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「バベル」 Babel

交通手段とコミュニケーションツールの発達からさまざまな意味において人と人が繋がりやすくなったのと裏腹に、たとえ言葉が通じるもの同士、あるいはそれが家族だとしても心が通わない、言わば「ディスコミュニケーション」をテーマに、ひたひたと押し寄せてくる圧倒的な演出力で観るものをねじ伏せてしまうまさに骨太な作品。

モロッコ、アメリカ、メキシコ、そして日本と、異なる国を舞台に4つの言語、そして手話(with TV電話!)が飛び交い、時系列を巧みにずらしながら、それぞれの物語が放つ糸がやがて結びついてひとつの大きなテーマへと持っていく見事な物語構成。



互いの心の空白をすべてをさらけ出すことで埋める夫婦。
ほんのいたずら心からやったことが引き金となって、どんどん追い込まれてしまう兄弟とその父親。
雇い主の都合で結果的に15年住み続けたアメリカから追い出されるベビーシッター。
そして唯一の理解者だった母親の衝撃的な死によって父と心通わせられなくなる聾唖の娘。



言葉だけでは通じ合えない、悲痛な思い。
心を通わせることが、どんどん遠くなっていく。

「なにも悪いことはしてないの ただ愚かな事をしただけなの」

やりきれない想いが、次々とこちらに向けて発せられていく。



そしてそんな中にも
激しく動揺しているアメリカ人女性に煙草を勧めて落ち着かせる老婆や謝礼の受け取りを固辞する通訳ガイド。
あるいは焼酎を飲みながら少女のことを思う刑事らが登場してきたりと、どこか希望を持たせる優しさも併せ持っているところが秀逸。

それにしても何ともやるせない兄弟やベビーシッターの結末に比べ、(束の間であれ)ハッピーエンドとなった夫婦という対称的な姿こそが、今の世界を現しているということなんだろう。

グスタボ・サンタオライヤの手掛けたあまりに儚く感じてしまう音楽がずっと余韻となって頭の中を響き続けていく。
コメント ( 6 ) | Trackback ( 35 )
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コメント
 
 
 
こんにちは! (由香)
2007-05-02 11:17:35
一つ一つの物語に重厚感があって見応えがあったのですが、終ってみると、少しモヤモヤとしたものが残りました。私には少し難しい映画だったようです(泣)
音楽はとても素晴らしかったですね。ずっと耳に残る印象的な調でした。
 
 
 
何度も頷きました☆ (ツボヤキ)
2007-05-02 23:20:34
嬉しい記事のアップに、何度も頷かせて
いただきました。有難いな~!
イニャリトウは抜かりないですね。
全て、感服です。
こんな時期(ニュース等)だから
余計に嬉しかったです。
これで一人でも映画館に足が向くことを願って☆
(どーも当方不具合なのか朝からTBができまへん
トホホホホ。。。スタコラ)
 
 
 
◇由香さん (nikidasu)
2007-05-03 03:15:03
決してわかりやすい映画ではないかもしれませんが、
難しく考えるのではなく、普通に思ったとおりに
感じ取ってもらえれば、と思います。
とにかく、その切なさが胸に響きました。
 
 
 
◇ツボヤキさん (nikidasu)
2007-05-03 03:22:41
まさに隙のない映画でした。
撮影然り、音楽然り、そして何といっても出演者それぞれの
演技の素晴しさにはまさに感服でした。

そしてニュースネタにもなった臨場感あるクラブシーンを含め
誇張のない「東京」の描き方にも唸ってしまいました。
 
 
 
私は好きな映画だった (ちえぞ)
2007-05-12 00:56:40
賛否両論なんですが、私は好きだった
”楽しい”ばっかではないが、いい映画やと思った

コミュニケーションってほんと難しい
それが身近な人であっても、同じ言語を話していても

でも、だからといってけして絶対的に孤独ではなく
どこかで人って通じあってて
そこがなんだか生きててよかたと思えるような…

”辛く悲しく、でも生きてく、生きてける人間”

てのを再確認したような気持ちになりました

すごいねイニャリトゥ、しかもイケメン、私好みの。
刑事役の二階堂智、この人もよかったわ。
 
 
 
◇ちえぞさん (nikidasu)
2007-05-12 08:48:17
どこか一筋の希望の光を残したところにアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
(それにしても長い名前!)の眼差しの優しさを感じました。
それにしても相変わらずの面食いぶり。さすがであります(笑)。
 
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