虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どものきらきらした感じがなくなった? 2

2019-05-01 22:25:36 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

前回の2年生の女の子たちが

算数を学んでいる時、こんなことがありました。

 

2年生になったので、長さの単位について少し学んでから、

「まわりの長さ」を

問う問題をいくつか出しました。

子どもたちはすぐに理解して、「解きたい!」「解きたい!」と手を挙げて、

夢中になっていました。

 

そこで、ちょっとレベルを上げて、下のような問題を出しました。

この問題は、一つ一つの辺が何センチなのかとバラバラに考えていると

答えにいきつかないのです。

 

3つの値のわからない辺をセットにして、それが13センチと同じだということに

気づく必要があります。

案の定、みんな悩んでいました。

そこで、「さっき、ハンバーガー作るゲームで、チーズバーガーとかのセットを作ったよね」と言うと、

「そうそう!作った。わかった、こことこことここで、13センチってこと?」と

Aちゃんが気づき、他の子らも、「わかった」「わかった」と言って、

同じように辺をセットにして考えなくては解けない問題も解いていました。

 

こうしたことに気づく頭の柔軟性は、

少し前、このグループの子たちが、紙やストローを使って自在に形を作る力がついているのに、

「粘土!粘土!」と粘土をこねまわすのを楽しんでいた時期に

身についたのかもしれません。

 

紙や棒ではイメージしにくい概念を、上手にできるようになったことからいったん離れて、

ただただ素材と遊ぶ時間の中で、それまでやっていた活動の中でできてしまった思い込みを

をほぐして、バラバラにして、再構成しなおして、

いろんな角度から物事を眺めて気づくという姿がありましたから。

ただ、ここで、気をつけなくてはならないのは、だったら粘土で遊ばせたら、そうした力がつくのか

というと、そうではないことです。

 

子ども発で「やってみたい」と思うことや、自然と夢中になっていること、心底楽しいと

感じていること、真剣な顔で取り組んでいること、という旬のテーマに

じっくり関わる中で、おのずと獲得していくものだからです。

 

この日の子どもたちは、下のような問題も、単位を変換させることも

すぐにピンときて、答えを出していました。(ひとりだけ単位の変換にとまど

っている子がいましたが、ちゃんとできるようになっていました)

 

 算数を学ぶ時間はいつも、「もっとやりたい!」と余裕で解いているものから、

その時々の頭をフル回転させて考え抜かないと解けないものまで

解いています。そこで、今回、教室の年上の子用に用意していた

立体図形に垂直に穴をあける問題を出すと、みんな面白がって解いていました。

 

<問題>

下の図は27この同じ立方体を積み重ねて作った立方体です。

この立方体の●印をつけた面から向かい側まで垂直に6つの穴を

あけました。

この時、穴があいていない積み木はいくつありますか?

こうした問題を競いあうように解く姿は、大人の期待に応えようとして

がんばっているように

見えるかもしれません。

でもこのグループの子たちはみな自分の気持ちに正直で、

そうした心配をする必要は、あまりないように感じました。

手指を使ったこともいろいろ試してみたいけれど、

推理力や洞察力を働かせるといった頭を使う活動も

全力投球してみたいという意気込みがありましたから。

 

「その子のやりのこしてきたことに本能的に関わる時期や

個性の質が変化して、外からは見えにくいものに変わる時期」について、

もう少し書き足しておこうと思います。

教室には、幼児期を通して、手指を使った物づくりにはあまり興味を示さず、

ゲームや頭脳パズルばかりやりたがる子がいます。

そうした子たちが、ちょうど小学2年生になる頃、「工作したい!工作したい!」と言い出して、

色画用紙を使って、平面から立体を作っていく工作に夢中になる姿も

よく見ます。水筒の形を再現しようとして、注ぎ口の部分の形はどうやったら作れるのか試行錯誤したり、

折り紙の本を見ながら、見本を見るだけではわかりづらい部分をああではないか、こうではないかと試行錯誤し

たりするのです。

そうした活動は、「外から見ると、30分も40分もかけて、折り紙作品をひとつ折っただけ?」と

旺盛な意欲で頭脳パズルの最終問題あたりまで解いていった姿を思うと、

拍子抜けするかもしれないんです。

 でも、身近でその子の成長を追っていると、「30分も40分もかけて、折り紙作品をひとつ折ることに熱中する」

という活動の中で、その子らしい新たな成長を感じるのです。

頭脳パズルは、言葉がない状態で、

どんどん難しいレベルに挑戦していけるものがほとんどです。

それが、折り紙の解説書を見ながら折っていく場合、

つまずいた時に、「どういう意味だろう?」と書かれていることや記号について

著者の意図していることを読み取っていく努力がいるのです。

そういう時間は地味だし、目に見えるものは何も残りません。

でも、もともとパズル好きの子にすると、解説を根気よく読み解きながら

物事をやりとげようという姿勢が身につけたら、

百人力なんです。

直感だけですいすい問題を解くのでなく、条件をていねいに把握して

考えていくようになりますから。

できたのが、手のひらに乗るような折り紙作品でも、

「辺ABが点Dを通るように折る」という言葉について、

「これってこういう意味かな?それともこういうことかな?」と

意味について深く考えるのを面白がる姿がある場合、

外からは見えにくい劇的な成長が子どもの中で起こっているのだろうと感じています。

一見、足踏みしているように見える時期を経て、

それまで蓄積した力を別の場面で、

発揮できるようになるのです。

 

ですから、子どもの「こんなことがやりたい」「これ面白そう」という気持ちが見られたら、

大人の評価をさしはさまずに、つきあって支えていくようにしています。

そうして子どものそばにいる大人もいっしょにそこから学び成長していけたらいいな、と

思っています。

 

 

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