あれからふとした瞬間。
イメージの中でマルチバースのように、何度か魔法使いの過去生の人生を反芻していた。
所々さまざまな変化が起こりつつも、まあ基本的に起こる大きな出来事というのは(王女の死とか戦争とか)は、あんまし変わらないようだ。
結果は、同じなわけで。
そして、別にハッピーエンドにしたい訳じゃないんだ。
だって、この経験は必要だから起こったことで、それらを全て無かったことにしてハッピーエンドでOKならば最初からそうなっている筈なのだから。
だからこそ。
なぜ、10年経って。
今更、あの時に書いた物語に、変化が起こっているのか。
自分の中でも不思議だった。
断片的に浮かぶイメージ。
ある時は、王女が隣国へ嫁いだ後、王女を追いかける事無く、自身の国に残り続けた魔法使いは。
その後も、陰ながら隣国の王女への捧げ物。贈り物を作り続けていた。
もう2度と会える事がなくても、唯一の繋がりとしてアクセサリーを作り。
せめて王女の故郷である国を、ずっと守ろうとし続けていた世界があった。
ある時は、隣国へ嫁ぐ前に、王女へ想いを告げる世界もあった。
だけど、アルバートは王子でもなんでもない低い身分で。せめてもの想いを伝えた後は、自分から身を引くしかなかった。
何度も何度も繰り返して、この世界ではどうあっても、魔法使いの望む形で結ばれる事は叶わなかった。
だけど、気づいたこともある。
最初に書いた、過去生の物語では。
魔法使い、アルバートは自分から王女に直接想いを伝える事を絶対にしなかった。(だからこそ、作るアクセサリーに思いを込めた)
感じだったんだけど。
それは、おいそれと口にできるようなものではなかった。
自分とは雲泥の差、埋まることのない身分の差みたいなもの。がずっと心を縛ってた感覚だったんだよね。
でも。
もしも、最初の物語のアルバートが、自分の心の中にある愛に、何処かの段階で気がついていたら。
結末がどうであれ。
きちんと自分の想いを、王女に言葉で伝えられていたのかも。
そして、それが言えなくて王女の死んだ世界であっても。あれほど苦しまなかったのかも。
なんて。何度も反芻するマルチバースの、もしもの世界を垣間見ながら私は思ってた。
あの時のアルバートは。
王女への想いはめちゃくちゃ強いのに。
その想いが強ければ強いほど、それが重しみたいに、身動きがとれなくなってた。
だけどもしも。
その想いと苦しみの大きさの分。
自分の中にそれだけの愛があるからなんだ。
って気がついていたら。
アルバートの中の何かが、変わってたんじゃないの?
例え、起こる出来事は変わらなかったとしても。
そんな事を考えていたら。
魔法使いから手渡されたパズルのピースが、赤い指輪へと変わった。
ああ、
そうだよねー。
あの時、
過去生のアルバートがずっと、作りたくて作れなかった。ただの指輪。
あの時、王女の面影を少しでも宿した指輪を、自分のために作ろうと必死になっていたけれど。
本当に作りたかったものは。
王女へのプロポーズの指輪だったんだよね。
どうあっても叶わない事が分かりきってる世界では
形になる事すら、出来なかった。
そんな、指輪の形。
赤い石がキラキラと光る指輪。
そこまでのイメージが出てきて。
やっぱり過去生の物語を変えるために、このイメージを見たらんじゃないんだなと気がついた。
アルバートが、死に際に思った事。
その後悔。
何か、残しておけば良かったーー
それって多分。
自分は王女に、何の思いも伝えられずにいてしまった後悔もあったんだろうな。
全てがなくなって。
意識が途切れるギリギリでも。
それでも、彼の心の中に、王女が居たように。
彼もきっと。
もっと王女に、与えたかったんだろう。
不器用な彼は、王女のためにと。
ただただアクセサリーを、作る事しかできなかったけれど。
本当は、そんないつか壊れてなくなってしまうものではなく。
心に残る何かを渡したかった。
愛している。
そんな言葉さえも伝えられずに。
立場の違い、さまざまなしがらみの中で。
貴女に
与えられた言葉や
その存在がどれほど。
眩しかったか。
ガイドの魔法使いが、再びイメージで現れる。
ねぇ、何で今更
もう一度向き合ってるんだろう?
リトリーバルできてなかったのかな?
そんな問いかけに
イメージが浮かぶ。
魔法使いが、片膝をついて。
王女の薬指に、そっと指輪をはめてあげてた。
愛してる。そんな言葉と共に。
そして。
何故か、私の右手の薬指に指輪が光ってるイメージが浮かんだ。
パァーッと光を帯びていく。
それから、なぜかふとした瞬間。
自分の右手の薬指に、指輪が光ってるようなイメージが浮かぶようになった。
また、ここからの続きがあるのかもしれないけれど。
ここ1ヶ月で断片的に感じたイメージをつなげてみた。
王女には左手の薬指なのだが。
私の指では、左手は現実に結婚指輪はめてるのもあるのか??
何故か右手の薬指だと感じている。
とりあえず記録。