虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

後々まで影響する時期ごとの接し方 

2019-01-18 13:11:02 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

 

 

 子どもの月齢や発達の時期によって、後々まで影響を及ぼすような大事な接し方があると

感じています。

3歳の子たちは、いろいろな形で自分の頭を使いはじめるものの、

常識の伴わないでたらめともいえる考え方をします。

人は、「重要そうに見えて正しいこと」は、尊重するけれど、

「無意味に見えること」「どうでもいいような思いつき」「つじつまがあわない考え」

などは、軽んじたり、適当に受け流したりしがちです。

また、3歳の子が口にすることよりも、

世間一般で良いとされていることや大人にとって価値があることを

優先することが多々あります。

 

でも、この時期は、無意味に見え、どうでもいいことばかりで、つじつまのあわない考え方をするからこそ、

まだ生まれたばかりの思考の芽として、その弱さを守ってあげなくてはならないと

実感しています。

大人が軽んじて無視すれば、子どもは自分が考えようとしていたことすら忘れて、

大人の思考の誘導に従ってしまうからです。大人が否定すれば、

ただイライラする感情だけが残って、ぐずってイヤイヤいうことに終始するかもしれません。

3歳の子たちの知恵がどのようなもので、どうやってそれを守るのか(これまでも何度も書いてきていますが)は、

次の機会に書くことにして、

今回は、4歳の子たちに大事だと思う接し方について書こうと思っています。

 

上の写真は、もうすぐ年中になる子たち、4歳になってまだ日が浅い子たちの

工作風景です。

この時期の子と接していると、模倣が新しい段階に入ったのを感じます。

それまね大人や友達の真似をしてきた経験の蓄積ゆえか、多くの子が、

相手の行動を見るだけで、それは自分にできそうか、理解できるレベルの活動かを

判断するようになるのです。

この時期に、技術面や理解の面で、その子の能力の許容量(キャパシティ)を

超えるものをたくさん目にすると、

「できない」「ママ、やって」「先生、やって」とすぐに大人を頼るように

なることがよくあるのです。

そこで、お手本を見せる時は、子どもがわかるレベルで、できそうだと感じ、

やってみたいという気持ちがそそられるように気をつけています。

 

3歳が頭を使い始める時期だとすると、4歳は頭と体の両方を使う活動を始める時期と

いっていいかもしれません。

 

 

自分で、「こういうことをやってみよう」と思ってやりはじめて、

それに考えを乗せていきます。

行動こそ似ているようでも、それまでは、絵を描きだしたら、描く作業に

気を取られてそれだけで終わるか、「こうしたい」「こうだよ」とアイデアを出す時は、

しゃべることに夢中で、大人の手助けがないと、何をしらいいのか思いつかなくなる子が

ほとんどなのです。

でも、4歳の子らは、自分の「やりたい」に何が必要なのか、どんな手順で何をしていけばいいのか

手本を見ながら読み取るようになります。

といっても、体と頭を統合させる活動をしはじめる時期ですから、

それも身近な人が気遣ってあげないと、まだそれは簡単に摘み取られてしまう

新芽の段階です。

上のしゃしんは、4歳の子がうずまきを描いて、「ぺろぺろキャンディー」を作っていた

時の写真です。切り取った「ぺろぺろキャンディー」をお家の階段の横に

貼り付けて、

「ぺろぺろキャンディーみたいだったけど、ぺろぺろキャンディーの

すべりだいみたいになった」と言っていました。

 

 

 

 

 

上の写真は1歳3ヵ月のAちゃんの写真です。

1年生のお兄ちゃんがいるので、写真のクラッシュアイスゲームを購入したところ、

お兄ちゃんとお母さんがピースをはめて氷面をセッティングして、

Aちゃんが氷面を一撃で壊すという関係が繰りかえされているそうです。

教室でお家と同じクラッシュアアイスゲームを見つけたAちゃんは、

氷のピースをお母さんとわたしに手渡しては、早く氷面を完成させるよう

催促していました。

 

1歳の子たちは、「はい、どうぞ」とお母さんや身近な大人に何かを手渡すこと

1歳ちょうどの子たちは、自分の持っていたものを相手の手に落としていくか、押し付けていくような感じですが、

1歳3ヵ月くらいになると、はいどうぞ」と手渡すと、相手がそれをどう扱うかよく知っていて、

それを期待して渡すようになります。

Aちゃんの場合、「いくつもいくつもピースを渡すうちに

お母さんが順番にそれをはめていくので、

最終的に氷の面ができがって自分がそれをたたいて遊べるな」とかなり先のことまで見通した上で

遊んでいます。

Aちゃんのように相手からフィードバックを期待して働きかけるようになる時期、

子どもが何を期待しているのか、こちらの行動から何を読み取っているのかに

思いをはせながらていねいに接していると、

その後の他者から学ぶ力に大きな影響を与えるのを感じています。

 

 

上の写真は、1歳1か月のBちゃんが

自分の靴下をくつの中に入れようとしているところです。

Bちゃんのお姉ちゃんのひとりが、いったん脱いだ靴下を、なくならないように靴の中に入れておく

習慣があるそうなのです。

それで、Bちゃんも自分の靴下を手にすると、玄関の靴に向かっていくのです。

こうした真似っこは、繰り返すうちに、次第に真似する相手の意図を読み取りつつ模倣する

という一ステップ進歩したものへ変化していきます。

 

↑えんぴつでらくがき。

 

1歳前半の子たちは、小さいものをつまんで、ひっぱるのが大好きです。

↑の写真は、Bちゃんのために作った「ひっぱるおもちゃ」で遊ぶ

Bちゃんとお母さんの姿です。

こういういたずらのような遊びは、「遊んでいるな」と、

ただ見守る場合が多いと思うのですが、大人が返すフィードバックと環境(主に情報を減らして、

子どもが違いや用途に気づくようにすることです)

をわかりやすいものにすると、

1歳児さんたちは、大人とのやり取りに興じながら、相手の考えていることに

関心を寄せ始めます。

「こっちは長い」「こっちは短い」「こっちはストローをさしておいて引き抜く。なぜなら、そういう形だから」

「こっちは指で押さえる。」といったことを、模倣しながら理解していくだけでなく、

相手の行動と理由の結びつきに敏感になっていきます。

子どもたちの育ちを観察していると、

この時期の関わり方が、3歳頃の理由への関心や問題解決能力に影響を及ぼしている

のではないかと感じています。

 


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