goo

「ローズ・イン・タイドランド」  Tideland

10歳の少女の目眩くブラックテイストたっぷりのワンダーワールドヘと導いてくれるテリー・ギリアムによるファンタジー作。

時代に放置されたロック・ミュージシャンの父親(ジェフ・ブリッジス、まさに適役!)とジャンキーの母親(ジェニファー・テイリー、こちらも怪演)との間に生まれ育ったヒロイン、ジェライザ=ローズ。
彼女の目に映った世界が彼女を中心に虚実交えてイマジネーション豊かに描かれているのだけど、その世界観はナンダカンダ言ってもどうしたってギリアムワールド。

大人が勝手に思い込もうとするディズニー的な純粋無垢な子供の世界ではなく、10歳という善悪の判断が付きそうで付きにくい年齢の少女が持つであろうリアルな危うさ、残酷さがイマジネーション溢れる美術や衣装とともに見事に展開されている。



傍目からは不気味に見えてしまう頭部だけのバービー人形に語りかける思い込みと思い過ごし。現実の延長であるミイラ化した死者と同居する死生観。性に象徴される大人の世界への覗き見・・・・。
まさにそこはダークでファンタジーな世界で、ついつい見入ってしまう。

そして母親が死んだのがわかってローズの最初のリアクションが、母親のチョコレートを食べることというのもある意味凄かったけれど、観ていて一番ドキドキさせられたのが障害を持ったディキンズ(頭の傷は強制ロボトミー手術の跡?)とのリアリティありすぎのラヴ・アフェア。
まさに禁断の恋とでも言うべきそこに描かれている少女のとんでもない危うさはあまりに際どすぎて、「おいおい、アカンやろう」と思わず動揺してしまう程。
そしてこんな微妙なところにまで踏み込めるのもギリアムならではということかと妙に感心してしまった。



ただ、とは言え少女を主人公に持ってきたためか、あるいはさすがのギリアムも穏やかになったのか(妄想癖の少女繋がりで「ボビーとディンガン」に通じるファンタジーが持つ面白さも確かに好きなんだけど)、彼に是非求めたい「毒気」といった意味ではいささか物足りなさも感じてしまったのも事実だ。
本当のギリアムの世界はまだまだこんなもんじゃないぜと、次回作ではもっともっと弾け飛んでくれることを強く強く期待。



今日の1曲 “ 女ぎつねon the Run ” : BARBEE BOYS

ということで?バービー人形からバービーボーイズ。うっ、我ながら何という安直さ。おまけに映画には全然そぐわない曲調(汗)。
80年代を代表する日本のポップバンドである彼ら。実はほとんど聴いたことがなく、確か1曲好きな曲があったはずなのですが、思い出せません。トホホホ。
ということで取り敢えずは、87年リリースの4枚目のアルバム「LISTEN! BARBEE BOYS 4 」からコンタこと近藤敦(「ふたりぼっち」という映画もありました)と(後に山崎まさよしやスガシカオらと共に「福耳」として活動していた)杏子という強力な掛け合いツイン・ハスキー・リードヴォーカルが楽しめるこの曲を。80年代というより何となく昭和の香りが漂ってきます(苦笑)。
アルバム試聴はHMVのコチラから
動画はこっち

コメント ( 5 ) | Trackback ( 22 )
« 銀座 煉瓦亭 「冷血」 ト... »
 
コメント
 
 
 
同世代 ()
2006-09-20 21:44:15
ジェフ・ブリッジスはこういう役をやると、ほんと楽しそうですね。彼にはいつも同世代の共感を感じてしまいます。たまには『恋のゆくえ』みたいなのもやってほしいけど、あの体型じゃもう無理か?
 
 
 
体型もそうですが (nikidasu)
2006-09-20 22:54:51
■雄さんへ



ボブ・ディランの映画でもそうでしたが、何だかジェフ・ブリッジスは

だんだん怪しくなっていて、微笑ましい感じです。

同世代と言えば、私の場合ケヴィン・コスナーになってしまう?

のですが、同世代の共感はあまり感じません(苦笑)。



 
 
 
少女の心を忘れない大人の女!? (ちえぞ)
2006-09-21 13:31:12
いえいえ成長していない大人!?の女子、ちえぞです。

この映画、好きー!

私、ロードショー前に、自社のソフィアっちゅう試写室で観てん。

(ソフィア・コッポラ女史からお名前拝借してるんですって、ププ)

ええ、この映画の配給が弊社なもんで、その特権です

な。



そのときも、やはり途中退室した社員もいたそうなのですが、わたしはな~んか好き。

グロいんだけど、子供ってこういうの、ときどき意外に平気だったりすんだよね。

大人になって智恵とか常識とか社会性が身についてくると

「気持ち悪い」とか「やっちゃいけない」とか思ってしまって、

受け付けられなくなっちゃうんじゃないかな~。

あ、私もある程度社会性とかあるんですけどね(たぶん)。

とーにかく、このローズ役の女の子が超超超かわいくって、

このキャスティングだけでこの映画は大成功だったんではないかと思いますデス。



あ、ニキダスさま。選曲には納得いきまへん!

