日々の淡々 

普通の日常の、淡々を

質より食

2009年02月04日 00時27分54秒 | Weblog

昨日の節分は娘と二人で恵方巻きを作り
家の者が帰宅した後、三人で豆を撒きました。
この豆、北海道では落花生(カント豆とも呼びます)が一般的なのですが
内地ではやはり本格的な丸い例のあの豆なのでしょうか。
この撒いた豆、どうやら自分の年齢の数だけ食せば良いとのことなのですが、
四十路の私が流石に落花生40殻1殻2粒と換算し計80粒ものピーナッツを
食そうものなら確実にカロリーオーバー間違いないと、
それに付け加え、どうも自分、柿の種を食す際はピーナッツを除け
柿の種のみ頬張る癖が有る事からも分かる通り、
ピーナッツは嫌いじゃないけれども、世の中から無くなっても
ノープロブレムであり、ゆえにそのノープロブレムな輩の周りを
これまた剥くのに結構苦労する硬い殻で覆われている落花生は
ご近所事情以上に興味が無いと。
それに更に付け加え、我家は毎年節分に撒いた落花生の回収率がすこぶる低く、
数週間後、ヘタすれば数ヵ月後に、物陰からぽろりと転がり出て来る始末。
これはちょっと、どうよ、と毎年毎年思い考えておりました私は
もう落花生は止め様と、どうせなら家族全員美味しく頂く事ができる
豆にしようと思い立ち、今年は酒の席でもよく見かける、
色々な種類の豆菓子が入った三角の袋詰め合わせをチョイス、
娘は大喜びで三角小袋をわっしと掴み、福は内と唱えながら撒き、
案の定100%回収した後、嬉しそうに頬張っておりました。
質より食をとった我が家から鬼は去って行ったのでありましょうか。
福はやってくるのでありましょうか。

今日の夕刻時、帰宅しようと会社から外へ出ましたところ、
昨日よりも空が明るく、頬を刺す空気はまだ痛くとても冷たかったのだけれども
春は確実に近づいてきているのであります。
夕暮れ時が少しずつ長くなるのと同じ速度で。






怖いと思うから怖いのよ

2009年01月31日 00時24分27秒 | Weblog
先週末の夕刻時のことであります。
家の者と娘と三人で近くのスーパーマーケットにて食材を
物色しておりましたところ、自前携帯電話に実母ババリーヌ略して
ババリから電話が掛かってきました。

ササキさん?(ババリは実娘の私を嫁ぎ先の名で呼ぶ
変な癖があります)おほほほほ、元気?今どこ?何してた?

遠距離恋愛ラブラブカップルもドン引きしそうなババリ流挨拶はいつもの事で
ありますので私は、ああ、今皆でスーパーで買物してけど、何かあった?と
野菜を手に取りながら適当チョップに相槌を打ちましたところ、
いやね、実はね、それがね、と、そこから延々とババリの話が炸裂。
長いので要約しますと、自分、非常に疲れて肩が凝っていると、
それで例の風呂屋へ行きたいのだけれども、友達の堀江さんは
今日は駄目で実父ジジリーヌ略してジジリも会合があって不在だと、
だから今夜風呂屋へ一緒に行かないかと、このような内容でありました。
この例の風呂屋といいますのが、自宅と実家の丁度中間地点にある
何の変哲も無い普通の銭湯なのですが、ほら電気風呂ってあるではないですか。
どういう仕組みになっているのかは定かではありませんが、
湯に浸かると低周波治療器の如くピリピリとしてちょっと入るのに
勇気がいる、スーパー銭湯などでよく見かける種類の風呂が。
ババリ曰く、その例の風呂屋は電気風呂のピリピリ度合いが
通常より強力で、故によく効くと、そのような訳でババリ友人界隈で
今一番熱いのがその例の風呂屋なのだと、だからどうしても今夜行って
ビリビリしたいと、まぁそのような塩梅だったのであります。
そっかそっかと、いや私も最近ちょっと疲れていますし、風呂にでもゆるりと
浸かってのんびりしたいなと、そう思ったのでありますが、
一つ大きな問題があるのです。

でもね、ササキさん、車の運転、駄目なんでしょ?

そう私。生まれも育ちも北海道の、生粋の道産子なのでありますが、
冬道での車の運転が非常に不得手でありまして、
この時期は道路幅員8m以上の公道での走行はほぼ不可、
基本的に職場へ行くのも買物へ行くのも全て道路幅員8m以下の
いわゆる裏道、人呼んで「裏道の女王」。そのような塩梅なのであります。
それでも、これではいけんと思い、誰もいないつるつる凍結路面にて
走行練習を密かに重ね、昨年からは出来るだけ公道を走行するよう、
ちまちま努力しているところでなのでありますが、基本的には
小心者のこの私、やはり心の準備が必要でありますから、
買い物先で受けた携帯電話にていきなり風呂屋へ連れて行ってくれと
言われましても、ねぇ、ちょっと困るではないですか。
ですから、ちょっと迷いました私ではありましたが、
そうだねぇ、夜はつるつるになるから無理だね、と
実母ババリからの誘いを断り、電話を切ったわけですが、でもなぁ、と。
疲れてるって言ってたなぁ、ババリ。ああそっか、先週は2度も札幌へ行ったって
言ってたし、新年会ラッシュだったらしいからなぁ、そりゃ疲れるよなぁ、
口うるさいけどもう70歳だしなぁ、と、そんな思いに駆られました私。
だってね、ほらね、誰も一度も言ってくれた事はありませんが、
良い女の良い娘じゃないですか、私、おほほほほ、ですから、
やはり可哀想かなって、家の者に、あんたはこれからライブ入ってるから
いないんだよねぇ、今日の道路の塩梅はどうかなぁ、私でも走れるかなぁと
訊いたところ、こんな道走れなかったらアッホじゃないの、って
言われたし言われたし、ちっ言われたし、
じゃぁじゃぁちょっくらチャレンジしてみましょうか、と
思い立ったら吉日でゴーとばかりにその場で実家へじゃぁ行くわと電話を掛け、
そそくさと買物を済ませ夕飯を食した後、娘を乗せ、いざ実家へと
車で向かいました親孝行な自分、だったのですが。

