《おはようと 白みゆく畑 雲雀鳴く》
神社に着いたとき、幽かに東の空が白くなり始めた。そこから濃い群青色から夜の黒へとの神秘的なグラデーションが広がっていく。あぁ、金星辺りの空はまだ夜だ。
そこから五分、十分歩き、JRを越える陸橋に来ると、橙色がずっと増す。金星はというと、すっかり朝の白い空に浮かぶ。神社を出たばかりは見えたアークトゥルスも虚空に消えた。
明けぬ夜はない。
もう五分。左手に畑が広がり、頭上ではカラスの夫婦が連れ立って食事に向かうところ。こっちかぁ、あっちかぁと騒がしい。他にもたくさんのおはようの声。沈丁花の香りが鼻先をかすめていった。冬が明けた、明けた。
今日の一枚:二番電車が行く。5時5分過ぎ、神社にて。