虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

自閉症の子の会話やコミュニケーションの質を向上させる工夫 4

2013-10-24 23:23:47 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

わたしは、●くんのお母さんが●くんに話しかける時に、

●くんがつぶやいた言葉について「○○したいの?」などと問い返したり、

「そんなことないよ。お父さんのところへは行けないよ」などと間違いを正したり、

「○○してみる?」と誘ったりと、

●くんからの返事を期待する言葉や

●くんの態度の変化を求める言葉が多いことが気になりました。

といっても、どれも穏やかで優しい言い方で、

ほほえましいだけで、

本来、いちいち気にするような声かけではないのです。

それでも、●くんがとても過敏な子である以上、

そうした接し方は少し修正した方がいい気もしました。

 

言葉という点では、わたしにしても、●くんのお母さんと同じせりふを言っている場合も

けっこうあると思うのですが、

わたしが自閉症の子にかける言葉は、

言葉そのものの内容よりも、

不安を減らしたり、落ち着かせたりすることの方に重点を置いているので、

同じように聞こえても、過敏な子の受け止め方はずいぶん異なるのです。

 

相槌や絵本の中で繰り返される言葉のように

リズムのある言い回しだと、

自閉症の子の心に、自分が相手から何か求められているのではないか、

何を求められているのかわからない……といった不安感を生じにくいのです。

 

また、言葉をかけた際、それが伝わっていないように見えても、

聞こえていなかったようだから何とかわからせようと、

何度も同じことを告げるのは、不安をあおるように感じています。

 

わたしは、伝えたいことは、目で見える形で示して、一度言った後に

本人が聞いていないように見えても、そっとしています。

すると、たいてい、5分から10分すると、

それに対してきちんとした応答が返ってくることはよくあります。

 

●くんにしても、どんなに気づいていないように見える時も、

見せて声をかけたものは、5~10分ほどすると、

こちらが示したものを模倣して、それまではしなかったような新しい遊びを展開していきました。

そうした●くんの姿を見るうちに、

「どの言葉が正しくて、何がよくないのかわからない」と困惑しておられた

●くんのお母さんも、

ふっと腑に落ちるものがあったらしく、

「言葉がなかなか出なかったもんですから、●がちょっとでも言葉をしゃべると、

それに答えなきゃ答えなきゃとあせっていた気がします。

もう少し、ゆったり待つ必要があるんですね。

今日はほとんどエコラリアがありません。●が、本当にいろいろなことをして

遊んでいます」と言って、にっこり微笑まれました。

 

 


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1 コメント

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Unknown (青い鳥)
2013-10-25 14:22:20
奈緒美先生の相手の特徴や気持ちを感じながらの指導に感動します!!うちの子も敏感なので注意しながらと、繰り返しやわかりやすいテンポある表現で返したり、歌にすると喜びます。でもその言葉だけの遊びや身体を使いながらなどが中心で、おもちゃなどは好まないので、たまたま手にとってもいつものようなリズムある言葉表現をしても聞きたがりません。物を使うときは耳からは入りたがらないのかと感じてしまいます。好みそうな歌の絵本がいいのでしょうか?
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