家の者にアッホと言われようがどうしようが恐ろしいものは
恐ろしいのであります。
もうもう震えながら時速30キロ三速ギア(私の車はマニュアルなのです)
キープレフト更に更にレフトで道路幅員察するに27,27mの公道を
走りぬき、工事中につきロードヒーティングの無い橋をビクビク
最高潮のまま越え、途中、後方車両のヘッドライトが近づいてきたならば
邪魔にならないよう左折し一旦停止、道路が空になったのを確認し
再度スタート、こんな涙ぐましい工程を重ね、漸く実家へ辿り着いた
私に実母ババリは、あら、ササキさん、やっぱり来れたじゃない、おほほほ、と
何処吹く風。
そんな腹立たしい事この上ないババリを乗せ、またほぼ同じ道を戻り、
例の風呂屋へ向かったのですが、
乗り始めは、ゆっくりでいいのよ、急がなくていいからね、ササキさん、と
結構優しい言葉を掛けてくれていたババリでしたが、ちょっと滑るたび
おおおおお、ひいいいいいいと小声にて(一応)悲鳴を上げる私に
イラっときたのか、徐々に小言をくちくちと連射してきやがりました。

人間はねササキさん、怖いと思うから怖いのよ、
ほら隣の車なんてすーっと走っていったでしょ、大丈夫だから
何ともないから、ササキさんも思い切って行って御覧、ほら、ほら、
あらササキさん、またひいいいって言った、駄目でしょ、もう、
ひいいいいって言うから余計怖くなるのっ、怖くなーい怖くいったら怖くないのっ。

これには良い女良い娘を売りにしている私も流石にブチ切れまして、
のろのろ走行しつつも口元アクセルは一気に全開。

ちょっと、ぶちぶちぶちぶちうるさいのっ、怖いんだからしょうがないしょっ、
道路つるつるなんだから怖いのは当り前なのっ、
ババリは運転しないからこの怖さが分からないんだよ、ばっかじゃないの、
これでもね、大きな道走れるようになったんだよ、ほら、今走ってるしょ、
一生懸命やってるんだからもうちょっと黙っててよ、
うるさくて余計運転できないしょっ。

その後も攻防戦は続いたものの、ブチ切れが幸いしてか、
思ったよりも早く例の風呂屋へ到着した私ら三人衆は何事も無かったかのように
電気風呂に浸かり、帰りは、時間が遅かった為か殆ど車の
横行がありませんでしたので、楽勝ボンボンでありましたが、
今思えば何とまぁ大人気ない会話でありましょうか。
40歳の娘と70歳の母との会話が
怖くなーい、怖くなーい、に、ばっかじゃないの、とは、とほほ、であります。
以前ツーピースを実母ババリに仕立てて貰った際も
(ババリは仕立屋兼洋裁教室の講師をしているのです)
私の脂肪腹下肉を巡って血みどろの戦いが勃発、
もうそろそろお互い平和に暮らしたいと願い、反省する今日この頃であります。


そんな週明け。
その日は一気に冷え込みましたので路面は
誰が見てもつるっつるのつる、これはちょっとハードルが
高いなと、帰宅時はいつもの裏道コースをチョイスし、のろのろと車を
走らせておりましたところ、右折してきた一台の車が私の前方を
走り始めたのですが、これがもうもう。
私はいつものように3速ギアで時速30キロ程で走っていたのですが、
それでも途中何度もブレーキを踏まなければならないほど、前方の
車は低速度、察するに15キロ未満、いやいや私を上回るほどの
臆病さんがいるんだな、とちょっと嬉しくなったのでありますが、
公道と裏道が分かれる交差点に差し掛かり、きっと前方さんも
裏道楽々のんびりコースをチョイスだねと思いき、なんと前方さんは
煌々とウインカーを上げ、何の躊躇もなさそうに、でも超低速度にて
公道へと走り去っていったのであります。
時速15キロで公道とは実にチャレンジ精神満載であります。
私も見習わなければなりません。
今季の目標はつるつる公道を4速ギアにて40キロ走行。
四十路ですからね、4並びで攻めたいな、なんて。

怖いと思うから怖い、か。確かに。




温い雨

2009年01月29日 16時31分03秒 | Weblog
先程用足しに出掛けようと外へ出ましたところ
ぽつぽつと雨が降っておりました。
例年のこの時期は吸い込んだ息が肺の中で凍り
パリパリと砕け散る音が聞こえるかと思える位
気温が深々と下がるはずなのに
今日も今日でぬるぬるとした雪面に滴り落ちるは
呑み残した燗酒のような温い雨。

なんとなく、日記を記す気分になれず。


でも罰が当たるかもしれません

2009年01月23日 00時05分03秒 | Weblog
年末年始と年を跨ぎ風邪をこじらせ、家の者の実家へ
出向けませんでした私でしたが、おせち料理を食べられない私を
気遣って下さった家の者の祖父、堅苦しいのでおじいちゃんと
記させて頂きますが、そのおじいちゃんが、
これ効くからニキさんに飲ませてあげなさいと、
家の者に胃薬を託して下さいました。
その胃薬といいますのが、正露丸をもっと小さくしたような黒い丸薬を
10粒服用するという代物で、ばらばらと300粒程の丸薬が入った
厚手の小さなビニール袋の表紙には、えらい渋い字体にて
「高野陀羅尼助丸」と表記されており、その何ともエックセレントな
風情満載の胃薬にしびれましたのは言うまでもありません。
凄いね、これ、格好良いね、これ、めちゃめちゃ効きそうだよね、これと、
これこれ連呼しつつ、数を間違えないよう目をしょぼしょぼさせながら、
袋から丸薬を10錠取り出し、早速服用しました私に家の者が
説明してくれたところによりますと、この陀羅尼助丸はおじいちゃんが
若い頃、戦地へ行った際常備薬として持っていたのだそうで、
以前に雑誌か何かの通販で見つけ、それ以来再び愛用しているとの
事でした。
戦地ということは、随分と昔からある薬なのだと豪く驚きました事と、
「高野陀羅尼助丸」という、字体だけでもご利益がありそうなネーミングに
興味をそそられました私は先日仕事の合間にネットで
検索をしてみましたところ、関西方面では家庭常備薬として
有名なのだそうで、沢山のサイトが見つかりましたのですが、
その内容が凄い凄い、弘法大師が唐から伝えてきたですとか、
藤原鎌足の腹痛を治したですとか、山伏御用達ですとか、
戦前どころか、1300年もの歴史のある名薬なのだそうであります。

正月は「高野陀羅尼助丸」を服用しつつほぼお粥で過ごしたこともあり、
少し体重が減りました私でありましたが、いやいやいもうもう
今現在の自分、胃の調子が絶好調で、お腹が空いても胃が
痛まなくなりました。
流石であります、流石1300年の歴史、もうもう高野陀羅尼助丸様様で
あります。どうやら粒状でなく、板状でも販売されているようなので、
ちょっとばかし通っぽい板状の方を是非購入したい私であります。
そしておじいちゃんにもプレゼントしたい。うん、良い、実に良い。

