虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

憧れの大工仕事

2011-02-15 15:22:14 | はじめに
私の母親は、建築や農業や畜産を職業にしている家に9人のきょうだいの末っ子として生まれました。
食べるものには困らなかったけれど、
きれいな服を着て、ピアノや絵を習いに行く一人っ子やふたりっ子の友達に憧れながら育ったそうです。

それで、私と妹が生まれたとたん、
最新の服飾デザインの型紙を使って子ども服を作っては
私と妹にとっかえひっかえ着せて、
ピアノだ習字だそろばんだと、見たり聞いたりする限りの習い事をさせました。
私も妹も母に命じられるままイヤイヤ習っていますから
上達するはずもなく、
どの習い事も発表会や参観日に母の力作の○○○デザインの子ども服を
他の親たちに見せびらかす目的以外、何の役にも立ちませんでした。

そんな習い事をさせることに熱心だった母は、
自分自身もいろんな習い事に通っていました。
着物の着付け教室とか、粘土で花や人形を作る教室、パン作り教室、
手芸教室、絵画教室などです。
数ある教室の中で、母が一番楽しそうに通っていたのは、
『女性のための大工教室』でした。
確か、江坂で現職の大工さんが開いている教室ではなかったかと思います。
大人になって思い返すと、やらされた習い事は何ひとつ今の自分にとってプラスになっているものはないけれど、母が自分でしていた習い事からはどれも
大きく影響を受けて、たくさん学んでいるのです。

亡き母を思うとき、あれこれ習い事を強いられてうんざりした気持ちとともに、大工仕事を習うというので子どものようにはしゃいでいた母の姿が面白おかしく浮かんできます。

大工つながりで過去記事を……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
去年の話ですが、ツタヤでCDを選んでいたら、いきなりトントンと背後から肩を
たたかれて……振り向いたら、
背の高い20歳くらいの男の子(人?)がニコニコしながら
立っていました。

誰……???

と一瞬、面食らって、誰だかわからずに
ポケッとして、相手の目を見ていたら、「あ~!!!これは……!!」
と思い出しました。
数年前に、私が大工仕事を教えてもらった小学生……
 
ということはまだ、中学生か高校生……?
すごく大人びていて、背丈も見上げる感じで対面しているんですが、
笑顔は当時のまんま~(いまだに友だちと思ってくれていたのか……?)

あまりに突然でボケていたので……「仕事は何をして……」と問いかけて、
「いや、まだよね……学生よね」とひとりごとを言っている間に、
ニコニコしながらさわやか~に去っていきました。

「よその子はすぐ大きくなる」っていう話……よく聞くけど
ホントだわ~と思った出来事でした。


↓その男の子に大工仕事を教えてもらった話です。
--------------------------------------------------------------------
以前、近所の小学校でする子ども会主催の「たこ作り教室」の手伝いを
していたことがあります。
そこで、おとなしすぎる小学生と活発過ぎる小学生が、
小競り合いを始めました。
私は、けんかを妨害するように、
二人の間に自分の「たこ」を広げて、「たこ」にイラストを描き始めました。
その前の年は「火の鳥」を描いたんですが、
その年は「だんじり」

すると、それまでけんかをしていた活発な方の子が、
さらに私の近くに席を移して、
だんじりの絵をなめるように見ていました。
そして、自分も「たこ」にだんじりの絵を描き始め、
だんじりについて熱心に語りだしました。
私が、一番興味を惹かれたのは、
その子が、自分で、大工道具を使って、だんじりを作った…という話でした。

実は、私は、何年来、大工仕事にあこがれていて、
今は廃材や紙で工作しているけれど、いつかは木材で
子供用のままごとセットなど作ってみたいと考えていました。
それで、その子に、材料の入手先や道具について、
あれこれ質問しました。
すると、その子は、それは熱心に、

自分の作っただんじりを見に来るように…
それは、子どもが乗ったって大丈夫な作りなんだ…
今日にでも、ホームセンターと木材屋に連れて行ってあげるから、
「たこ作り教室」の後の予定は空いているか?

とたずねます。

うーん、それは魅力的な誘いではあるけれど、
お母さんに聞いてみなくてはならないよ。
勝手によその子をホームセンターに連れて行くわけには…(連れて行ってもらうわけには…)

といったんは、ていねいにお断りしたんですが、
帰りはしっかり我が家まで付いて来て熱心にすすめてくれます。
そこで、親御さんに連絡して、
(「うちの子でお役に立てるんでしたら、どーぞどーぞ」とのこと)
さっそく二人で買い物に出かけました。

「ちょっとお金がかかるかもしれないよ~
ドリルはまず必要だからね。
それと、サイズのちがう釘もいるし~。
それとさ~いらなくなったとき、リサイクル料金400円かかるかもしれないけど、大丈夫~?」としゃべり続けて、
男の子は、私の財布の中身をすごく気にしてくれてました。
そして、
ただで木材を分けてくれる材木やさんに寄ったり、
途中で家を建築中の大工さんに声をかけて、
木の廃材を分けてもらったり、
ホームセンターの特価品コーナでお買い得の板を集めて
くれたんですよ。

私の場合、買い物だけで、疲れちゃったんですが…
「だめだめ、思い立ったときに、ある程度仕事を進めとかなきゃ…。」
と注意され、
さっそく「だんじり作り開始!!」

それが、のこぎりやドリルの音が思った以上に大きくて、

騒音だ~!
ご近所迷惑だ~!

と気が気じゃなかった私は、
なんとかそれらしい形までこぎつけたときは、
涙が出そうでした。

その子は、小学生とは思えない仕事っぷりなんですが、
勉強はすごく苦手なんだそうです。
そこで、大工仕事を教えてもらったお礼に、
製図に役立ちそうな算数を教えてあげるよ~と言ったんですが、
断られました。

それで、帰りに本人が持っていないというサンダーを
あげることにしました。
というのも、大工仕事を教わってみて、
「こんな都会の真ん中で、そんな作業できるわけない!」
という現実をしっかり勉強させてもらったからなんです。
それと、大工仕事の、大体の流れと、購入場所も
しっかり学習できました。(かかった費用のもとは取れました。)

「サンダーはかなり音が出るけど、大丈夫?」
「いつも使っている電動のこぎりも、電動ドリルも
同じくらいの音だから大丈夫だよ。
でも、ほんとのほんとに、サンダーもらって良いの???」
とその子は喜び勇んで帰って行きました。

その後、小学校の柵のそばで、数人の子と群れて遊んでいるその子を
見かけました。手を振ったら、「おっ!」と挨拶。
「だれ~?」と友達に聞かれると、
「ともだち~」と答えていました。

ともだち…ですか?
----------------------------------------------------------------

web拍手を送る

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。