Riang,Liang

Riangはマレー語で「陽気な」、Liangは中国語で「明るい」という意味!マレーシアから陽気で明るい話をお伝えします。

サラワクへ ②中澤健氏とロングハウス

2006-02-23 00:22:38 | 民族

スタディツアーの話の前にちょっとだけ前置きです。

実は私が参加したこのスタディツアーのACE(日本NPO)の理事長である中澤健氏はマレーシアにACS という福祉のNGOを創設しました。福祉界の中澤健といったら、福祉業業界で働いている人なら、一度は耳にしたことがある名前なのではないでしょうか。
中澤氏は50歳で厚生省を退官し、マレーシアのペナンに住み始めました。知的障害者の施設を造り、10年経った3年前にサラワク州に引越をしました。
私も縁あって、中澤氏がペナンにいた頃に友人を介して、お知り合いになることができました。
そして、サラワクでもNGOの活動を始めるということで、私もACEの会員になり、活動のお手伝いをしているのです。

中澤氏が厚生省時代、提唱した「グループホーム」、今ではよく耳にする言葉ですよね。知的障害者達が少人数で共同生活を行い、スタッフもまたその場所で暮らし、まるで家族のように生活するのです。知的障害者達が親に依存しないよう自立できること、親達も子離れができるように親子共々、生活習慣を変えることができるのです。そして、自分で生活すること、他人との共同生活の楽しさを知っていくのです。今では「グループホーム」は老人ホームでも行われています。

中澤氏はサラワクに引越し、イバン族のジョセフさんという方と出会い、彼の実家のロングハウスを知ることになりました。ロングハウスには親戚達が個々の家(部屋)と共同スペースの廊下で造られています。老人から子供までそこで生活しているのですが、例えばA家(部屋)のお父さん、お母さんが共働きだったとします。子供が1人いて、この子供の世話はどうなるの?という話になります。でもこのロングハウスに住んでいれば、隣の家の家族が自然にこの子供を見てくれるのです。子供達もたくさん住んでいるし、そのA家の子供は寂しいと感じることがないのです。
老人達も息子、娘達が働きに行っていても、老人仲間もいるし、子供もいるし、寂しいと感じることもありません。何か困ったら、誰かが助けてくれることが当たり前なのです。ロングハウスは、家、老人ホーム、養護施設、託児所が一つになったようなそんな場所なんです。

中澤さんが提唱した「グループホーム」とはまた少し違いますが、老若男女が共同生活をし、助け合って生きていく、それが本来の人の生活なのではないか、これが原点なのではないかと感じ、中澤氏自ら、このジョセフさんのロングハウスに家(2階建ての部屋)増設することになったのです。もちろん、イバン族のロングハウスに日本人が増設した話は今までに一度もありません。このロングハウスの全ての人、近所のロングハウスの人達が同意しなければ増設は不可能な話でした。
おそらく、中澤氏の人柄が、難なくイバン族の人の気持ちにすっーと入っていったのではないでしょうか。普通の日本人だったら、そうはいかなかったと思います。
イバン族の人達は中澤氏と奥様を「私達の家族だ。」と言い切っていました。

中澤氏はこのようにイバン族のロングハウスの一員になることになったのです。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
感動しています! (加藤 佳子)
2011-01-22 23:18:34
中澤健氏の活動をあなたのブログで知りました。私も以前イバンの人たちのロングハウスを訪ねたことがあります。やし油のプランテーションを見てから、廃油で石けんを作る活動に積極的になりました。来週小学校でサラワク訪問の話と石けん講習をします。
私もロングハウスではないけれど障害者の人たちと北海道の牧場で共同生活をしています。老若男女・障害の枠を超えた人としてみな同じだという位置関係での共有・助け合う暮らしです。なので中澤氏の活動に非常に興味を覚えました。ACEにもアクセスしてみますね。
最近はサラワクを訪ねましたか?出会いに感謝!お元気で。
私もうれしいです!! (はなよ)
2011-01-28 18:19:55
加藤さん、コメントありがとうございます。イバン族のロングハウスの訪問、廃油での石鹸作り、そして、北海道での障害者の共同生活、どの話にも興味があり、是非、是非、お話がしたいです。日本とマレーシア、住んでいるところは違いますが、加藤さんのように活動をされている方がいること、本当に嬉しいです。ACE,ACSでワークキャンプを行なっています。是非、また、マレーシアにいらしてくださいね。

ただ今、私はクアラルンプールで子育て中です。なかなか、自分がやりたい活動に参加できず、2人の息子がもう少し成長したらと思っています。

去年、中澤氏にクチンでお会いしました。
再来週、ペナン旅行をかねて、ACSペナンに日本の母と息子を連れて行く予定です。
ブログも忙しくてなかなか書けませんが、是非、またコメントを残してくださいね。

中澤さんにも加藤さんのことを伝えたいと思います。