虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもに辞書的、図鑑的知識は必要?パソコン教育は必要? (息子とおしゃべり) 

2014-05-31 19:39:56 | 息子とおしゃべり(ときどき娘)

隙間の形がギザギザの星型になるように「覗き眼鏡」を作りました。

何段か、同じ組み方で重ねます。比較的安定したはずれにくい組み方です。

ペットボトルの底部分を輪ゴムで装着しています。

 

数日前に息子から、わざわざノイズ(CDの傷等によって生じるギーギー言う音)を

編集して取り入れることで、音に深みを出す工夫をこらした曲を紹介してもらい、

娘とは、画材がはがれた部分や本来は見えないはずの絵の下地の部分を利用して描かれた

現代美術の展示会に行ってきたため、わたしもブロックでそういう普段は見えない部分、

意識しない部分が意味を持つようなものを作ってみたいな、と思っていました。

ブロックの作品よりも、ブロックで囲まれてできる穴の方に注目がいくように

作っています。

 

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中学入試の動点の問題を解くための教具を作りました。 で、

算数の文章問題を解くのに必要なのは、

言葉から言葉に翻訳するような国語の読解力じゃない。

記号の解釈に時間をかけるんじゃなくて記号の元となる本来のものに触れさせることが

大事だと思う……と言う息子と、話し込むうちに、

「子どもに辞書的、図鑑的知識は必要か、パソコン教育は必要か?」という話題に

移りました。

 

息子 「子どもはまだ経験が浅いから言葉という記号の意味するイメージを

明確に持てないことが多いよね。

たとえば算数の図形問題なんかも、様々なものに触れて形を知っていないと難しい。

速度の問題にしてもミニカーやビー玉を転がしたり、

モノを投げたりした体験の蓄積がないと、実感がわかないはずでさ。

速度の問題が解けるようになるには、まず様々な速度に触れることが大事だよね。

 

学問って、抽象的なものを扱ってはいるけど、

抽象的なものを理解するには情報が必要なんじゃなくて、

まず、第一に、ベースとして感覚や実感といったものが必要だと思うんだ。

 

ぼくにしても、言葉を読んだとき、イメージや実感がないまま、ただ言葉として

わかっているってものがたくさんあってさ。

たとえば、カブトムシといった言葉にしても、その動き方まで具体的にイメージ

できるかっていうとあやふやだし。

それこそ植物にあんまり興味がないから、花の名前なんて、文中で「おじぎ草」なんて

名前を目にしても、言葉を記号としてスッと流してしまっていて、

ただ文字を目で追えているにすぎないって状態だよ。

 

記号の解釈に時間をかけるっていうのはさ、たとえば、

「遮る」という言葉を覚えるとき、

「遮る」の語源や辞書的意味を覚えて、間に隔てになるものを置いて、

向こうを見えなくするとか、進行・行動を邪魔してやめさせる。妨げる、

というふうに覚えてもすぐ忘れてしまう上に意味がないと思うんだよ。

 

遮るを理解するのに、本を使うのはあまり賢い手段じゃないよ。

 

実際に「遮っている」という状況を見たり体験したりすることで、

はじめて覚えることができるものだからね。

その場合に必要なのが情報ではなくて直感的なものだ。

 現実に起こったことをいつも説明して、あれは虹で光の反射から生まれて~なんて、

すぐに説明するのも良くないよ。

 

言葉で説明するというのは、現実に起こっていることを一つの解釈に閉じ込めると

いうことで、本来起こっている出来事から離れさせてしまうからね。

 

言葉で言い表せないような感情があるように、

現実の世界はもっと抽象的で人間に直接訴えかけてくるものをたくさん含んでいるよね。

子供を無理やり、言葉と記号の世界に閉じ込めたらいけないよ。」

 

 

私  「ネットでアフォーダンスについて書かれた文章を読んでいたら、

現在のコンピュータ教育って、UFOキャッチャーのようなもので、

目的は見えるけれど、実際に触れてないから、

つまり直観的にわかっているわけでないから、理解はつかめても、ただそれだけ。

視覚情報とボタンだけが、理解をつかむプロセスになってるから、

UFOキャッチャーの景品の特性から得る情報があるのか?単純すぎないか?

という話を目にして、なるほど、と思ったわ。

 

パソコンのいいDVDも出ているけど、実体験に先だってパソコンで学んだり、

現実の体験量が少ないのに、パソコンから学ぶような教育が増えると問題なんだろうな

って感じたわ。」

 

息子 「パソコンは、ある程度、しっかり考えられるようになってから使った方が

いいだろうし、現実で実現可能なら極力そうした方がいいんだろうな。

 

でも、パソコンでの学びをUFOキャッチャーにたとえて、

プロセスが単純すぎて、対象の特性から得る情報があるのかどうか……と

考えていくのは、どうなんだろう?

