先日「scene through」のレビューを書いてから
なんとなくアルバム自体もちょくちょく聴いてまして、
何気に新譜に混じってヘビロテさせてます。Syrup16gの「syrup16g」。
解散の直前に出したアルバムだったので
当時はこれで終わりなんだな、的な終末観ばかりを感じていて
それは今でも感じる事なんですけど
それに加えて・・・
なんというか、優しさ、なのかな?ふわっと包まれるような希望の感触もあったりして。
当時これらを感じてたかって言うと
今ほどはなかったんです。
それ考えると、このアルバムって年取ると感じるもん増えるアルバムなのかなって。
キツい時とかに聴くと・・・一気に昇天しそうになります。
まず、やっぱ詞が良いって事に尽きる訳ですが。
それプラス、音もメロも良いと。
やっぱり自分の理想像に近いバンドだったんだなって、それを考えると惜しい気持ちも沸いて来るんですが
最後だからしか作れないアルバムにもなってるよなって事はつくづく思います。
このアルバムには今まで自分がやってきた事だとか、後悔だとか、自虐だとか、少しの喜びとか、そして感謝とか、
ありとあらゆる感情が詰め込まれていて。
それが痛いくらいに伝わる、と。
っていう表現ってちょっと陳腐かもしれませんが
それでもこのアルバムには「人の心」があると思うんです。
作り物じゃない
キレイに商品化した訳でもない
剥き出しの一人の男の気持ち。 だからこそ聴き手にも強く刺さる、と。そう感じます。
逆にそうとしか感じられない。
今聴いて思うのは
分かりやすくシロップの曲だった「ニセモノ」「さくら」の威力が高いのは当然として
「ラファータ」とか「君を壊すのは」とか
ちょっとメランコリックな曲も本当にいいなあ、って事ですね。
こういう曲たちが、実は思った以上に沁みるってのを実感しました。
時間が経って感じ方が変わるのも面白い。
「バナナの皮」とか「イマジネーション」とかは詞が集大成過ぎて泣けますねえ。
終わってしまった物語ってのを痛感します。
真っ白って形容が似合う曲たちですね。
まあ曲自体に関しては全曲レビューで語っていくと思うので多くは語らないんですが
先日レビューを書いた「scene through」を最近はよく聴いてます。
空っぽの自分を再確認できる曲と言うか。
こういう曲って重要だと思うな。
そしてギターの音が突き抜けてて、気持ちいいよね。これ書きそびれた事でした。
明確に「終わり」が見えてくるアルバムです。
でも、当然ながらこのアルバムを聴き終えても、実際に終わりなんてやってこないし、
また始めなきゃいけない。
白いジャケットのように。
そう考えると、またイチから始める為のアルバムって、そう思ったりもします。
大切なアルバムの一つです。