しかし、一つだけ難点があるのです。
たった40年そこそこしか生きてないない若輩者のこの私が、
1300年の歴史を背負う「高野陀羅尼助丸」様に一言物申すのは
もうもう仏の顔に泥を塗る行為だと、観音様を足蹴するのと同じだと、
重々承知の上で記させて頂きますが、
ちょっとね、難しいのですよ。
何って名前が、ネーミングが。
「高野陀羅尼助丸」って皆様パッと見読めますか。
「こうやだらにすけがん」と読み、とあるサイトの説明によりますと、
陀羅尼助の「陀羅尼」とは、僧が唱えるお経の中にある名前で、
陀羅尼経とは、重病を治す薬のような功徳があるといわれ、
そして「助」は、病気を治療して人々を助けるの「助」なのだそうですが、
正直な話、私は最初、パッと見時点で心の中にて
「こうやだらだらすけまる」と読みましたもの。
高野は高野山のことだろうからと、辛うじて「こうや」と読んでみましたが、
陀羅尼助丸にいたっては「だらだらすけまる」。これでは治るものも治らんです。
そしてです。
こうして正解の読み方を知った今現在でも咄嗟に「だらにすけがん」という
名前が出てこないのであります。
いやね、これね、もうね、自前脳味噌はしわ一つ無い
つるっつるのつるでありますから、
仕方ないっちゃぁ仕方が無いのでありますが、
非常に不便ではないですか。
よく物を置いた場所を忘れる私、陀羅尼助丸が見当たらないと、
そこで娘に訊いてみると、あれどこだっけ、あの薬。
世間様での歴史は長いが我が家での認知度はかなり低い
陀羅尼助丸は、まだ「あの」や「あれ」の領域に達してはおらず、
娘には通じないと。
そこで咄嗟に私の口から出ました言葉といいますのが、

ほらあれ、独眼竜政宗の薬さ。

最初娘は、はぁ?独眼竜政宗?と怪訝そうな顔にて私をちら見したのでは
ありますが、流石我が娘、私のDNAを受け継いでいるらしく、
数秒後には、ああ、あのおじいちゃんがくれた薬かい?と
理解してくれたのであります。
まぁこうして漢字にて記しますと、全く接点が無いように思えます両者
ではありますが、
「こうやだらにすけがん」
「どくがんりゅうまさむね」
ちょっと声に出して読んでいただけますでしょうか。
ほら、ね、なんとなく似ている感じがしますでしょ。ですよね、ほほほほ。
と、いう事で、我が家ではこの名薬を「高野陀羅尼助丸」改め、
いや、通称、「独眼流正宗」と呼ぶこととあいなりまして、
めでたしめでたしなのであります。

皆様、胃の調子如何ですか。
独眼竜政宗、お勧めです。
読み方をアレンジしても効き目には差し障りありません。
でも罰が当たるかもしれません、合掌。



携帯電話

2009年01月21日 23時13分41秒 | Weblog
私所有する携帯電話、下着のパンツみたいな微妙に光沢のある
ピンク色なのですね。元来、電話そのものも、それでもって勿論
下着のパンツみたいなピンク色も好まない私でありますから、
数年前に上記二つが合体したこの携帯電話を半強制的に、
じゃぁ今日からこれ使ってね、と渡された際にはびりんびりんにしびれました
のは言うまでも有りませんが、しかし、使い慣れてみますと
ほうほうこれは便利だな、と思えるまでになりました。
まぁ電話嫌いの私に掛かってくる電話といえば、実母ババリーヌからの、
ちょっとね、頂き物があるのよね、何だと思う?ササキさん、
(実母ババリーヌは私を嫁ぎ先の名前で呼ぶ変な癖があります)
甘いものなの、おほほほほ、だから取りに来る?いつ来る?おほほほ、という
嬉しいけれども仕事中に掛けて来るのはどうかなと思われる内容のものか、
帰宅後若しくは休日にテロの如く掛かってくる上司からの、
ニキ、昨日のあの人のあの書類どこだ、電話は何番だ、若しくは、
ニッキさんでっすかーわっはっはは、貴女の会長でーす、
今ねちょっと飲んでるんだけどね、いやぁ分かる?会長、飲んじゃったん
だなぁ、これが、いやっはっは、等の、思わず無言でブチ切りしたくなる
ような内容のものか、
学校から帰ってきてお腹を空かせた娘からの
ね、お母さん、冷蔵庫にある海苔食べてもいい?蜜柑、もう4つしか
ないみたいなんだけど、幾つ食べていい?という実に震える内容の
ものか位なのですが、それでもメール機能も使いこなし始める等、
ここ数年で漸く昭和から平成に移行した私。

そんな矢先の最近。
困った事に、携帯電話の充電が物凄い速さで消耗するように
なりまして。
雪が降り始めた頃位から、あれ?もう1メモリ充電マークが減ってるな、
ああ、今日も昨日も結構携帯使ったしな、でもちょっと減りが早いかな、
なんてのんびりのほほんと思っていたのですが、年が明け、
いよいよバッテリーに臨終の時が近づいてきたのか、、
今日なんぞは昨日の夜充電満タンにしたはずが、
先程遠くの都会に住んでいるマイスウィートハートのゆごさんと
2、3度メールを交わしただけで、ピーという実にヒステリックな音と共に
携帯の電源が落ちる始末。

本来ならば、もうそろそろ携帯を買い替えるのが、世の中の常って
ものなのでありましょうが、元来携帯電話に何の執着も思い入れも
無い私は、同じ出費をするのであれば、ダイナマイト四国に
なるべく美容室へ出向きたいと、いや、だからといって別にプロレスラーとか
芸人になりたい訳でなく、ただダイナマイト四国の後ろ髪の如く
パーマをかけたい、というそれだけなのですけれども、
兎に角何の執着も思い入れもない携帯電話なんぞに
お金をかけたくないのであります。
ですので、とりあえずはこまめに充電し、なんとか繋いでいるのですが、
メール送信途中で電源が落ち、取引先からの電話の最中に電源が落ち、
まだ充電メモリ2つ残っているから大丈夫、なんてのはもはや仮面で、
数時間で電源落ち。やはり不便なのであります。
しかしながら、数年前までは携帯電話なんぞ持ったら最後、
絶対居留守使えない、地の果てまで追いかけられる、なんて半ば本気で
思っていた自分が、人差し指ででなく、親指でメールを打てるようになり、
携帯電話の充電に翻弄され、思うようにいかず、
ちょっとした不具合でいらいらしている。
本当に慣れって恐ろしいものであります。特に私のような体たらくには。





