虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

『9歳の壁』でつまずくか つまずかないか を左右する抽象概念の理解力 3

2019-07-01 15:42:07 | 思考力

前回までの記事にこんなコメントをいただきました。

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今回のユースホステルありがとうございました。

かわいい子ども達と出会い、とても楽しかったです。

毎日、仕事で子ども達と遊び、工作などをくり返す中で、

数学的思考が発達の凸凹のある子ども達にとって、社会を生き抜いていく中で、

重要な鍵になるのではないか‥‥と考えていました。

発達の凸凹のある子ども達は、あらゆる刺激の強さから、一対一対応でしか物事を

認識できないこと‥少しでも違いがあると別の物として認識してしまうことが

多くありますよね。様々な物が全く違った物として個別に存在しているので、

分類遊びは自然発生的には、なかなか出てきません。

例えばよくある事例では、

・Aちゃんを叩いてしまった時、注意を受けてとても反省していても、

Bちゃんは叩いてしまう。また注意を受けると「Bちゃんは叩いたらダメって言われて

ないもん!」と言う。

・「まっすぐ家に帰りましょう。」と言われると「そんなの帰れない!」と言い、

なぜか聞くと「曲がらないと帰れないから。」と言う。

こういった彼らの性質上の特性として片づけられてしまっている事も、

刺激の強さから抽象概念をとらえられず、遊びの中で充分に育まれにくい事から

起こるのではないか‥と感じていました。

物事を抽象的にとらえられる様になると、帰納的な考えや類似的な考え、

統合的な考えなどにつながりやすく、そういった考えは勉強だけでなく、

人間社会に多くある暗黙のルールをとらえられやすくなったり、変化に対する耐性や

柔軟さもでき、学校生活や社会生活の不安が少なくなるのでは‥と感じています。


発達の凸凹のある子ども達はくり返す事で(くり返すと思っていても、彼らには全く

違うことなんでしょうね。自転車が毎日、場所が1ミリも、角度が1°も違わず置いて

あることなんて、ないですもんね。違った状況を何度も照らし合わせて、

様々な角度から擦り合わせていく事で)意味として、獲得していくんでしょうね。

そこに、彼らの苦手とされる抽象的な表現や変化やユーモアなど取り入れると、

一対一対応ではなく大きな意味を持ったものとして、獲得していけるんだな‥‥と強く

感じました。

心と身体を解放して、全身で自分が何が好きか、何が心に響いているのか‥‥を

表現する子ども達。そんな子ども達に触れられて、とても幸せな2日間でした。

ご一緒させていただいたご家族のみなさん、ありがとうございました。

また、お会いできるの楽しみにしています。

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通常、ユースホステルのレッスンは、

幼児中心の日、小学生の女の子中心の日、小学生の男の子中心の日、

発達に凹凸のある子たちが中心の日などで分けて募集しているのですが、

今年は、十分な日程を確保できなかったため、発達に凹凸のある子、一般的な子、支

援の仕事をなさっている方のお子さんたちで年齢の高いお兄ちゃん、お姉ちゃん……と、

さまざまな年齢のさまざまなタイプの子らが参加することになった日を

設けることになりました。

こうした特別な日を作ると、

「発達の凹凸のある子のお母さんが相談したり気持ちを打ち明けたりしにくくなるの

ではないか?」「それぞれの子の学習時間がきちんと取れるのか?」

「まとまりのある体験ができるだろうか?学びを共有できるだろうか?」

「つまらなかった、参加しづらかったという子は出ないだろうか?」と気を揉むことも

多いのですが、心配のほとんどは杞憂に終わり……

結果良ければ…じゃありませんが、特別な日は特別な日にしかないかけがえのない時間を

参加した方々と共有することができました。

 

晩の親の学習会では、発達に凹凸のある子にも一般的な子にも

とても大切だと感じている日常生活や遊びや親子の会話の中で、

「抽象概念の理解力」と「さまざまな数学的な考え方」をどのように育んでいくかに

ついて話しあいました。

 

この記事の初めに、「難関突破経験と子育ての実態」の調査で、

子どもの自主性や思いや意欲を大切にして、遊びの主導権を子どもに与えることの

大切さが示唆されたという話題を紹介しました。

子ども自身が考える余地を与えるような援助的なサポートをする

共有型の関わりが大事であることや、遊びの量より質が重要であることも書きました。

 

でも、実際、子どもの遊びを見守る段になると、

「考える余地を与えるようなサポートってどんなこと?量より質っていったい何を

どうすればいいの?」と疑問でいっぱいになったかもしれません。

 

虹色教室では、子どもたちの遊びの質を高めるためのさまざまな試みをしているので、

何がどのように子どもの思考する姿勢に影響を与えるのかよく把握しているつもりです。

 

子どもと遊ぶ時に、あれやこれや知識を与えようとするのは

子どもを考えることから遠ざけてしまうこともあります。

遊びながら知識をインプットしようとするのではなく、

子どもの中に形成されつつある数学的な考え方の芽を育んでいくことが、

考える力の土台を作っていく上で大切だな、と感じています。

また、日々の暮らしの中で抽象的な言葉の理解を深めていくことも重要だと思います。

 

数学的な考え方には、

『数学的な考え方を育てる課題&発問集/鈴木正則著(明治図書)』を参考にすると、

 

帰納的な考え方  類推的な考え方  演繹的な考え方

統合的な考え方  発展的な考え方

記号化の考え方  数量化、図形化の考え方

集合の考え方   単位の考え方

抽象化の考え方  単純化の考え方  一般化の考え方

特殊化の考え方  表現の考え  操作の考え

アルゴリズムの考え  概括的把握の考え 基本的性質の考え

関数の考え    式についての考え

 

などがあります。

言葉だけみると、大きくなってから数学の世界で学ぶように感じられる考え方も、

まだ2、3歳という幼い時期から、ざっくりと考えに触れたり、使ってみたり、

扱う中で洗練させたりしているものがたくさんあります。

幼い子向けの絵本や児童文学の世界でも、こうした考え方は多用されているものです。

 

たとえば、

数学的な考え方のひとつの帰納的な考え方というのは、

いくつかの場合を調べて、それらに共通するルールや性質を見いだし、

それを元に推測し、推測したことが正しいか新しいデーターで確かめていくことです。

 

帰納的という言葉こそ難しそうですが、

子どもたちが親と楽しそうにおしゃべりする様子を聞いていると、年少の子らでも、

「あれとあれとあれは、こういうところが似ているね。ということは、

あっちは、こうなるのかな?」と、共通に見られるルールに着目したり、

それをもとに予測したりすることを心から楽しんでいる子はけっこういるのです。

そういう子は、文字や計算のプリントを早い時期からするようなことはありませんが、

1を聞いて10を知るような利発さがあって、考えることを心から楽しんでいるのです。

 

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