虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

遊べない子は、遊びに必要な技術を習得していない

2017-11-23 00:33:24 | 幼児教育の基本

 「子どもは遊びの天才」なんて言われますが、

実際には、遊ぶのが苦手な子、遊び方が不器用な子が

たくさんいるんじゃないかな?と思います。

 

子どもたちが心の底から楽しそうに真剣に遊び込むことができるようになるには、

いくつか体得していかなければならない技術のようなものがあると感じています。

 

遊ぶのに技術を体得しなくちゃならないなんて

おかしなことを言うように聞こえるかもしれませんね。

でもやっぱりいると思うんですよ。上手に遊ぶためのワザ!

 

目新しいおもちゃをちょっと触ってはうろうろするだけだったり、

遊び方の説明を聞いて、ちょっとうまくいかなくても何度か試してみるほどに

ひとつの物に根気よくつきあうエネルギーが乏しかったり、

遊びがワンパターンだったり、幼なかったり、依存的だったり、

友だちとふざけたり物を取り合ったりするばかりで

遊びが発展しなかったりする子っていますよね。

 

そうした遊び方は性格や能力に起因しているように思われがちです。

もちろん、それらの影響も大きいはずです。

 

でも、それとは別に、

「遊びに必要な技術を持っているかどうか」というのも

遊びの質と密接に関わっているのではないでしょうか。

 

では、「遊びに必要な技術」って、どんなものなのでしょう?

 

まず最初に大事なのは、

「何かとしっかり関わっていける力」をつけることかもしれません。

ひとつの遊びに愛着を抱いて、ひとつの活動を通して、

「面白いな、楽しいな」という気持ちを持続していくことができるようになることです。

 

遊びというのは、おもちゃがあって、それをいじってさえいれば

発展していくわけではありません。

楽しく遊ぶには、「いろんな形で想像力を使ってみる」という

実際に自分の頭と心を使って遊んだ体験が必要です。

遊びの世界で自分の頭を使えるようになっておかないと、

おもちゃがあるから、遊具があるから、楽しめるわけではないのです。

子どもは、自然に、物を何かに見立ててみたり、ごっこ遊びに興じたりするものですが、

大人の接し方やおもちゃが子どもの想像力を枯らせてしまったり、

奪ってしまったりすることもよくあることです。

また、もともと想像力に弱さがあって、ていねいに育んでもらわないと、

自分から使おうとしない子もいるのです。

 

環境と大人の役割は大きいです。

 

 

 
 
想像力だけでなく、思考力を遊びの中で活かしていく方法を習得すれば、
遊びはどんどん魅力的なものに発展していきます。
それでは、写真のブロック遊びをしている子どもたちを例に挙げて、
これまで書いてきたことを具体的に説明させてくださいね。
 
5歳と3歳の子たち、5人の遊びの風景です。
 
ひとりの男の子が電車のおもちゃを出してきて、ただ前後に動かしたり、
好きな電車を集めたりして遊んでいました。
遊んでいました……といっても、電車をいじっているだけなので、
それほど面白そうでじゃないのですが、飽きると新しいおもちゃを探しに行って
お気に入りに加えることで、本人の中では遊びが成り立っているようでした。
 
お家で、そうした遊びを遊びと思っている子がたくさんいます。
 
おもちゃをしばらくいじっていると、「片付けなさい」とお母さんに言われ、
片付けると、次のおもちゃが出したくなり、
出してきて触っているうちに、次の「片付けさい」という指示が来るということを
エンドレスに繰り返すうちに、
「遊び」という活動が、「赤ちゃん時期の見て触って満足」という段階から、
少しも発展していない子がたくさんいるのです。
 
電車のおもちゃを出してきて、ただ前後に動かしたり、好きな電車を集めたりして
遊んでいた子に、「ブロックを使って、その電車の駅や線路を作らない?」と誘うと、
少しとまどった顔をしながらうなずきました。
 
そこで、「ほら、前に、長い長い道路を作ったことがあるわね。
どんどん板をつないでいって」と言うと、
横でそのやりとりを聞いていた子が、パッと顔を輝かせて、
「あぁ、前にやった。もっといっぱい板がいる。もっともっと長くなくちゃ」と
言いながら、ブロックの板を並べだしました。
 

↑と↓は前にブロック用の板を並べた時の写真です。

 

↑ こんな風に道路を作って遊んだ楽しい体験を思い出したようです。

 

わたしが列車を走らせるためにブロックを横につないでいく見本を見せると、

他で遊んでいた子らも集まってきて、長い線路を作り始めました。

 

こうして手を使ってする作業に没頭し始めると、

子どもの態度は素直で落ち着いたものになっていき、

同時に頭の中はいきいきと活発に動きだすようで、

意欲的でよく練られた考えや言葉が出てくるようになります。

 

線路をつなぎ終えたとたん、Nゲージを走らせてみてから、

「そっちとこっちとで発車したら衝突しちゃうよ。

こっちの線路は、こっちからあっちに行って、あっちに着いたら

戻ってくるようにして、

あっちの線路は、あっちからこっちに行って、戻ってくるようにしたら?」と

言う子がいました。

すると別の子は自分の好きなように走らせたかったようです。

線路に1台だけ走らせるのでは嫌らしいのです。

 

