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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

岩牡蠣に苦しむ

2014-05-22 09:20:00 | グルメ

          



我が家の食卓に岩牡蠣が上る季節となりました。
と書くと、なんだかいつも食べているような誤解を与えてしまいますが、実は初めてです。
面倒なことになるとは予測もつかず、安かったのでつい買い求めてしまいました。
震災以後やっと市場にも三陸の貝類がたくさん出回るようになりました。
ホッキ貝ホヤも安くなり嬉しい限りです。

冬に食べる牡蠣をマガキ、夏に食べる牡蠣をイワガキと言います。
牡蠣は「一旦岩などに付着すると、一生ほとんど動かないため、筋肉が退化し内蔵がほとんどを占めている(by Wiki)」らしいのです。
ああ、岩牡蠣は私の人生(暮らしと習慣)になんと似ていることでしょう。
そこはかとなく親近感を覚えます(いや、それではアカンのですが)

電子レンジでチンして、シンプルにポン酢で頂くことにしました。
磯の香りいっぱいのふっくら、つるんとした大ぶりの乳白色の身を想像すると甚だしく食欲が増してきます。
ところが熱を加えればホタテのようにパカンと殻が開きすぐ食べられると思ったのに、牡蠣は相変わらず固く口を閉ざしたままなのです。
さてどうしたらよいのでしょう。
私はホッキ貝もお店で処理をしてもらうほどで、自分ではやったことがありません。
小刀は持ったものの、どこに差し込んだらよいのか見当もつきません。
これは男の仕事です!

短気で不器用なオットーに任せたのが間違いでした。
思えば若い頃、彼のどさ回りの地は山間部ばかり。
海辺の町では暮らしたことがないので、魚介類に関する知恵も知識も全くありません。
空腹マックスの男はだんだん不機嫌になり
なぜか小刀をドライバーに持ち替えて貝の殻を叩き始め、その破片は台所の床一面に散らばり、
岩牡蠣は蓋を開けるどころかますます意固地になり、エキスは霧散し、挙げ句無惨な姿に・・・
とっておきのワインも開けるつもりだったのに、精魂使い果たし疲れきった我らです。

私はふと、古い映画の有名な一節を思い出しました。

 …どうしても生まれ代わらなければならないのなら、私は貝になりたい……

もし生まれ変われるのなら一切の人間関係のしがらみを遠ざけ、戦争も徴兵もない深い海の底で静かに生きたいという、無実の罪で囚われて戦犯となり死刑宣告された主人公が最後に到達した境地です【私は貝になりたい
なんと寂しく強く哀しい思いでありましょう。
岩牡蠣もまた、何者をも寄せ付けない強靭な魂の持ち主と見ました。

オットーからは「二度と殻付きの牡蠣は買ってくるな!」と、理不尽な約束をさせられました。
また一歩グルメの食卓から遠のいた我が家です。



さて『孫にも衣装』シリーズのご紹介。
ともしびちゃん(孫・仮名)のことを忘れて別世界旅行をしていたことを反省しながら作った夏用キュロットスカート二点です。
右側のフリルいっぱいのスカートは難しくて、完成までかなり頭を悩ませました。