だってこの娘と杏子を同じページに並べるなんて---(絶句)デス!
 
 
 
す、す、すんまへん (nikidasu)
2006-09-21 13:52:13
■ちえぞさんへ



今回の選曲、自分でもムチャしたなあと後悔しています。

せめて「イノトモ」あたりにしておけばと、昨夜から反省しております。



それにしてもローズ役の女の子、ご力説のとおり、かのダコダ・ファニングが

霞んでしまう本物の可愛さでしたっすね。

撮影当時9歳(!)だったそうで、今後どうなっていくのか、

楽しみであると同時に不安だったりします。
 
 
 
TB遅れてすみません~ (ミチ)
2006-09-26 23:06:38
こんばんは♪

ギリアムワールドって好き嫌いが分かれそう~って思いました。

楽しめる映像もあったのですが、嫌悪感を感じる映像も・・・(汗)

ジョデルちゃんはダコタちゃんよりも好きです。

末恐ろしいですね~。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。
 
ローズ・イン・タイドランド/ジョデル・フェルランド、ジェフ・ブリッジス (カノンな日々)
テリー・ギリアム監督の名誉挽回作。そもそもこの人の映画は一般ウケしなくていいんですッ(笑)「不思議な国のアリス」を下敷きにしたようなブラックファンタジー。またしてもお伽噺?って思ったりもしましたけど、別にアリスの実写版とか現代版ってわけじゃないん ...
 
 
 
『ローズ・イン・タイドランド』のミイラ (Days of Books, Films)
梶井基次郎の「桜の木の下には死体が埋まっている」にならって言えば、「大草原の小さ
 
 
 
ローズ・イン・タイドランド (銅版画制作の日々)
京都みなみ会館にて、「ローズ・イン・タイドランド」を鑑賞「ブラザーズ・グリム」の監督テリー・ギリアムの新作です。「未来世紀ブラジル」で有名な監督約20年前に公開された映画・・・・。確か観た記憶はあります。何か不思議な映画でした今回のこの「ロー ...
 
 
 
『ローズ・イン・タイドランド』 (ラムの大通り)
----テリー・ギリアム、精力的だね。 この前、『ブラザーズ・グリム』が公開されたばかりじゃなかった? 「うん。あの呪われた『The Man Who Killed Don Quixote』の不幸以来、 すっかり表舞台から姿を消していたと思ったら、最近またまた大活躍。 やはりただ者じ ...
 
 
 
『ローズ・イン・タイドランド』 (試写会帰りに)
『ローズ・イン・タイドランド』(TIDELAND)新宿武蔵野館にて。テリー・ギリアム監督の描く「不思議の国のアリス」とは。ぎりぎりエロでグロで、もの凄くどぎついものを見せられているのに、ギリアムファンタジーな映像の魔法に包まれて、一見それと気づかせない ...
 
 
 
ローズ・イン・タイドランド (2005) TIDELAND 117分 (極私的映画論+α)
 『不思議の国のアリス』が大好きな10歳の少女ジェライザ=ローズ。両親が2人ともヤク中で、ある日ついに母親が死んでしまう。慌てた父親はジェライザ=ローズを連れて故郷へと旅立つ。辿り着いた実家は、周囲に何もない草原の中に立つ壊れかけた古い家。着いて ...
 
 
 
ローズ・イン・タイドランド・・・・・評価額1200円 (ノラネコの呑んで観るシネマ)
気の抜けたシャンパンみたいだった空虚な大作、「ブラザーズ・グリム」に続いてテリー・ギリアムが送り出してきたのは、「嫌われ松子」が裸足で逃げ出す、とんでもなく悲惨な少女ローズの物語。 彼女が生きるのは、残酷な現実に
 
 
 
ローズ・イン・タイドランド TIDELAND (travelyuu とらべるゆう MOVIE)
ジョデル・フェルランド主演 10歳のジェライザ=ローズはジャンキーな両親を持っています 両親のヘロイン注射の手助けを平気でしています 周りに友達が居なく他に情報は無いので「不思議な国のアリス」の本を 幾度と無く読み続けています アリスの冒険と自分 ...
 
 
 
Bitacle Blog Search Archive - 「ローズ・イン・タイドランド」  Tideland (bitacle.org)
[...] 10歳の少女の目眩くブラックテイストたっぷりのワンダーワールドヘと導いてくれるテリー・ギリアムによるファンタジー作。 時代に放置されたロック・ミュージシャンの父親(ジェフ・ブリッジス、まさに適役!)とジ [...]
 
