リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

田んぼのチカラ 孤立した川 初回草稿字余り

2006-01-17 16:21:32 | 『田んぼのチカラ』2004-
 昨年の7月、郡上市高鷲から長良川河口堰までカヤックに乗って長良川を下った。その時感じたことは、“なんという殺伐とした川だろう”というものだった。

 17年前、同じ季節に同じコースを泳いで下ったことがある。タイヤチューブに掴まって、水中を見ながらの8日間の流下行だった。その時が私にとって実体として長良川との出会いであったのだけれど、圧倒されたのは、“川のにぎわい”だった。どこを見ても生き物に充ちた川の姿だった。

 川を下り行くとアユが逃げまどう。全ての石の傍にはアユがいて、石の間にはハゼやドジョウの仲間の姿があった。深い碧なす川底まで、太陽の光芒が差し込んでいる淵には、ウグイの群れ、そして、川岸には必ず人がいて川面を見つめていた。
川のにぎわいは生き物が棲んでいる力でもある。

 災害復旧の工事が進められている。川岸に積まれている大きな土嚢袋、真新しいコンクリート護岸の川岸、私自身長良川沿いに住み、先の台風では堤防を越して流れる濁流におののいた。しかし、安全の為とはいえ生活の場、人間の土地から分離されて行く川の姿は、以前見た長良川の姿ではなかった。

 アユ、サツキマス、そして、ウグイの一部は川と海を行き来して生活する。川と海との連続性が彼らの生活の大切な部分だ
それらの姿が少なくなったことの理由を海との係わりの中に見つけ出すことは可能かも知れない。
 ただ、長良川には海と係わりを持たない魚、フナ、ドジョウ、モロコの仲間たちも棲むはずだが、その姿も今の長良川には少ないのではないか。

 気がかりな事があった。家近くの小川の話だ。秋から冬の間は、わずかな水しか流れていないコンクリートで囲われた農業用水の川だが、春となり田んぼに水が来る頃になると魚の姿が見られるようになる。捕まえてみるというわけでは無いのだけれど、魚の姿がある川というものは心が躍る気がする。ところが、このところその川に魚の姿が見られない。

 気にはなっていたのだが、ある時、小川沿いに歩いてみた。すると、以前は長良川の堤防の際を流れて、やがて、堤防の下の樋管を通って直接長良川に注いでいた小川は、その向きを堤防から離れ、大きな落差となって真新しいコンクリート製の排水路に向かっていた。
 そして、その排水路といえば、大きく迂回して水田からの排水を集め、長良川の支流に注いでいた。

長良川が孤立している。そう感じた。
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4 コメント

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Unknown (masa)
2006-01-18 16:25:10
川から離れて眺めれれば何も変わっていないように見える長良川も、もう以前の長良川とは違う川になってしまったんですね。とても悲しく感じます。人が生きる社会が便利に発展していく一方で、黙ってその犠牲になっているかのようです。



変わらない風景 (ニイムラ)
2006-01-18 20:01:07
というものは無いのだと思います。

だから、たとえ、自然の変容を見たくないからとどこかへ行っても、その場所にはその地の問題があるものです。

 心を馴らして、変貌する自然を見えなくする事は可能だし、たぶん、その方が普通なのだと思うのですが、未だに、こらえ性というものに欠けること多くして、いたるところで不満居士で有り続けています。



 ただ、歳を経て、すこしだけ、利口になりました。



 少しでも良くなったことは、大きく喜ぶ。悪くなった事には、ちょっとだけ、哀しむ。

 何もしなかったとしたら、何もかもなくなっていたかもしれない。長良川も奄美の川も、そう思うことにしています。

 そして、いろいろな出会いの中で、生かされているのだと感じています。決して孤独な異能者ではないのだと。
お会いできましたよーー (にんじん)
2006-01-19 20:10:16
新村先生 1月16日のアユが危ないの記事をとっても気に係り新聞記事を切り抜いていました。

今夜やっとさ~でこの場所までたどり着きました。



川のこと魚のこと、そして人間との関わり方を考えながら読ませて頂きたいと思います。



よろしくお願い致します。  にんじん
にんじんさま (ニイムラ)
2006-01-19 21:30:35
よろしくお願いします。

伊自良湖の問題は、行政任せでは進展しないのではと心配しています。お力添え、お願いします。拝

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