本当に好きなもの

2009年01月17日 23時53分44秒 | Weblog
幼少の頃、実母ババリーヌ略してババリに
頭が良くなるからと味の素を舐めさせられた経験があります私は、
鼻が高くなればもうちょっと見栄えが良くなるからと、
洗濯バサミで鼻を摘まれた経験もございます。
皆様如何お過ごしでしょうか。
それでもやっぱり脳味噌がつるっつるのつるな上に鼻も申し訳程度の高さしか
保持していないニキでございます。

唐突で大変恐縮ですが、皆様の食べ物の大好物って何ですか。
そしてそれは本当に、心底本当に自分の中のキングオブメニュー、
ダントツのナンバーワンだと声を大にして公衆の面前にて断言できますか。
ちょっとカロリー高そうだからとか若しくは健康を害しそうだからとか
若しくはちょっと少数派っぽいからとかの理由から
他人様から上記質問を投げ掛けられた際は
ぶっちゃけ本当は二番手三番手なんだけれども、
ちょっと見栄え良さ気でヘルシーっぽくて大衆的で
当たり障りの無いカレーとかハンバーグとか
シーザーサラダとか煮魚辺りを
チョイスし答えたりはしていませんか。

と、いいますのも自分、20代半ば頃ですから今から
15年以上も前の事なのですが、常時数種類のお茶をストックし
よく飲んでいたのですけれども、今思えばそれはまぁ健康に
気を使っていたというのもありますが、99%は聞こえが良いとか
一人暮らしを満喫している風情を醸し出したいが為の彩りのような
要素が強かったなと思うのですね。
ですから今では体調の悪い時に飲む程度で普段はもっぱら
珈琲党。なんとも詰まらない見栄っ張りでありました自分。
そんな見栄を張ることにも諦め風情が漂い始めました四十路の私め、
そうか、そうだったのかと、本当は随分前よりなんとなく
感じてはいたのだけれども、やっぱりそうかと思う事変が起こりましたので
ちょっと読んで頂けますでしょうか。

最初に記しました大好物。
以前の私でしたら、え?好物?ああ、そうだなぁ、食欲のない時でも
トマト味ならいけるかなぁ、ミネストローネとかミートソースとか
美味しいよねぇ、なんてぺらっと、ぺらぺらっと何気ない顔にて
言っていました。あ、でも実際好きでよく作るのですが、いやしかし。
よくよく胸に手を当てトクトクと自身に問いかけてみると、何かこう
罪悪感にも似た腑に落ちないモヤモヤ感に苛まれると、
え?それって本当に、本当の本当にそうなのかと、ちょっと待てよと、
もう見栄を張る二十代はとうの昔に過ぎ去ったわよと、
こうやって記しますと実に馬鹿馬鹿しい事この上ないのですが、
随分と前から心のどこかにこの疑問が存在していたのであります。
それがです。
そんな私のモヤモヤを払拭する出会いがあったのであります。
いやぁそうかそうかそうだったのね、あんただったの、私が
一番欲していたのは実はあんただったのね、と。
例えるならば、同窓会へ出向いた際、十数年ぶりに
再開した田中くん、あの当時はちょっと冴えない風情だったけれども、
でも話したら楽しかった田中くん、ああ田中くん、そんな田中くんの
良さが存在が大切さが今やっとわかったわ、そうか私はあの頃から
田中くんに惹かれていたのよね、そうだったのね、そして二人は
二次会へ向かう皆の列を離れ夜のネオン街へと消えていく、じゃーん
みたいな、まさにそんな出会いだったのであります。

長々引っ張ってすみません。
じゃぁそれって何よと申しますと、ちょっとこの場で披露するのに
非常に躊躇いがあるのですが、私の中のナンバーワンとは
紅生姜、これだったのであります。
もうもう好きで好きでたまらないと、冴えない田中くんへの思いの如く
覚醒しました私、最近はほぼ毎日毎食紅生姜を食しております。
今思えばお好み焼きを食した際やとんこつ味が主流のラーメン屋へ
出向いた際などにさり気なく置かれていた紅生姜に心惹かれつつも
いやいや彼は所詮脇役、彩り、故に主役を越える程の量を
チョイスしてはいけないと、それはちょっと恥ずかしいなと、
だって紅生姜だし、とそんな思いからスルースルーでこれまで生きてきた
訳ですが、もうスルーは終わりであります。
しかしです。
正直、紅生姜って名前の通り色が毒々しいぐらい紅い為、
ちょっと体に悪そうではないですか。
故にこう、ほら、ちょっとね、やっぱりね、って、自前大好物
トップランキングだと公言するには、ねぇ、って思うではないですか。
生姜は確かに体に良い食材で、冷え性の私にはもってこいの一品であり、
実際生姜そのものも大好きなので、チャイを作る際はかなり多めに
摩り下ろした生姜を入れますし、料理にもよく使用しますので
自宅には常に常備しております。
じゃぁじゃぁ何もわざわざ毒々しい汁にたっぷっりと漬かっている、
私ね、実は大好物なの、あは、と、公言するには
ちょっとばかし躊躇するような紅生姜なんぞ購入せず、
自宅冷蔵庫に常備している高知産黄金生姜をちまちま千切りにて
わっさわっさと好きなだけ食していれば良いではないかと
賢明な皆様ならお思いになるのでしょうが、いや、違うんだなぁ、
やっぱりどう考えても、幾ら目が眩む程に毒々しく染まっていようが、
美味しいんですよ、好きなのですよ、私は、あの、紅生姜ってやつが。

終いには掌が紅くなってくるのではないかと
ビクビクしながらもほぼ毎日紅生姜を食している私、
その為なのかどうかは定かではありませんが、この時期
毎年毎年悩まされている足指の霜焼けが今年はまだありません。
紅いといえども、やはり生姜パワーの恩恵なのでありましょうか。


