虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

ひとりひとりの子にとって一番大事な働きかけ 11

2011-05-27 13:50:23 | 子どもの個性と学習タイプ

小学生の頃、学校で角度についての授業で、
「三角定規2枚(直角三角形と直角二等辺三角形)を使ってどんな角が作れるか」という学習をしたことがあります。

先生の示した答えは、

30度+45度=75度  30度+90度=120度  
60度+45度=105度  60度+90度=150度 
 90度+90度=180度 

の5つでした。

それから先生は、「三角定規2枚では、30度より小さな角度は測れません。
180度より大きな角度も測れません。」と説明しました。
その日の宿題は、この授業の復習で、
三角定規2枚で作れる角を
分度器で測りながら書き出してくることと、
100マス計算でした。

私は内向的直観の感情寄りの子どもで、
思考がしっかり働くわけではないのだけど、
直観で「ひらめく」ということに
関しては、
「瞬きする間に新しいことを思いついている」というほど、
次から次へとひらめいていました。
それで、この宿題をする際も、先生が「この5つの角度しか測れません」と説明したのも、
「三角定規2枚では、30度より小さな角度は測れません。
180度より大きな角度も測れません。」と説明したのも
覚えていたにも関わらず、
何とかそれ以外の角を測れないかと試行錯誤しはじめました。

その時点で、宿題の意図からはずれているのですが、
そうこうするうちに、
いろいろとひらめきました。
三角定規2枚を重ねてはみ出した部分の交差点に点を打てば、
15度を作ることができます。
これは、先生の「30度より小さな角度は測れません」という説明の反証になります。

また三角定規をコンパスのように利用して、
ひとつの角を中心点として、別に角にえんぴつを固定して、
円を描いて、別の地点から同じ作業をすれば、
交差する点と、中心点の代わりにしていた点を結ぶと、
さまざまな角度が作り出せます。

また、三角定規は2枚のルールがあったとしても、三角定規の型をえんぴつでなぞって紙の三角定規もどきをたくさん作れば、
180度より大きな角を作ることが可能です。

そんな風に、「とんでも」な方法を湯水のごとく思いついたあげく、
宿題では大きな×をもらいました。

母は感情が優れているタイプで、私の試行錯誤は母にとって「ノイズ」でしかありませんでしたし、
「そんなことを長いことやっていないで、100マス計算のタイムを、もう少し縮めてくれたらどんなによいか」と考えているようでした。

それでも、子ども時代の私には、そんな私の個性をそのままに受け止めてくれる大人が、図書館や友だちの家や学校にちらほらいました。
また、自然やゆったり過ぎていく時間は、
学校で求められることだけでなく、私らしさを育てる場所や時間を
与えてくれていました。
そうやって大人になった今、
小学生の私が発信する三角定規をいじくりまわしながら「これ、面白い!」と感じていた気持ちを、今の自分がしっかり受けとめて、
思わず吹き出してもいます。


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先日、教室の親御さんから、
最近の虹色教室通信の記事を読んだ感想をいただきました。

その方は、小学生と幼稚園の子のお母さんですが、
自分の子たちが、
「お母さん、大好き!」心の底から溢れるように表現してくれるのに対して、
「私はたいしたことをしてあげているわけではないし、子どもを褒めるのも
あまり上手じゃないのに、どうしてこの子たちは私のことがこんなにも好きなのかな?」と考えていたそうなのです。
その疑問の答えが、「ノイズ」について扱った
今回の一連の記事を読んでわかったそうなのです。

その親御さんは、それぞれの子の個性をユニークで魅力的なものとして
受け止めていて、
ネガティブに見えるものも全て、その子のあるがままの姿として
愛情を込めて眺めておられるのです。
一時期、幼稚園で困ったちゃんの一面が出て、周囲から指摘を受けていたときも、親御さんは問題にはきちんと対処するけれど、
そのどれも「ノイズ」としては捉えませんでした。

「子どもを育てていれば、いろんなことがあるし、
それを乗り越えて子どもは成長する」と大らかに構えていたのです。
欠点も含むあるがままのわが子が魅力的ならば、将来についての心配はありません。
子どもたちも、そうして自分の全てを信じてもらい、
認めてもらっていることをよくわかっていて、
お母さんのことが好きでたまらなくて、
同時に自分自身が大好きなのです。
知力も才能もどんどん伸びています。
ですから、勉強にも遊びにも創作活動にもスポーツにも、
いつも全力投球でがんばれるし、自由に自分の思いを表現し、
幸せいっぱいの笑顔を浮かべて生活しているのです。

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