原の様子から!

赤沼から湯川沿いの木道を歩いていくと、しばらく林が続きます。
カーブを曲がると、突然ぱっと視界が開けて、ホザキシモツケが出迎えてくれました!

見渡す限り、濃淡様々なピンク色の、ホザキシモツケのお花畑!
まだつぼみの花序も多いですが、見頃と言って差し支えないほど見事です。

思わず「おおっ!」と感嘆のため息がもれてしまいました。

 

視線を足元に向けると、ヒメシジミたちに大人気のホザキシモツケがあったり、体中に花粉をくっつけたミツバチがノアザミの蜜に夢中だったり。

花も虫も生き生きと活動的な季節。いつまでも眺めていたくなってしまいました。

 

続いて、小田代原! 

ノアザミが「私を見て!」と言わんばかりに、紫色の花をたくさん咲かせていました。(ごめんなさい、写真だとかなり分かりにくいかも……奥の方まで紫の帯が広がっています)
イブキトラノオやカラマツソウの白、クルマユリのオレンジなどカラフルで、目移りしてしまいます。

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夏の花々が勢いづいていますが、湿原や草原の草花だけではなく、たまには木にも目を向けると、新しい発見があるかもしれません。

例えばこれ。

木道にせり出したミヤマザクラの幹に、ゼリー状の塊がついているのを発見しました。

サクラの樹液には特に害はないと聞いていたので、手に取って匂いをかいだり、舐めたりしてみました。……が、無味無臭でした。

他の、例えばモミの仲間は、松ヤニと呼ばれるベタベタした樹液で、爽やかな森の香りがしますが、匂いに似合わず苦いんです。そんなギャップがあるかなと期待していたので、ちょっぴり残念でした。

この樹液、そのうち硬く固まりますが、その塊で虫や動物がかじった痕をふさいで、『かさぶた』の役割をすると言われています。
今回のサクラは、コスカシバという蛾の幼虫が幹を食べたために樹液がこぼれ出していたようです。

「やられっぱなしじゃないぞ!」という植物の意地が感じられて、わくわくしたと共に、改めて植物の強さ(つよさ/したたかさ)を実感できた取材となりました。(山)

 

◆ 観察会情報 ◆

☆「戦場ヶ原ガイドウォーク
  平成29年8月の毎土・日曜 10:00~/13:00~各1時間〈当日現地受付〉
  自然解説員とあんな発見、こんな体験してみませんか!?    

★「中禅寺湖畔ナイトハイキング2017
  平成29年8月4、11、18、25日(金)19:45~21:15〈〆切:各回当日16時〉
  湖畔の夜の世界と生きものたちに出会いに行きましょう!!

★「戦場ヶ原ナイトハイキング2017
  平成29年8月5、12、19、26日(土)19:45~21:15〈〆切:各回当日16時〉
  真っ暗闇でしかわからないことがある!?夜の戦場ヶ原へ集合!!

 

◆ 企画展情報 

★「昆虫展 奥日光最強の能力者たち」  
  平成29年7月15日(土)~9月3日(日)
  昆虫、それは最強の能力者!!彼らのスーパーパワーに、「すごい!!」の連発!?


花盛り!小田代原

2017年07月25日 | 自然情報

小田代原の今日の様子をご紹介です!

多くの皆様が気になるノアザミは見頃の状態で、小田代原に紫色のお花畑を作っています。

よく見ると白いノアザミが!

展望台から見える範囲にあるので、ぜひ見つけてみてください。

他にも

ホザキシモツケのお花畑や

ハクサンフウロのお花畑、

イブキトラノオのお花畑も今の見どころです♪

イブキトラノオの白い花はなかなかナイスなニオイがするので、手が届くろことにあったら嗅いでみてください。

他にもクルマユリやクガイソウ、ノハナショウブの花も確認できました。

(クルマユリ)

(クガイソウ)

(ノハナショウブ)

今週末は小田代原で夏のお花見を楽しんでみてはいかがでしょうか?(はる)

 

・・・ちなみに

最近ツキノワグマの目撃やクマ剥ぎが多い小田代原にクマよけの鐘が設置されました。

お互いの存在に気が付かずにバッタリ出会ってしまうことは、ツキノワグマにとってもわたし達にとっても不幸なことです。

そうならないためにもクマよけの鈴を携帯したり、赤沼自然情報でツキノワグマの目撃情報をチェックするなど、

バッタリ出会わないための対策もお忘れなく。


野生の夜@戦場ヶ原

2017年07月21日 | 自然情報

毎年ご好評をいただいている、戦場ヶ原ナイトハイキング2017

今年もすでにたくさんのご予約をいただいています。ありがとうございます!

8月毎週土曜日(5,12,19,26日)に開催する、このイベントに向けて、夜の戦場ヶ原へ下見に行ってきました。

 

夜の奥日光は、野生の生きものたちの世界。

戦場ヶ原への路上で、足元からがさがさと飛び出したのは、まだまだ小さなアズマヒキガエル。

懐中電灯がまぶしかったのか、手のひらにちんまり収まっている様子がとてもチャーミング♡

 

ちなみに昨夜は曇り空に加えて、霧が立ち込めていました。

 (クリックで拡大)

20時頃でしたが、

「晴れた夜よりもかなり明るいな~」
「木道は白っぽいからよく道が見えるね~」
なんて言いながら、イベントで使うルートの確認を続けます。

 

すると。
対岸のホザキシモツケの藪の中で。

 

 バッシーン バッシーン バッシーン

  

と、藪を叩きつけながら、かき分けるような、大きな物音が。
ソレと我々の距離、10mも無いくらい。

 

「……もしかしてクマ?」

「……体の大きなシカだといいな!!!」

「……まだその辺にいますよね?」

「うん、何となく、視線を感じる」

 

