虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

親心がきちんと発揮できる状態(おとな心が立つ)にあると、ちょうどいい子どもへの手助けが判断できる

2016-01-09 16:50:23 | 教育論 読者の方からのQ&A
『魔法の子育てカウンセリング(阿部秀雄著/KANKEN)』という本で、
マグダ・ガーバーさんというアメリカの教育家の、
赤ちゃんへの接し方について取り上げてありました。
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著者が見たビデオ映像のなかに、こんなシーンがありました。
 
赤ちゃんが高い台によじ登ろうとしてうまくいかず
欲求不満の声をあげているとき、つい登らせてあげたくなりますが、
ガーバーさんは、「そこに登りたいのね。ちょっと高すぎて登れないね」
と共感の声をかけるだけ。
赤ちゃんも、まだ自分には無理だという等身大の体験ができたことを
納得した様子で、別の遊びに移りました。

手伝って登らせたらダメなわけではないのですが、
わたしたちは、子どもにとってどうするのがいいか見極めないまま
安易に手を貸してしまうことが多いです。
 
著者は、親心がきちんと発揮できる状態(おとな心が立つ)にあると、
こうしたとき、どうすればいいのか、きちんと判断できると
おっしゃっています。

次のシーンで、深いコップの底の積み木を取り出そうとする赤ちゃん。
ガーバーさんは、声をかけるだけで、安易に手をかすことはしません。

しばらく格闘した末に積み木を取り出した子の満足そうな顔といったら
なかったそうです。
別の子がテーブルの下でぐずりだしたとき、ガーバーさんは、
テーブルの下をのぞきこんで子どもの様子をよく見極めてから、
「手伝おうか」と声をかけるそうです。子供がそのままでよいようなら
見守ります。
すると、ぐずりながらもひとりで脱出した子は本当に満足そうです。
ビデオのなかの赤ちゃんは助けてほしそうでしたが、必要最低限の
手助けにとどめ、泣いて出てきたときよしよしと抱きしめていたのです。
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このガーバーさんの子どもへの接し方は、
私がよく「適当子育て」と呼んでいる私が子どもたちと接触する
タイミングととても近いものがありました。
 
一見、周囲から見ると、「冷たい~」ように見えるんですよ。
でも、赤ちゃんにしても、幼児にしても、小学生にしても、
手助けは必要最低限にして、共感の声はかけ、
うまく達成したときはいっしょに喜び合う……くらいの
ちょっと手抜き気味の接し方をとても好むものです。

そうして、一歩引いて、子どもにまかせることで、
子どものなかに自信がみなぎってくるんです。

こういって書くと、
「子どもを自立させるために何でも自分でさせなきゃ」と
ちょっと突き放したような接し方をする方がいるのですが、
工作を子どもが「作って」というとき、
「自分でしなさい」とか「ここはやりなさい」なんていわずに、
全部引き受けて、気持ちよく作ってあげることも大事だと
感じています。

こうしたことは、子どもの心と響きあい、子どもの思いを見極める目が
必要です。
難しいようですが、マニュアルで動かず、自分でやってみて失敗の数を
積めば、子どもに接する態度も、工作や学習と同じように上達してくる
はずです。
どんなによく見える態度も、それを固定して柔軟性を失えば
子どものように成長し変化していく存在を相手にするにはよくない
ですよね。

ただ、その場ですぐ「できてほしい」気持ちが強いとそれも台無しで、
いつでもすぐに結果を求める親が、子供が何かするたび、
やきもきしてみているという子は、
根気がなく、自信がなく、短絡的で、共感性が薄くチャレンジ精神が
弱い子が多いですから。

「できてほしい」とせかさない方も、もし、子どもかわいさのあまり
しじゅう手を貸してばかりの場合、注意が必要です。
子どもの自分でできるという自信がどんどん奪われていくからです。

子供と接するとき、いい親になろうとあせらないで、

子どもにとってどうするのがいいか、一呼吸、見極める間が大切ですね。

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