虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

『なぜ?オウムが複雑なパズルを解ける理由』というニュース  

2016-01-15 18:20:38 | 日々思うこと 雑感

娘から、「虹色教室でやっている活動に通じるものがあるよ」と言って、

『なぜ?オウムが複雑なパズルを解ける理由』というネットニュースを見るよう

勧められました。

 

オックスフォード大学、ウィーン大学、マックス・プランク研究所のチームによる

共同研究の話題です。シロビタイムジオウムの知能の調査です。

 

オウムは、ガラスの向こう側にある木の実を取り出すために、

ピン、ネジ、ボルトの順に取り除いてから、

輪を90度回して掛け金を横向きにしなければなりませんでした。

やる気満々で着実に課題に取り組んだオウムは、留め具の外し方がいったんわかると、

同じ装置で奮闘することは二度となかったそうです。

研究者によると、オウムが、自分が目指している目標を理解していたからなのだとか。

 

つまり、偶然、ネジやボルトをいじっているうちに留め具が外せたのだとしたら、

一度うまくいったからといって、次から奮闘もしないで、

すんなり留め金を外したりできないですよね。

 

留め具の順番を変えると、オウムは前にやったことがある留め具ではなく、

まず取り組まないといけない留め具に向かいました。

 

これは、学習内容に柔軟性があり、機械的に、

あるいは、体系化されたお決まりの手順で取り組むだけの動物でないことを

示しているのだとか。

 

最初は苦労していたオウムも、仲間が留め金をはずす様子を見た後は

この難しい課題を達成し、異なる環境でも再現できました。

 

ケセルニク教授によると、オウム類、それも特にシロビタイムジオウムは、

この課題に取り組むのに理想的な特性を示しているそうです。

 

オックスフォード大学のオーガスト・フォン・ベイヤンは、

「彼らは非常遊び好きで好奇心に満ちており、何でも試してみたがる。

たくさん遊ぶということは、人間の子どもや若者の場合と同様に、

自分の身の回りにある物の性質を学ぶ機会が増えるということだ。

物の性質を思い出し、問題を解決できる機会も多くなる」


「シロビタイムジオウムは身の回りの物を、クチバシや舌、脚を使って探求する。

単に視覚だけを使う生き物であれば、鍵を動かせることに決して気がつかないだろう。

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シロビタイムジオウムが、遊び好きで好奇心に満ちていて、何でも試してみたがるゆえ、

身の周りにある物の性質を学び、問題を解決する機会も増えることや

目で見るだけでなく身体を使って探究することで驚異的な能力を発揮することを知ると、

人間の子どもたちの遊びの機会が減り、遊びの環境が貧しいものになっていることが

気にかかります。

 

子どもが自ら作りだす遊びの代わりに、現代の大人たちが

「機械的に、あるいは、体系化された、

お決まりの手順で取り組むだけの柔軟性のない学習」を子どもがまだ幼いうちから

していくことは、人間の子どもが自然から生得的に与えられている最高の学習の機会を

阻むことにならないでしょうか。

 

オウムの知恵に感心しながら、そんなことが気にかかりました。