何かひとつ手に取り吟味し、好きか嫌いか、欲しいか欲しくないかの
フィルターを通す前に、世間体とか常識とか有益とか無益とか、そんな
沢山の種類の定規をあてる事を、くだらない、つまらないと言い切れない
自分がとても滑稽に思えるのだけれども、世間ではそれを滑稽ではなく、
成長とか成熟なんて口当たりの良い表現にて賛辞するものだから、
楽する事に慣れきった私は、低い場所へ流れ着き溜まっている
生温い水の中でずぶずぶと漬かっているのではないかと、
省みてみるものの、冷たい水へ飛び込んでいく勇気も無く。
でも、本当に好きなものって何なのかな。
そしてそれは本当に自分の中に存在するのかな。
本当って何なのかな。


色眼鏡

2009年01月13日 14時27分49秒 | Weblog
年が明ける前の師走より、年が明けたここ数日の方が格段気温が
下がっているのにもかかわらず、よく冷えよく晴れた今朝の日差しは
年明け前よりもワントーン明るくて鮮やかでそして綺羅綺羅しくて
なんだか春の匂いがしそうです。
それは冬を突き進んでいくということが、
春に近づく事と同じなのだからと感じる
自前色眼鏡のせいでしょうか。

物事万事始まりも終わりも曖昧で
ゆらりゆらりそろりそろりと綱渡りをしている私はことある毎に
ぼそぼそと綻びた縄の端を見つけた気がするのだけれども
それは願望とか絶望とかに彩られた色眼鏡が見せる悪戯であり希望であり
結局足下に見える細い頼りなさ気な綱には端など存在せず
延々と切れ間なく続くメビウスの輪なのだということを
薄々気がついていながらも
臆病者の私は色眼鏡を大事に大事に懐に忍ばせ
時折目に当ててみるのです、
そして今年もゆっくりと、ゆらりゆらり、そろりそろりと。

ニキ、啓示を受け、抱負を語る、が

2009年01月09日 00時19分55秒 | Weblog
年が明けましてからもう1週間が経ちました。早いですね。
暖冬暖冬と思いながらも、漸く本格的な冷え込みが
やってきましたようで、私の住む北海道中央部は数日前より
朝晩はマイナス15度前後まで気温が下がるようになりました。
ここまで気温が下がりますと、全室暖房の自宅にも
じわりじわりと冷気が忍び漂う為、補助暖房のスイッチを入れつつ、
灯油代がかさむなぁ、と少しばかり憂鬱になるのではありますが、
玄関ドアを開け、凍るような外へ一歩踏み出した時に感じるあの
ぴんと張りつめた糸が張り巡らされたようなキリキリとした冷気を
また今年も味わえるのだなと思いますと、これもまたエックセレント
なのであります。

そんなエックセレントな冬を、寒さを、こよなく愛する私ではありますが、
前回日記で記しました通り、昨年末は愛する冬に、愛しい寒さに
何の因果か見事やられ、風邪をお見舞いされました為、
大晦日は家の者と娘を実家へ送り出しました後、
一人自宅で過すという、実に淋しい年越しでありました。
まぁでもその頃は峠も越え発熱はある程度収まっておりましたので、
寝込むまでには至らず、長椅子に横になりながらリモコン片手に
紅白とダウンタウンの特番を交合に観ていたのですが、
普段腰を落ち着けテレビを観ることなんぞ、滅多に無いため、
と、うっかり記しますと随分と自分、働き者のように思われそうですが、
いや、そう思っていただければ好都合なのですが全然そうではありませんで、
ただ単に無音状態でないと気が散って日記が記せないので、
一人の際は常に無音が基本、それだけの事であります、と
話が逸れてしまいましたが、久しぶりの長椅子にてテレビ、
いやいやこれがなかなか大層良い塩梅でありまして。
その中でも一等目を惹き付けられましたのが、ダウンタウンの
特番に出てきたココリコ遠藤扮するプロレスラー「ダイナマイト四国」で
ありました。
以前家の者から話は聞いていたのですが、皆様はご存知ですか。
これがねぇ、良かったのですよ、本当に。
いや良い、うん、実に良い、ダイナマイト四国。
何が良いっておほほほほ、髪型ですよ、髪型。
覆面から流れ出る後ろ髪のウエーブ具合、これが実にエックセレント
私の欲する髪型ストライクゾーンど真ん中だったのであります。
この考えに突如考え付きました私は、小川直也に覆面を
剥がされそうになりながらも、そして元妻千秋の突然の登場に
豪い勢いにて動揺しながらも戦い抜いた
ダイナマイト四国の戦いっぷりを観戦しながら
今年一年の自分、そして来年からの自分について
懇々延々と考えましたので、ちょっと長いのですが読んで頂けますでしょうか。

と、いいますのも自分、ここ数年美容室なるものに出向いた事が
ありませんで、まぁそれでも普段、後ろ髪も前髪も一緒くたに
後ろ側にて団子状に纏めている為、おろし髪を他人様に披露する
機会は皆無、故にほどいた髪が萬田久子ばりにさらっさらであろが
ハイキングウォーキングの何とかさんばりに不気味さ100万倍であろうが
全然構わないと、ちょっと伸びて纏め難くなったら自分で切ってしまえば
ノープロブレムと、そんな日々を邁進していたのであります。
しかし、そろそろこの髪型にも飽きたわねと、いや実のところ、
そう思い始めましたのはそろそろなんて言葉で表現するほど
最近の話ではなく、本当のところ一昨年辺りからだったのでありますが、
節約という理由もさることながら、どうも自分、美容室とか服屋とか
下着屋とか、そういう華やかさに艶っぽさを兼ね備えた場所が
非常に苦手ゆえに極力避けていた為、ずるずると先延ばし状態に
なっていたのであります。
それに付け加え、この街に戻ってきた十数年前より贔屓な美容室が
見つからない、と、まぁそれが美容室へ行きたくない一番の理由なので
ありますが、例えばこう、自分の希望する髪型を美容師さんに
伝えるのって非常に難しいではないですか。
パーマ一つとりましても何やら沢山種類がありますし、
ウエーブの形や細かさも細かく決まっていそうですし。
かといって、有名人の切抜きを持っていくのも中学生じゃあるまし、
恥ずかしいと、ですから美容室御用達専門用語を全く解していない
私は仕方が無いので兎に角イメージを伝える為、毎度毎度似たものを
羅列していく作戦でゴーなのですが、これがどうもと、上手く伝わらない
のであります。
とりあえず私は根元からくるっくるのくるにしたいのです。顔が地味なので
兎に角細かくくるっくる、それでもって後ろで髪を結んだ際、
ブロッコリーみたいになりたいんです、
昔の鶴瓶さんみたいになっても全然構わないので兎に角くるっくるのくるに
して欲しいと、そう今まで何度も何度も地元のあちらこちらの美容室で
お願いをしてみましたのですが、どうもそういう注文はあまりこないようで、
え?ブロッコリー?良いんですか?鶴瓶で良いんですか?
そこまできつくパーマかけて日常に支障が出ませんか?本当に
後悔しませんか?と躊躇し始め、結局、微妙なパーマでジ・エンド。
それが後々物凄いストレスとなるので、本当にもうもううんざりなのですね。
ああ、いいなぁダイナマイト四国、私も今年こそはダイナマイトになりたいよ、と
どうして独身時代札幌在住だった頃お世話になった、私の頭に
なんの躊躇もなくバリカンを当てほぼ坊主にしてくれたあの
美容師さんみたいなナイスファイトな人がこの街にはいないのだろうと、
リモコン片手に目の前が黄昏てくる思いに駆られたのでありますが、
ちょっと待てよと、思い留まったのでありまして。