パソコンでの教育を、

電卓みたいに「検索して即座に答えを得る」道具として使うか、

英単語を覚えたり、計算を訓練したりする単純作業をゲームの中に組み込んで、

楽しく学ぶための道具として使うかに限って捉えているように思うんだ。

 

パソコンが教育の場で本当の意味で力を発揮するとしたら、

実体験の限界を助けるというか、実体験の幅を大きく広げる場合なんじゃないかな。」

 

私 「どういうこと?」

 

息子 「たとえば……正二十面体を作って触ったり見たりするのは現実でもそんなに

難しいことじゃないけど、正八十面体を作ったり触ったり見たりしようと思ったら、

よほどの技術がない限り不可能だよね。

 

そういう実現不可能なものを、ぼくたちがイメージしようとすると、

どうしても現実から遠のいてしまう。

となると正八十面体の物体というのは、イメージ上でしか存在できない虚構の物体と

なってしまうよ。

でもパソコンを使えば、そうした虚構をより現実に近い形で表現することができる。

さらに数式や記号といったものが実際どのように使えるかも体験することもできるよ。

 

パソコンのそうした面は、具体的な操作する体験を与えてくれるレゴブロックに

近いものがあるんだ。」

 

私 「レゴブロックに?」

 

息子 「パソコンは、虚構といった現実には存在しないものに外観をつけて

自由にいじることができるようにしてくれるからね。

数学ってものを、レゴブロックのように自由に改造しながら、感じることができる面が、

パソコンが教育の場に貢献できる一番潜在力が大きい部分だと思うよ。

今は、そうした活用のされ方は、ごく限られた人にされているだけだろうけど。

でも、これからは、そこが重要になってくると思うよ」

 

私 「★(息子)は、そういう操作が可能で、遊び心があって

デザインが優れているものが作りたいって言ってたわよね。」

 

息子 「そうだよ。数学を実際触ることができるようなソフトがもっと広まればいいと

思っている。

勉強はそもそも虚構を扱うものだよね。それを教科書や参考書を読んで、

記号だけで本の中で解釈していこうとすると、それらが試験問題を解くためにだけ存在し

ているような薄っぺらな無味乾燥なものに感じられてくるはずだよ。

 

数学が、日常生活を便利にするために使われる道具だってことを実感するには、

虚構にいろいろ飾り付けをして、より現実的にイメージできるようにするのも

重要なんだよ。パソコンはそれが可能だからね。

 

パソコンをわからないことを問いかけて、すばやく答えが出てくるものしか認識して

いないとしたら、レゴブロックでいえば、自由に創造力を解放する道具として使わずに、

ただ設計図通りに組み立てる遊びとしてしか捉えていないってことと、

同じなんじゃないかな?

レゴのように実際に触れながら、その都度フィードバックを確かめながら遊べる

おもちゃの醍醐味は、自由に改造しながら、記号のもととなる本質的なものを

直に感じ取れるってことだよね。パソコンにしても、そんなふうに

直観的にわかる体験を作りだせる良さを教育の場で活かすべきなんだろうと思うよ。」

 

 

↑ 年中さんの女の子のパパさんが作ってくれた作品。

車を動かすとデュプロの車輪に巻きつけてあってひもが引っ張られて車輪が回り、

車輪が回るとかけていた輪ゴムの力で、もう一方の車輪も回り、

それが回ることで、黒い帽子用のゴムが動いて、ユーフォーキャッチャーとして

ぶらさげていたひもが動きます。

 


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1 コメント

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おはようございます (かりん)
2014-06-16 11:23:16
あぁ、ほんとうに、素晴らしいご子息でいらっしゃいますね。ため息がもれました。
息子さんとそのようなお話ができるなんて、羨ましいです。

そして、私がしたいと願っている子育ての指針を、文字にしてバシっと見せていただいた気分です。
情報に惑わされてただやみくもに幼児教育を追い掛け回す失態をおかす前に、先生のブログに出会えて本当に感謝しています。

でも、その体験をさせるというのが、なかなか難しいので、先生のブログやオンライン教室で勉強させていただいているんだな、と再認識できました。
日々の生活で軸を見失いそうになると、何度も何度もブログを読ませていただいています。
本当に、先生の教室とご縁があることを心から願っております。
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