そのため何度かNゲージが衝突することになり、言い合いになりかけたものの、

「それなら、連結したら?」という意見が出て、問題が解決しました。

Nゲージをどんどん(セロテープで)連結すると、長い1台の列車になるので、

1台ずつを行き来させているのと同じになったのです。

 

そうして遊び出すと、ここが終点、こうやって切符を買って……とごっこ遊びを広げる子、

駅で電車に乗る人が住んでいるお家を作ってストーリーを膨らませる子などが出てきて、

遊びが広がっていきました。

 

遊びって、ある程度、「ああ疲れた」「やるだけやった」というところまで

自分の身体なり、頭なりを使いきらないと、楽しさが湧いてこないものなのです。

その「やるだけやった」は、その時期その時期の子が

やっているうちにどんどん楽しくなっていって、「もうちょっともうちょっと」と

自分の限界までやり遂げないと気がすまなくなっちゃうような活動であること、

五感にとって気持ちいいこと、目で見て満足できるものであることが大事です。

 

だからといって、

わざわざこういうおもちゃを買いそろえなくちゃいけないということはなく、

お家にあるもので十分だと思います。

 

今回の「つないでつないで長く長くしていく」という活動は、

子どもにとって楽しくて達成感のある活動のひとつですが、

ブロックの板がなくても、下の写真のように「柵だよ」と言いながら

ブロックを置いていくだけでも、子どもにしたらさまざまな想像力を

掻き立ててくれりものなのです。

 

↑の写真の作品を作った子は、教室の端から端まで柵を付けた後で、

おもむろに立ちあがると、

しみじみと自分の作り上げた作品を眺めながら、

「どうして、こんなにすごいのが作れちゃったんだろう?」とつぶやきました。

 

置いていくだけ、並べていくだけ、囲むだけでも、道路ができ、

線路ができ、工事現場ができ、公園ができます。

そうした作業に熱中するうちに、想像力がいきいきと働き始めます。

 

「新しいおもちゃを出して、ちょっと触ってはお終い」という遊び方をしていたら、

自分の想像力を使うところまで行きつかないのです。

 

そうして想像力を働かせて遊んでいると、次には、

「上から電車を眺める駅を作りたいな」「これは特急で、こっちは回送で……」

「こういう風にしたい」「ああいう風にしたい」と

今度は思考力を働かせて、遊び始めます。

 

↑ 電車をくぐらせようとしたら、人形がトンネルの屋根にあたってしまうから

トンネルを高く作り直しました。

 

どんどんどんどん線路を長くしていく遊びから、

「地下鉄が上の駅のところに登って行くようにしたい」という願望が生まれ、

苦労してだんだん高くなっていく高架を作りました。

 

どんどんつないでいく楽しみも、

お城のなわばり図を作るという意味を意識しながら作ることで、

昔の人の知恵への関心が高まり、

自分たちもあれこれ知恵を絞って遊びこむことができました。

 

↑通ろうとすると、橋が崩れる仕掛け。

 

どんどん並べて、どんどん乗せているうちに、いろいろな物語が生まれていました。

 

どんどんどんどんつないでつないで……に熱中していると、こんな素敵な街になった

こともあります。

 

夢中になって遊ぶには、簡単にすぐできて、何度も繰り返したくなるような作業を

思い存分やることができる環境が大事だと思います。

公園でする砂遊びでも、お花を絞って作る色水遊びでも、何でもいいのです。

そうした身体を使って集中する活動を洗練させていきながら、

それがごっこ遊びにつながっていって、想像力をたっぷり使う機会が生まれるように

サポートしてあげることが大事だと思っています。

また思考力を使って次々生まれてくる願望を言葉にしたり、それを達成したり、

問題を解決したりする楽しさをたくさん体験させてあげるのも

とても大切な身近な大人の役目だと考えています。 

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1 コメント

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Unknown (たにたに)
2017-11-24 13:17:27
ブログ、いつも楽しく拝見しています。
写真の作品たち、すごく素敵ですね。
自分が作っていないのに、見ているだけなのに、電車が動くのを想像できて、想像だけでも楽しいです。

今回のお話は、まさしく年長になる我が子が直面している問題です。

どう関わって遊んだらいいかわからない時、退屈だったり手持ち無沙汰な時に、ちょっかいをかけて気を引くことが今でも遊びになっていてトラブルになります。

相手が嫌だ、やめてと言っているのに表情や雰囲気でわからなかったり、わかっていてもやめなかったり、、
そういうので孤立しています。

逆に、想像力が豊かな子が遊ぶメンバーにいて、「こういう町、川、山、工事現場を作りたい」と、その子を中心にグッと砂場で世界に入り込んで一心不乱に皆で作っている時、トラブルが起こりません。

1人1人が世界を構築する楽しさに夢中で目がキラキラしていて、終わったあとに「楽しかった。またやりたい」と呟いていました。

でも、それには
泥んこになっても誰も咎めず、暖かい眼差しで待つ親の姿勢や
自分たちが世界に入り込むのに邪魔されない環境が必要で、
なかなか難しいけれど、とても大切で
先生のおっしゃる通りだなと頷きながら読んでいました。

遊びを通して想像力を育むことは、コミュニケーション力や対人関係色んなことにも繋がっていきますね。

今回の記事を読んで改めて、子供の想像力を伸ばせるように関わり方に気をつけないといけないなと感じました。

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