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ADD?傾向のある塾教師がADHDやアスペルガー症候群の子にどうかかわり教えたらいいのか模索していくブログです。

福岡・小1殺害事件と軽度発達障害児の母親への支援の現状 3

2008-09-25 14:56:42 | 番外
福岡・小1殺害事件について、

こうした発達障害を持つ子の親は、
「たいしたことなくても現実以上に考え込んでしまう…」
と言った言葉で、

そうした悩みが「親の思い込み」であるように語られています。

本当に「発達障害のある子」を育てることは
「たいしたことがない」ことなのでしょうか?

軽度発達障害の子は、スーパーなどに行くと、商品の色や形が洪水のように目に入って、突然走り出したりします。パニックを起して暴れる子もいます。

食品を買いに行く…という
生活に必要な最低限のことをするだけで、
周囲からしつけのなっていない親という冷たい視線をあびたり、
子どもが危険なことをしてヒヤヒヤしたり、
実際怪我をして病院に行かなくてはならなかったり、
子供同士ぶつかって相手の子を怪我させたりするのです。

幼稚園に行かせれば、周囲の親との関係に悩み、子どもの発達を同年代の子と比べて悩み、子どもが乱暴すれば謝ったり肩身の狭い思いをしなくてはならず、
登園しぶりがあれば毎日が戦争です。
学校が始まれば、それに先生との関係、子どもの学習面の問題、
運動会などの行事のストレス…と悩みは尽きません。

それでも、もし国がそうした子どもたちの将来の職業や生活を
保証してくれるなら
親達の多くは、そうした苦労に甘んじて
前向きに努力していくことでしょう。
しかし現実の就職現場は、親が想像して悩む以上に厳しかったりもするのです。

「たいしたことなくても現実以上に考え込んでしまう…」
安易に投げられるそうした言葉は、あまりに残酷で、
解決しなくてはならない問題を先送りにしてしまいます。

今回のような事件で「隠ぺい工作」をしたかどうか、
それで母親に同情できるかどうか、
などを話題にして「現実にそこに潜在する問題」から目をそらしていいものでしょうか?


前々回の記事で紹介させていただいた

「ややこしい子」とともに生きる

の著書の中で、河原ノリエ先生は

母親達の多くが、「あなたの育て方が悪いんじゃないの?」という周囲のまなざしに、自分を責めたり、子どもの障害を隠せるものなら隠したいという葛藤の
なかで揺れている。
「障害受容」という言葉があるが、特に母親にとって、
わが子に生まれながらにして問題があることを受け止めることは、人生で出会う
最大の苦難だ。
「エジソンがADHDだのって、夢を無責任にもたせないでほしい」
「あなたを選んで生まれてきたのよとかいわないで」
母親達の多くはこう思う。
きれいな言葉ほど苦難の渦中の心をえぐり取るからだ。

子どもが自閉症であれ、ADHDであれ、LDであれ、着替え、食事、うんちにおしっこ、毎日乗り越えていかなくてはならないハードルは
同じはずだ。生活のなかで自分が工夫するための手立てを教えてもらうだけでも、
「ややこしい子」をかかえた苦悩のなかで気持ちが明日に繋がっていくはず。

と述べています。

つまり、まず「たいしたことなく」はないんですね。
現実に葛藤があり、恐怖があり、痛みがあり、苦しいはずなんです。
思いこむ人が「たいしたこと」と感じるのではなく、
その立場になれば、
現実に誰が経験したって「たいしたこと」なんです。
「すごく大変なこと、死ぬほど悩んでしまうこと」なのでしょう。

それを前提にして、その大変さに対し、
「今の生活の面を楽にしていく支援」と
「将来の仕事や生活で何らか安心できる保証」

という最低限の手助けをしていかないと、

これから先、同じような痛ましい事件が続かないといえるのでしょうか?

その時 また その親が「隠ぺいしたかどうか」を話題に
盛り上がるのでしょうか?

こうした事件を目にする度に、
子どもを殺めてしまった母親を責めて、
今だけ子どもを哀れんで涙して、じきに忘れてしまっても良いのでしょうか?
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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
興味本位はやめにして (はらぺこ親父)
2008-09-25 16:28:04
>という最低限の手助けをしていかないと、
これから先、同じような痛ましい事件が続かないといえるのでしょうか?

今回の事に限らず、自分に関係ない事は最低限の手助けさえ他人事、興味本位の事実解明だけです。
そして、自分に関係はない。かわいそー…と。

ただ、皆さんのブログやコメントを見て、問題視する人も多い事がうれしい。


>こうした事件を目にする度に、
 子どもを殺めてしまった母親を責めて、
 今だけ子どもを哀れんで涙して、じきに忘れてしま っても良いのでしょうか?

ほんといつも同じですね。
一人でも多くの人が教訓として周りと接して行って欲しいです。
返信する
Unknown (らぶ)
2008-09-26 11:02:52
リンクから参りました。
私が感じていたことを
言葉にしてくれてる方がいて嬉しかったです。
涙がでてしまいました。
同情できるか否かとか
論点がずれてますよね。
当事者の気持ちになれないのなら
じゃあこれから自分に出来ることはなにか?
と考えていくことが大事なのではないかと思っていました。
でなければ全ての事件は単なるショーになり
ニュースで放映する意味など無意味だと思います。
ありがとうございます。
返信する
どうなる、今後の障害児支援 (あかべぇ)
2008-09-27 07:30:39
「あいち学齢児童デイ連絡会(略称:あいデイ連、会長:佐々木将芳)」が、
講演会「どうなる、今後の障害児支援?~その考え方と展望~」を
10月5日(日)13:30から16:00に
愛知大学車道キャンパス・コンベンションホール(名古屋市東区)で開催します。
講師:渡辺顕一郎(障害児支援の見直しに関する検討会委員・日本福祉大学教授)
参加費:一般1000円、会員500円

厚生労働省社会保障審議会障害者部会(第38回)が9月10日に開かれ、
障害者自立支援法の見直しと障害児支援の在り方について論議されました。
http://www-bm.mhlw.go.jp/shingi/2008/09/s0910-4.html
障害児に対する支援は、乳幼児期を中心に、学齢児童も含め大きな転換点を迎えています。
厚生労働省は、2008年3月から11回に亘って「障害児支援の見直しに関する検討会」を開催し、
障害児施設や児童デイサービスなどの支援について議論を進めてきました。
7月22日には、報告書が公表されています。
その中で、乳児期、就学前、学齢期、青年期、そして成年期と成長していく
子どものライフステージに応じて一貫して支援を行っていくという視点が重要とし、
学齢障害児に対する支援の必要性にも言及していますが、具体的内容は明らかになっていません。
そこで、「障害児支援の見直しに関する検討会」委員を担われた、
日本福祉大学の渡辺顕一郎先生を講師にお招きし、
検討会で議論された内容や、今後の方向性についてお話いただきます。

障害児者福祉にかかわる多くの方々に是非ともご参加いただきたく思います。
お知り合いの皆さんにもお知らせください。
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