あまりの長文で申し訳ないのですが、こう、自分、今までの自分、
実は無いもの強請りの駄々っ子だったのでないのかと、
良い大人の良い四十路良い女であります私はふと思ったのであります。
確かに私はブロッコリー若鶴瓶くるっくるヘアを所望している。
もうこうとしか言いようが無い程所望している。
しかし、しかしこの「ブロッコリー」「若鶴瓶」「くるっくる」の三表現が
本当に適切だったのだろうかと、自前脳味噌から今自分が思い描いている
髪型をすっぽりと取り出し、卓上に乗せ、さぁどうだ、となった際、
他人様は、おお、そうだね、そうだね、確かにブロッコリーで
鶴瓶でくるっくるだよね、って言ってくれるだろうかと。
もしそうであるならば、私に非は無いのでしょうが、もしかしたら
いや、ニキさん、そりゃぁ違うさ、と、こうなるかもしれないと。

いや、ちょっと、これは大問題ではないですか。
出来る事ならどんな形でも構わないからこうやって何かを
記して行くことを細く長く続けたいという小さな願望を持つ
私にとりましては、記し表現する言葉の真意が他人様に
伝わらないという事はまさに命取り、致命的であります。

そっかそっかと、頷きました私。
一年を振り返り来年の抱負を語るべきこの夜に、この夜だからこそ、
きっと神様がダイナマイト四国を通して私に伝えて下さったんだな、
ニキさーん、あんた、もうちょっとものの喩え、勉強した方がいいよって。

そういう啓示を受けました私、今年はとりあえず実践として
美容室へ出向き、自前表現方法を万人に伝わるよう改善改良、
自分欲するところのブロッコリー若鶴瓶くるっくるヘアのゲットするべく、
努力したい所存であります。

しかしながら、大晦日から1週間経過した今も、何の改良も
改善も出来ておりません私、とりあえず思いついたのは
ブロッコリー若鶴瓶くるっくるにダイナマイト四国をプラス、これのみ。
どこからか髪、もとい神様のお声が聞こえてきます。

ニキさーん、それじゃぁ何のひねりも進歩もないね、
おまけに日記のオチとしても最低のランクだわね。

おっしゃる通りでございます。返す言葉もございません。合掌。


取り急ぎご挨拶まで。

2009年01月03日 00時29分10秒 | Weblog
まずはあけましておめでとうございます。
二日、いやもう三日過ぎてしまいましたが、今年も
宜しくお願い致します。

情けない事に年末から風邪をこじらせ、昨日まで寝込んでおりました。
大掃除どころか、鏡餅もしめ飾りもナッシングな正月であります。
年賀状下さいました皆さん、ありがとうございました。
ブログを読んでくださっているというメッセージ、嬉しかったです。
マムさん、お変わりなくお元気な様子で何よりです。
沖縄に行かれたのですか?息子さん、ますますいい男になりましたね!
アネモネちゃん、やはり私の周りの人たち、変だよね?そうだよね?
だとしたら私はとても恵まれているという事です。
なぜならば、日記を記すネタに困らないからであります。
ものは考えようです。そう思わんとやっていけません。

去年は少しペースダウンしておりましたが、
今年はもっとこまめに更新出来たら良いなと思っています。
ブログ以外でも記します。これが今年最大の目標です。
有限実行で加油です。

先程ちらりと窓の外を眺めましたところ、細い三日月の下に
小さな星が瞬いておりました。
笑窪のような可憐な星に少しだけ元気を貰いました自分、
明日からぼちぼち大掃除の続きを始めます。
取り急ぎご挨拶まで。
皆様にとりまして幸多い一年となりますように。ニキ。

雪かき

2008年12月28日 14時19分26秒 | Weblog
こんなにね、そりゃ綺麗な雪が早く積もらないかな、あは、なんて
心待ちにしてはいましたけれどもこんなにね、
一晩で車が埋まるほど一気に降って下さいなんて
私はお天道様に頼んではおりませんで、お隣の坂田さんところの車なんて
気がつけば篤姫状態。風向き加減か、日本髪の如く
実に美しい芸術作品に仕上がっておりました。
膝までの長靴に雪が入るほどの雪を掻き分け、
漸く敷地前面部分の半分の雪かきが終わり、今パソコンに向かっています。
外では娘と、雪かき途中でやってきた娘の友達三人が
遊びながらも雪かきを続行してくれています。
でも外の音は聞こえません。
家の中はとても静かで、雪が降る音が聞こえてきそうな気さえします。
もし、聞こえるとしたならばどんな音がするのでしょうか。

さて第二回戦、行って来ると致しますか。

私にも確かに聞こえたその小さな鈴の音が

2008年12月25日 23時46分54秒 | Weblog
ねぇ、お母さん、サンタさんって本当にいるんだよね。

この世に生を受け、10年目にして初めて上記疑問を抱いた我が娘。
12月の中旬の事なのですが、
しびれましたね、いやもう口から心の臓がべろんと飛び出すんじゃ
ないかと思う位の勢いで猛烈に驚きましたよこの母、私は。
しかし、どんな形であれ、サンタクローズが実在するのは
本当であります。白い髭とか爺さんとかほっほーと豪快に笑うとか
トナカイを9頭飼っているとか1600歳をとうに越えているとか、
そんな細かい事はさておき、娘の喜ぶ顔を思い浮かべながら
毎年毎年気づかれないようそっと枕元にプレゼントを置くその一瞬に
全身全霊を掛けるサンタクロースは間違いなく実在するのであります。
ですからそう思う私は娘に言いましたよ。
そりゃあいるさ、今年も多分、インターネットでサンタさんが
今何処ぞを飛んでいます、って中継するからさ、イブに一緒に
見ようよ、楽しみだね、ああ楽しみ楽しみ。
そう言いながら、人知れず水面下で最高機密トップシークレットばりの
任務を担っている私は涼しげ風情を装いながら、ふと娘が就学前の頃の事を
思い出しました。