 
 
■〔映画鑑賞メモVol.12〕『ローズ・イン・タイドランド』(2005/テリー・ギリアム) (太陽がくれた季節)
◆◆鑑賞前メモはこちら~ こんにちは、ダーリン/Oh-Wellです! ここ東京では、8月に入ってからというもの、じりじりと熱くなり過ぎない気持ちの良い夏の晴天日が続いています! さて、私、8月の始めにはお盆休み前の“プチ休暇”を取っていたりもし中 ...
 
 
 
ローズ・イン・タイドランド (江戸っ子風情♪の蹴球二日制に映画道楽)
 イギリス&カナダ  ドラマ&ファンタジー  監督:テリー・ギリアム  出演:ジョデル・フェルランド      ジェフ・ブリッジス      ジェニファー・ティリー      ジャネット・マクティア 「不思議の国のアリス」が大好きな10歳の少女ジ ...
 
 
 
ローズ・イン・タイドランド/TIDELAND (我想一個人映画美的女人blog)
テリーギリアムが創り出す、 少女ローズの現実逃避による、イマジネーションワールド 去年9月のトロント映画祭で出品,上映されて yueがジェニファーティリーと写真撮ってもらったあの時の作品、 やっと日本公開☆期待しないで待ってました~ 公開2日目に観に行 ...
 
 
 
ローズ・イン・タイドランド (カリスマ映画論)
【映画的カリスマ指数】★★★☆☆  妄想の国のお色気アリス    
 
 
 
映画「ローズ・イン・タイドランド」 (ミチの雑記帳)
映画館にて「ローズ・イン・タイドランド」 悲惨な現実を生きる少女ジェライザ=ローズが、少女ならではのイマジネーションで不可思議な冒険を繰り広げるファンタジー。 鬼才テリー・ギリアムがギリアム版「不思議の国のアリス」に仕上げた。テリーギリアムといえ ...
 
 
 
ローズ・イン・タイドランド (ネタバレ映画館)
お腹を押せばオナラが出るんです。しかし、ミは出なかったんでしょうか?名前がジェフ・ブジッジスというくらいですから・・・
 
 
 
「ローズ・イン・タイドランド」 (ひらりん的映画ブログ)
ひらりん的にどうも、相性の悪い系監督のテリー・ギリアム監督。 ちょっと、凝り過ぎちゃってて、イマイチつぼにはまらない作品が多いねっ。
 
 
 
映画「ローズ・イン・タイドランド」 (しょうちゃんの映画ブログ)
「ブラザーズ・グリム」のテリー・ギリアム監督作品。『不思議の国のアリス』を下敷きに、一人の少女のグロテスクな空想世界を独特の乾いたタッチで綴ったミッチ・カリンの異色ファンタジー。てっきりローズが不思議な国で体験する不思議なお話だと思っていましたが違って...
 
 
 
『ローズ・イン・タイドランド』'05・英・加 (虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映画 ブログ)
あらすじ10歳の少女ジェライザ=ローズ(ジョデル・フェルランド)は元ロックスターでジャンキーのパパ(ジェフ・ブリッジス)と同じくジャンキーのママ(ジェニファー・ティリー)と共に暮らしいていた。ある日、オーバードーズでママを亡くしたパパとジェライザ=ロー...
 
 
 
ローズ・イン・タイドランド:映画 (ジフルは映画音楽札幌グルメ紹介)
今回紹介する映画は、好きな監督の一人テリー・ギリアム監督の作品で、サン・セバスティアン国際映画祭でFipresci Prizeを受賞した作品の『ローズ・イン・タイドランド』です。 まずは映画のストーリーから・・ 10歳の少女ジェライザ・ローズ(ジョデル・フェルラン...
 
 
 
ローズ・イン・タイドランド (☆彡映画鑑賞日記☆彡)
 『ギリアムの“アリス”は、孤独の迷宮をさまよう』  コチラの「ローズ・イン・タイドランド」は、昨日7/8公開になったR-15指定の映画なんですが、公開2日目というのもあってかなりの混雑ぶりでした。  「未来世紀ブラジル」、「ブラザーズ・グリム」のテリー・ギ...
 
 
 
ローズ・イン・タイドランド (★★むらの映画鑑賞メモ★★)
作品情報 タイトル:ローズ・イン・タイドランド 制作:2005年・カナダ 監督:テリー・ギリアム 出演:ジョデル・フェルランド、ジェフ・ブリッジス、ジェニファー・ティリー、ブレンダン・フレッチャー あらすじ:10歳の少女ジェライザ・ローズ(ジョデル・フェルラ...
 
 
 
ローズ・イン・タイドランド (★★むらの映画鑑賞メモ★★)
作品情報 タイトル:ローズ・イン・タイドランド 制作:2005年・カナダ 監督:テリー・ギリアム 出演:ジョデル・フェルランド、ジェフ・ブリッジス、ジェニファー・ティリー、ブレンダン・フレッチャー あらすじ:10歳の少女ジェライザ・ローズ(ジョデル・フェルラ...