虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

それぞれの子の課題 それぞれの月齢の課題

2009-09-29 17:03:49 | 教育論 読者の方からのQ&A
年長さんの3トリオくん。
年長さんになってから、
それまではなかったお家での課題を持って帰っていただくようにしていました。
Tくんのお母さんがその様子を記事にしてくださっています。

☆学習記録 6歳の夏休み その1
☆学習記録 6歳の夏休み その2

虹色教室で読み書きや計算を就学準備のために勧めるのは、
意外……??
と感じた方がいるかもしれません。
だったら、うちの子も練習させなくては……とあせるかもしれません。

ただ、気をつけていただきたいのは、
これは私が、
『Tくんに必要』と感じて出した課題であって、
就学の準備には、こうしたことが必要と考えているわけではないということです。

まずなぜ私が、Tくんが年長さんになった時、Tくんのお母さんに

「お手紙、くじびき遊び、メモボードへの落書き、暗号遊び クイズごっこなど
いろんな楽しみを通して、
字を書くことを面倒がらないようにするお手伝いをしてあげてくださいね」

という課題を出したのかというと、

幼い頃からTくんと接してきてよくわかっているTくんの性格と能力などを考慮して出しています。

Tくんは、直感型の子で、モンテッソーリの手仕事などには、ほとんど興味をしるしませんでした。そのように遊びの中でコツコツ細かいことを続けていくという習慣が身についていないので、
頭を使うことは大好きだけど、手作業をめんどくさがるところがあるのです。
それを放っておくと、字を書く作業がめんどう学校の勉強をいやがる
にもつながりかねません。

Tくんのお母さんが、遊びと完全に自由意志でするものという形でこれまで学ぶことを捉えて、そのようにTくんに接してきたこと(この時期までそれはとても大事と思います)

就学に向けて、少しだけ『義務としての学び』という概念も、遊びと完全に自由意志でする学習の中に取り入れていただいて、

めんどうだったり、自分がやりたくないなと思うものでも、
外から与えられた課題を、
少しならこなすことができるようにしていくためです。
(6歳児はちょうどそのような責任感が芽生えはじめる時期だからです)

能力のバランスを取るため

Tくんたち3トリオさんは、小2~3年用のかなり難しい算数問題も論理的に
筋道をたてて解いていく力があります。
また国語面でも、かなり高い読解力と表現力を持っています。
3トリオさんがこうした能力を十分伸ばせたのは、
プリント学習ではなく、遊びや実体験の中でさまざまなことをよく考える
ことをしてきたからです。
ただ書く体験は少ないですから、

理解できることと、書いて解く力

のバランスは悪いのです。それで、今後それらのバランスを取っていく意味で
書くことを苦に感じない
自由に自分の手の動きをコントロールできるようにしていくことが
大事だろう、
と思っているのです。
(九九をしているのも、問題を解いたり、ボードゲームで遊ぶ際は、割り算の概念が入っているものも楽しく取り組める子だからこその課題です)

こうした話を書くと、少しでも早く書く練習を~と思うかもしれません。
ただ、
頭の中でイメージする力や考える力が十分育っていないのに、
プリントで字を書く練習をさせていると、
自由画が描けなくなる、想像力や思考力が乏しくなる
といった問題にもつながります。

またあまりに早く学習習慣を親がつけてしまうと、
義務感や責任感が育ってくる時期に
やる気がなかったり、反抗したり、親のためにしているという
態度を取る子が多い気がします。

たっぷり遊び、のびのびと成長してきた子は、
6歳頃から知的課題に自分から取り組みたがり、
親から与えられるお手伝いやちょっとした学習課題なども
自分からやりたがりますから、
その時期から、子どもの能力や発達に合わせた
就学準備をするのがいいと思っています。
(就学準備とは、学校の勉強の先取り学習ではなく、
授業中に座っていられるくらいの根気や義務感を育てていくことです)

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