実父母から買って貰った三段飾りの雛人形に、折り紙で作った
まじない物やらガムの包み紙を丸めた怪しげなお供え物を
飾り、声高らかにお雛様の歌を歌っていた娘がある時ふと
言った、ねぇ、どうしてうちのお雛様には五人囃子がいないの?との
問いかけに、ああ、五人かい、ああ~あ、あの五人はさ、
ハワイへ行っちゃったんだなあ、バカンス、バカンスさ、だから
今五人囃子はお休みなんだよね、休みじゃしょうがないねぇ、と答えた
私を、疑わしそうな目でみた娘に、
置き忘れた縫いぐるみを探せと言われ、毎回この手で
逃れていたのだけれども、もうこの手は通用しないのだな、
それ位彼女も成長したって訳だ、と嬉しく思ったのは
丁度小学生に上がる年の春だったなぁ、と。

翌朝、夜中に一度も目を覚ますことなく、ぐっすり眠った娘は、
部屋の入り口に置かれていたプレゼントの包みを見つけ、
満面の笑みにてリボンを解きながら私にこう言いました。

やっぱりサンタさんは本当にいるんだね、よかったねぇ、お母さん。

プレゼントのバスケットの中には幾つかのお菓子と
娘がサンタクロース宛てに書いた手紙の通り、三角フラスコやビーカー、
アルコールランプに試験管等からなる実験セットが入っておりました。
朝食後、出勤の為 身支度する私の隣で、パネルヒーターで背中を暖めながら、
嬉しそうにバスケットから実験セットを取り出しては並べていた娘が
突如顔を上げこう言いました。

今、鈴のなる音が聞こえたよ。もしかしたらサンタさんまだ
近くにいるのかもしれないね。

私にも確かに聞こえたその小さな鈴の音が、
娘の中にいつまでもいつまでも残っていますように、と願いつつ。

雪待ち

2008年12月18日 11時38分14秒 | Weblog
今年の冬は暖冬なのか、降った雪がなかなか積もらず、
かと言って解けきる事も無く、
べちゃりじゃりじゃりとした鼠色の雪が歩道を汚し、
歩き難い事この上有りませんで、ちょっとそこまで用足しにと、
ダウンを引っ掛け、一歩外へ出ようものなら、
歩き方が下手な私の脛辺りは跳ね返りで濡れてしまい、
とても塩梅悪いなと、それってなんだか
腹が立つほどに今の自分の状況に似ているなと、
もうもう早く辺り一面綺麗な雪が積もれば良いのにと、
生温い春のような日差しが憎憎しく思えます私。

まぁねっちねっち罵倒してみたところで、私は凡人でありますから、
自前力では雪を呼ぶどころか小さな雲一つ消せるはずもなく、
ましてや、明日の朝は早く起きねばならんという
たった数時間後の予定さえ、寝坊という一言で
木っ端微塵にしてしまうこの体たらく。
そんな私が事もあろうにお天道様に異議申し立てするなんざ
罰が当たるってものです。

ですから静かに待つのです。
一歩踏み出す足下を支えてくれる大好きな雪が
自分の外にも中にも降り積もる日を
静かに静かに待つのです。

ポッキー犬

2008年12月13日 14時00分14秒 | Weblog
先日新聞で読みましたのですが、
最近、人が目で見て認識している視覚情報を、
コンピュータ上で画像として再現する技術が開発されたそうで、
将来的には見た夢を映画のように再現できるようになるかもしれないのだ
そうですね。
こんな記事を読みますと、思い出されますのが「攻殻機動隊」。
脳とネットを直で繋ぐ電脳化、なんてのも近い将来実現するのかも
しれないなぁ、なんてちょっとわくわく致します私。
もうどっぷりと師走ですね。皆さん駆けずり回っていらっしゃいますか。
そろそろ大掃除を、と思いつつもパソコンに向かっております
腰の重さでは誰にも負けないニキでございます。

先日よりちょっと気になっていることがあるので読んでいただけますか。
それは何かと申しますと、数週間ほど前より、出勤時に会社の近くで
頻繁に遭遇する一匹の中型の散歩犬の事なのですが、
この犬、妙に足が細くて長いのです。
まぁ、薄茶と白の毛も短く、耳もイカの如く美しい三角形を保ちつつ
ぴーんと立っている為、全体的にスレンダーでシャープなシルエットですから
足が細く長いのも頷けるのですが、それを差し引きましても
何かこう、目に付く程に細いし長い。
ほう、と、いや、ほっそいなぁ、足、と見かける度に心の中でふんふんと
思う私は、基本的に犬は好きな方ですから、機会があれば、
飼い主さんに、まぁ珍しい犬ですねぇ、可愛いですねぇ、などと
声を掛け、ちょっと戯れてみたいな、という願望を持っているのですが、
それがです。
怖いんですよ、犬ではなく飼い主さんが。
これは私独自の見解ですが、一般的には犬を散歩させている方って
実にフレンドリーではないですか。まぁ世の中犬が不得手な方も
大勢いらっしゃいますから、通行人に迷惑が掛からないよう
配慮し、道の端へ寄ってくださいますが、大抵の場合、
こちら側が犬好きオーラを発し、犬自身もじゃぁちょっと撫でて欲しいなと、
そんな様子が伺えましたら、撫でるまではいかなくとも、
アイコンタクト程度のコミュニケーションは取れると。
しかしです。
この飼い主さん、察するに熟年世代の男性なのですが、いやいやもうもう、
何か事情があるのかもしれませんが、しびれんばかりに他人を寄せ付けない
オーラ満載で、遭遇する度犬は嬉しそうに私のほうへ尾尻を振りつつ
寄って来てくれるのですが、その度にリードをぐいぐいと引っ張り、
触るんじゃねぇ、いや見るんじゃねぇ、と言わんばかりのつれない態度。
まぁそれならば仕方が無いと、コミュニケーションをとる事を
断念しました次第なのではありますが、いやそれでもどうも気になると。
絶対句読点を打ちたくなるほど物凄い名前の長い、高価な犬なんだろうなぁと、
出来ればこの足の長さと細さについて、誰かと懇々と語りたいなと
そう思えども、犬種が分からなければ話になりません。
ですからとりあえず、私はその犬を便宜上「ポッキー犬」と命名し、
(足がポッキーみたいだから)
犬好きだけれども、アレルギー持ちの為犬が飼えないとこぼす
小学生の娘に詳細を伝えてみたのですが。

