虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

『9歳の壁』でつまずくか つまずかないか を左右する抽象概念の理解力 2

2019-07-01 08:15:39 | 思考力

Aくんが半分という言葉に関心を抱いていた姿を見て、

朝食後のレッスンで「抽象的な言葉にはどんなものがあるでしょう?

具体的な言葉にはどんなものがあるでしょう?」というクイズを子どもたちに出しました。

 

聞き慣れない言葉に、最初はキョトンとしていた子どもたちも、

「具体的な言葉は、目で見て形がわかる言葉よ」と言ってから、

近くにあったホッチキスを指して、

「ホッチキスは具体的な言葉よね。この黄緑のホッチキスは、目で見て、

これって形がわかるわよねそれから、消しゴムも○くんの靴下も目で見て確かめられる

具体的な言葉よね。

抽象的な言葉は、あいまいでこれって指さして確かめられないような実態のない言葉よ。

勇気、重要、理想、正義……どれも、これだよって指さして見ることができないね」

と説明すると、小1のBくん、Cくんがわくわくした表情で、

部屋中の物を指しながら具体的な言葉を挙げてから、

「色は抽象的な言葉?」「理解は抽象的な言葉?」と質問しはじめました。

神妙な顔で考え込んでいた小3のDくんも、

「自然は抽象的な言葉?夢は抽象的な言葉?」とたずねては、

「そうよ。よく気づいたね」と言うと、心底うれしそうな笑顔浮かべていました。

 

そこで、子どもたちの前に1つのコップをかかげて、

「このコップは、ただの紙コップだけど、よく見るといろんな言葉が隠れているよ。

外側、内側、底、オレンジ色……」と言うと、

子どもたちから、「丸」「形」「白色」「薄い」といった声が上がりました。

わたしが、「円周、縁」と言うと、Dくんが、「安物!」と言いました。

「それは名称や色や形やサイズとは違う、意味を伴う新しい表現の仕方だね。

それじゃ、リサイクル可能、影」と言うと、子どもたちはこんな楽しいことはないと

いう様子で、思いつく限りに言葉を挙げていました。

 

言葉というのは、本当に面白いのです。

4歳のEくんが、「ぼく、タコが作れるよ」と作った作品は、

さっきまで眺めていた紙コップを材料としているけれど、

わたしたちからそれまでとは別の言葉を引き出してくれます。

「これは何でしょう?」

「タコ」

「どうしてタコだとわかるのかな?どうしてタコに見えるのかな?」

「下の部分、いくつも切っているでしょ?足に見えるから、タコってわかる」と

Cくん。

「Eくんがタコだって言ったから、タコってわかるよね。作者が言うんだから」

とわたし。

「全部見たら、ほら、頭の部分から足みたいなところまで形を見たら、

タコに似ているでしょ。だからタコってわかる」とBくん。

 

その場では黙っていた小5のFちゃんが、お母さんの耳に何かささやいていました。

後から聞いたところ、「欲望も抽象的な言葉」と言ったのだとか。

欲望というちょっと刺激的な言葉に、Fちゃんの周りで笑いが起きました。

それを小耳にはさんだDくんは、

「希望も願望も抽象的な言葉だ」とつぶやいていました。

実はEくん、お母さんからうかがった話では、算数は得意だけれど、

国語は苦手とのことでした。

Eくんが、抽象的な言葉についてずっと思いを巡らせているのを見て、

「Eくん。国語のいいセンスしているね。国語もきっと得意になるよ」と言うと、

Eくんは、うれしそうに照れ笑いを浮かべていました。

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