自閉症の子たちのうれしい成長 1 の続きです。
今回のレッスンの前にAくんのお母さんから、こんな報告をいただいていました。
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前回のレッスンで、単純に物の名前を『車』などで教えるのではなく、
日産スカイラインとか個別名でアプローチしてみては?とのアドバイスから、
チャンスがあれば個別名で答えていました。
すると、「これは何?」といった感じで様々な物の名前を知りたがるようになり、
答えるとニコニコです。
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普段Aくんは絵カード交換コミュニケーションツールの『PECS』を使って
コミュニケーションを取っています。
Aくんが『PECS』を学ぶきっかけは
絵カードコミュニケーションと広汎性発達障害の子の個性にあわせた活動 1
絵カードコミュニケーションと広汎性発達障害の子の個性にあわせた活動 2
絵カードコミュニケーションと広汎性発達障害の子の個性にあわせた活動 3
で書いています。
わたしはAくんに初めて会った日から、「利発な子だな」と感じました。
Aくんの遊ぶ姿から、大小や物の使い方などを目で判断できることがわかりましたし、
美しい建築物などに惹かれる性質を持っている面からは、
独特の美的センスや立体を把握する力がうかがえました。
その一方で、以前の記事に書きましたが、
★ 犬や猫の鳴き声のように2歳くらいの子が敏感に反応しそうな音にも
気づいてすらいないように振舞ったこと
★ 口内に過敏さを持っていて舌が思うように動かせないようであること
★ 欲しいものを取ってもらう際に
「ちょうだい」の手をするのを教える隙がないほど思うまま激しい動きで行動し、
人との相互交流の形を作っていくのが難しいように見えたこと
などから、Aくんのお母さんに早い時期から、
絵カードのコミュニケーションを試してみることを勧めました。
その結果、Aくんが人と関わる力は大きく伸びました。
こうして絵カードで関わりながら、Aくんのお母さんはAくんの聞き取りやすい声で
物の名前や会話を教えたり、絵本を読み聞かせたりすることも
ていねいに続けてきました。
Aくんは多動が非常に激しい子です。
また自分の関心のあること以外、注意を留めないところがあります。
そのため、せっかくお母さんが物の名前を教えていても、
Aくんがほとんどスルーしているようでした。
前回のレッスンで、わたしは、Aくんの心に「物の名前を言ってほしい」
「名前をもっと教えて欲しい」という気持ちを育むにはどうすればいいだろう、
と考えていました。
ちょうどその時、Aくんのお母さんが、ミニカーを手にして、
「くるま」と教えているのを見て、
「単純に物の名前を『車』などで教えるのではなく、
日産スカイラインとか個別名でアプローチしてみては?」とアドバイスしたのです。
Aくんにとって、一台一台のミニカーは
すべて異なる魅力を備えた別のものだろうと思えたからです。
工作に親しむことと、「作って」という気持ちを育てるために
作ってあげたエレベーター付きロケット。
原因は、たった一つの積木。遊び場に一組だけあった積木で、弟が遊び、それを見ていた娘は、弟のを奪ってはいけない、とは判断したのでしょう、周りをさっとみて、遠いところにあった積木をとりに行きました。
いや、それ、小学生くらいのお兄ちゃんたちの1人の股の間にあったんですけど!
お兄ちゃんも声をあげましたが、全く聞こえていないようで遊びに興じはじめ、
見兼ねて、貸して、は?それ、お兄ちゃんたちが遊ぼうとしていたのよ?
と声かけすると、だって私が遊びたいんだもの、と、振り向きもせず。
興ざめしたお兄ちゃんたちは遊びをやめて帰りじたく、私は代わりに謝りながら、娘にも促したのですが、反応なし。ついに積木を投げて、大暴れ。
弟のを取らないよう気をつけたのね、でも、他に遊んでる人にも声をかけようね、と、言っても、大泣きし続け。
ものをひったくる間の無さ
続くと辛いものです。年長にもなると、周りは糾弾しますし、前科?があると遊びにも入れたがらないし。人にも興味はましてきたけど、物がずっと強い。
私が弟にかしてを教えながら、娘もそこから学んでくれたりするかな?など、願っております。
パニックが収まった後、ゴニョゴニョと何か言っていて、ゴメンなさい、と、言っていたのでした。彼女なりの成長ではありますが、ナイフとかどーして言うの。と内心思って、でも、蒸し返しませんでした。
積木がない、どうしよう、の時に既にパニック準備段階だったのでしょう。
苦いけれどこの経験から学んで欲しいな、と、思いました。