畑から見下ろせる川は翡翠色の池のよう。こうも雨が降らないので、さらに静かな流れになって鏡のようにさえ見える。対岸の山の木々が映り、トビが舞う。時折アオサギもギャーギャー言いながら過ぎ去る。こないだは、カモ(たぶんアイガモ)が四羽飛んでった。そんな鳥たちが眼下に、というのがまた楽しいところでもある。
春先の窪川じゃ雨ばかり。この町に来てからは、雨はどこに行ったんだろう。発芽した苗、葉先が焼け始めてしまったのがある。勢いもないから、虫たちの餌食にも(一番おいしい生長点を狙いやがる!)。やはり、水遣り、か。本来なら、自然任せ、にしたい。とは言え、背に腹は代えられぬ…。
オンチャンにも言われたし、文旦の摘果のゴールが見えてきた、とにかく水を近くまで引こう。
幸いなことに7年位前まで田んぼだったから、水回りのシステムが残っている。問題は生きているかどうか、だ。もし、残っているのが使えなかったら大ごとになる。さらに考えれば、どうやって引くかだけではいけない。貯水槽なんてないし、蛇口だってない。どう流すかも必要。つまり、人工的な流れを作るってこと。蛇口をひねれば、ハイ終わりってわけにはならない。
草や枯れ枝が覆いかぶさっているところをきれいにして、排水口から黒パイを辿り、どのようになっているか調べる。どうしてそんなところに残っているのか訳がわからない黒パイ、どう使ったのか分からない短い黒パイ。これは大変だ! それでも午前中の内に小さな配水槽までの水系を確認終え、再構築(正確には、繋いでみた、だ)。
午後は水源から配水槽。かなりの部分が文旦の木々の下を通る。摘果の時にある程度頭に入っていた。沢につくと…。頭痛い。どれがどう使われたのかさっぱり、訳がわからん。ただ、配水槽へは三本、水源から来ている。とにかく一本でもいいからと、格闘すること2時間。よしと、沢を、文旦の木の下を、配水槽まで駆け下った。
黒パイに耳を押し当ててみた、流れる音がする。
さらに棚田を二枚分、駆け下る。ちょろちょろ、ちょろちょろ、水が流れる。グッジョブ! 水のシステム、無事生き返った!!
これから秋が深まる。沢には落ち葉が降り注ぐことだろう。落ち葉対策を立てなければ、パイプが詰まる。水量をどうコントロールしよう。どうパイプを配置したら、それぞれの段でうまく水を取ることができるだろう。考えなくてはならないことは多い。
今日の一枚:昼を取りに家に帰る。畑から見下ろしたところを畔から、12時過ぎのこと。