いくら明るいとはいえ、人間の視力では限界。
相手を確認することはできませんでしたが、本当にツキノワグマだったら……

その場にいるのはお互いにとって良くないと判断し、下見に行ったスタッフ2名、往路よりも大きな声で喋りながら、下見を切り上げて帰ってきました。

一人より二人、二人より大勢の方が、むこう(野生生物たち)がこちら(人間)の気配に気付きやすいので、お互いにドキドキしなくてハッピーです。
今回のはちょっと悪い例かも。

 

しかし、自然下に生きるものたちの「天敵に襲われる」恐怖感(に似たもの)を、強く感じられた、とても貴重な体験になりました。

 

……結局、何だったんだろう…… (山)

 

 

◆◇◆ イベント情報 ◆◇◆

戦場ヶ原ナイトハイキング2017
 8月毎週土曜日 19:45~21:15 <各回当日16時まで電話予約・先着20名>
真っ暗闇を体験してみよう!皆で行けばへっちゃら!

中禅寺湖畔ナイトハイキング2017
 8月毎週金曜日 19:45~21:15 <各回当日16時まで電話予約・先着20名>
夜の森や水辺には色んな生きものがいっぱい!?暗闇の中を探しに行こう!

どちらも博物館へお電話(0288-55-0880)にて、好評予約受付中です!!


新・山の上からこんにちはvol.220

2017年07月21日 | 新・山の上からこんにちは

こんにちは、日光自然博物館です。

奥日光の自然情報を中心に、日光の最新の話題、さらに日光自然博物館のイベント情報を、
カテゴリー「新・山の上からこんにちは」の記事として毎週金曜日にお伝えしていきます。

 

■ 今朝の奥日光は20℃(博物館周辺8:00時点)

今回は8月11日のイベント「ネイチャートレッキングin社山」のイベントの下見もかねて社山へ行ってきました。

                          〈写真のきれいな三角お山が社山です〉

社山は初級者~中級者向けの山で、道中のやせ尾根は開けていて、奥日光全体を眺望する事ができるとても気持ちの良いオススメの山の一つです。歩いたコースは歌ヶ浜P~阿世潟~阿世潟峠~社山の往復。湖畔からの景色を楽しめるだけでなく、湖畔沿いは勾配がほとんどないので、適度に体をあたためる事ができ良いウォーミングアップにもなります。

そして阿世潟以降からがいよいよ山登り本番です!

急な勾配に息を切らせつつも、涼しい風や動植物たちの存在に心身ともに癒されながら先へ進みます。

 

                                 〈ヤマアカガエル

そして間もなく頂上という所で遠くからサルを発見!!夏毛のサルは冬の時期ほど毛にボリュームがなく、ほっそりとした姿をしています。

遠くから観察しているとほとんどのサルが木に登り、枝を折ったり、しならせたりして何かをせっせと食べだしました。

サルが去った後、のぼっていた木を見に行ってみると、彼らがミネザクラの実を食べていたことがわかりました。5月ごろは花や柔らかい葉を食べていた事を思い出し、食べているものでも季節の移りかわり感じることができました。

 

 枝がしなるほど、実をつけたカラマツを見れば、リスや冬鳥のマヒワの姿が目に浮かび、大量に実が落ちたブナや葉が虫たちにほとんど食べられたミズナラを見れば今年のドングリは大丈夫かとお腹をすかせたツキノワグマの姿が浮かんできました。自然の中の出来事は季節をまたいでつながっていきます。夏本番に入ったばかりですが早くも動物たちの秋の食糧事情も気になってしまいました。

(岩)

◆ 観察会情報 ◆

☆「ネイチャートレッキング in 社山(第2回「山の日」記念全国大会連携イベント)

  平成29年8月11日(金・祝)8:00~15:40 〈〆切:7月23日(日)〉
  絶景広がる尾根を歩こう! なんてったって今日は山の日!

☆「中禅寺湖で英国式ピクニックを楽しもう!
  平成29年8月20日(日)10:00~15:00  〈〆切:7月31日(月)〉
  さわやかな風を感じながらハイキング
  そしてランチを優雅なひとときを!

☆「戦場ヶ原ガイドウォーク

 平成29年8月の毎土・日曜日(5、6、12、13、19、20、26、27の8日間×各日2回=16回実施予定)

 自然解説員とあんな発見、こんな体験してみませんか!? 

     

★「中禅寺湖畔ナイトハイキング2017

  平成29年8月4、11、18、25日(金)

  夜の湖畔と生きものたちに会いに行こう!

 

★「戦場ヶ原ナイトハイキング2017

  平成29年8月5、12、19、26日(土)

  真っ暗闇でしかわからないことがある、夜の戦場ヶ原へ集合! 

  

 

 

◆ 企画展情報 


★「昆虫展 奥日光最強の能力者たち」in日光自然博物館  
  平成29年7月15日(土)~9月3日(日)
  昆虫、それは最強の能力者!!彼らのスーパーパワーに、「すごい!!」の連発!?


続・小田代原花情報!!

2017年07月17日 | 自然情報

先日に続いての小田代原の開花状況です!

小田代原の貴婦人(シラカンバ)

 

開花し始めのノアザミがポツリポツリと出てきました!

しかし日当たりの悪い所などではつぼみの状態が多数だったので、全体が咲きそろうまでは1週間~10日

くらいかかりそう?

 

ノハナショウブは続々と咲きそろってきています。

見ごろは近いです。

 

イブキトラノオも大変目立っており、中には傷みはじめの株もありました。

(フタスジチョウ吸蜜中)

 

他にはハクサンフウロやヤマオダマキもきれいに花を咲かせていました。

(ハクサンフウロ)

 

まだまだ目を離せない小田代原の開花状況でした!(足)