とにかくね、ポッキーみたいなんだよ、足が、と言う私に
娘はへえええ?と訝しげな表情を見せました。
それでさ、イカみたいなんだよ、耳が、と続ける私に
娘ははぁぁ?と倍率ドン更に倍篠沢教授に1000点バリに怪訝な
表情にてしびれ始める始末。
仕方が無いので、じゃぁちょっと待ってて、お母さん絵に描くから、と
使い古しの折り紙を引っ張り出し、目に焼き付けたまま記憶したままにと、
つるっつのつるな脳味噌からポッキー犬についての全情報を引き出し、
渾身の力作を描き娘に見せましたところ、大変申し訳なさそうに
娘はこう言いました。

ごめん、お母さん、これじゃぁ分かんないや。

結局、ネットで検索してみようというところで話は落ち着き、
娘と二人で犬辞典らしきサイトにて、ポッキー犬に似た犬を
探してみたのですが、結局見つからず終いでありました。

あと何年、何十年掛かるか分かりませんが、
いつの日か、脳内情報を完璧に画像化できる日が来たあかつきには、
絶対、ポッキー犬を再現して貰わなければと。

と、言う訳で、自前つるっつるのつるな脳味噌情報を画像化したものを
アップ致します。
一応デザイン学科出身の私ではありますが、以前思い出しながら
描いたサザエさんはよくよく見たらモヒカンでした、という事実を
くんで頂ければ幸いであります。合掌。

柔らかな温もりが

2008年12月11日 23時48分18秒 | Weblog
昨日までの春のような陽気とはうって変って
私の住む街に昼過ぎから再び静かに雪が降り始めました。

仕事を終え、すっかりと日が暮れ、街灯が滲んで蜜柑色に染まった
雪空の中、家路に向かい車を走らせておりましたところ、
雪がちらつく中、ヘッドライトの向こう側に人影らしき二つの影が
薄ぼんやりと見えましたので、その横を通り抜けようと
私は車の速度を落としました。
通りすがりに助手席側の窓に目を向けましたところ、
かなり高齢と見受けられるおじいさんが、杖をついたおばあさんと
手を繋ぎ、一足一足雪を踏みしめながら歩いている姿が見えました。

多分あの二人は長年連れ添った老夫婦なのだろうなと、
日が落ちた雪降る外はとても寒いのだろうけれども、
二人が繋いでいる手はきっと、とても温かいに違いないと、
思いながらアクセルを少しだけ強く踏んだ私の中にも柔らかな温もりが。




礎本

2008年12月09日 20時51分58秒 | Weblog
先日、ひょうんなことから東京で小さな出版会社を経営されている方と
仕事をさせて頂く機会に恵まれました私。
花の都東京で、それも本を出版する仕事に携わっていらっしゃる方、
私にとりましては雲の上、いやいや宇宙以上に高嶺の花、
そんな方にお会いできるなんて滅多に無い機会でありますから、
本当でしたらお尋ねしたい事柄がわんさわんさとあったのでは
ありますが、社長さん(編集長さんか?)は多忙なため、
この案件が済み次第、すぐに東京へ戻らなくてはならないとの事でしたので、
私は自前任務であります契約書関係の説明を倍速モードにて行う、
これのみでジ・エンド、ちょっと残念ではありましたが
仕事ですから仕方が無いと、喉の奥辺りまで溢れ出てきそうになった
沢山の言葉を飲み込んだ次第であります。

本といえば、今NHKで「七瀬ふたたび」というドラマが
放映されているのを皆さんはご存知でしょうか。
つい最近知った私は、おおおと思い、たまに昼休み時にちまちま
ネットで観ているのですが、このドラマの原作である筒井康隆著
「七瀬ふたたび」は、「家族八景」「エディプスの恋人」と共に
七瀬三部作と呼ばれておりまして、実のところこの三冊は
私が小説というものを読むきっかけになった大変思い出深い作品
なのであります。
その中でも特に繰り返し読みましたのが、「家族八景」でありました。
この本は、人の心を読む超能力者である主人公七瀬が自分の能力を他人に
悟られないよう、家政婦を生業とし、8つの家庭を転々とする物語なのですが、
七瀬が垣間見、読んでしまう人間の内面の、
どろどろとした澱のような欲望や憎悪や本心が中学生だった私には
とても興味深く思えまして、それこそ本が擦り切れる程、
繰り返し繰り返し読みふけったものです。

あともう一冊、私にとりましての大事な小説といえば、
村上龍著「コインロッカーベイビーズ」であります。
この本は私が高校生になったかならないか位の時に読んだと
記憶しているのですが、では何が大事なのかと。
私は読書家と言えるほど沢山の本を読んでいる訳ではありませんし、
知識もからっきしノンノンノンでありますから、そんな偉そうな事は
記るせないのですが、でもこう、何といいますか、正直この本よりも
面白かったと思う作品や、感動した作品は他にあるのです、あるのですが、
それより何より「コインロッカーベイビーズ」はその後の、というよりは、
今現在の私の趣味とか趣向、今は無き香港の九龍城に始まり、
世界遺産登録申請への動きが出てきたと噂の長崎県の端島通称軍艦島や
湾岸に列なるコンビナート群、古い高層建築物や公営団地、そんなものに
心惹かれる自前気質の礎となっているからであります。
ですから、「家族八景」と「コインロッカーベイビーズ」の二冊には
格別の思い入れがあり、自分にとりましてはなくてはならない、
礎本なのであります。

契約が終わり、出版社の社長さんが帰り仕度を始めた時、
私が文章を記す事が好きだという事を知っている同僚の横溝君が
何か訊きたい事はないのかい、と、さり気なく場所を空けてくれました。
ニコニコと笑顔で私の方に向いてくださった社長さんを前に
失神寸前まで緊張がヒートアップしたまま固まった私が、
何か一言、何か一言、お尋ねしたい大事な一言、本について、
出版について、今じゃなきゃ訊けないのよ、訊けないのよ、
チャンス、チャンスなのよと、つるっつるのつるな脳味噌が
バター化しそうな勢いにてぐるんぐるんのぐわんぐわんになったまま、
口にした一言は、


ま、ま、町田康さんにお会いした事はありますかっ。


チャンスをドブに捨てるという事はこういう事なのだなと、
自らの身をもって示した私なのでありました。撃沈、ばーん。