ワンダースター★航星記

写真を撮るとは、決して止まらない時間を止めること。旅や日常生活のインプレッシブな出来事を綴ったフォトエッセイ集です。

倭迹々日百襲姫命、またの名を「卑弥呼」?

2021-06-11 | 奈良の旅

倭迹々日百襲姫命(ヤマトトトヒモモソヒメ)、またの名を「卑弥呼」?

 

 最古の前方後円墳である「箸墓古墳」は、三輪山を背景に静かに佇んでいた。

 古墳の前に小さな石造りの鳥居があり、「倭迹迹日百襲姫命 大市墓」とある。

倭迹々日百襲姫命(ヤマトトトヒモモソヒメ)・・・舌を百回くらい噛みそうな名である。 

 何度か舌を噛みながら、その名ヤマトトトヒモモソヒメと繰り返していると・・・。

「 「日巫女」(ひみこ)でいいんですよ。」と、どこからか、声がした。

「 あかん。寝不足な上に、この暑さ。熱中症かもしれない!」

「 私はシャーマンだったから、日巫女でいいんですよ。」と何処からか再び、声がした。

「 とうとう、俺にも、きたか!まあ、ええわ。あんた、ここの主?」

「 そうよ。なんべんも、私の名を呼んだじゃあない!」

「 古代のそんな高貴なお方が、現代の俗人みたいな話し方をするかい!」

「 あなたの脳波レベルに合わせただけよ!」

「 なんちゅうことを!!

  ところで、あんた、帝のそばに仕える巫女のような存在だったときくけど。」

「 そうよ。 ただ、当時の巫女は、帝より権威があってね。

  私は霊力を駆使して、乱れた国を平らに治めたわ。

  私は王になりたかったんだよ。

  だから、あちゃらの大国に使節を遣わしたんだ。

  王として、認めてほしくってね。」 

「 あちゃらの大国って、魏のことだね。」

「 金印や三角縁神獣鏡をたくさん、賜ったわ。

  方向音痴の使節だったんで、デタラメの記録を残して、後の世に物議を醸したけどね。

  三角縁神獣鏡は今でも、天理市の黒塚古墳館に展示されてるわ。」

「 そういえば、纒向遺跡(まき むくいせき)で、大量の桃の種が見つかったと 報道されていたな。

  古代シャーマンに使ったと思われるとしていた。」

「 そうよ。当時の桃は食用じゃなくて、祭儀用だったから。」

「 しかも、その種を放射性炭素(C14)で年代測定してみると、“西暦135~230 年の間に実った可能性が高い”との分析結果が出たらしい。」

「 そりゃあ、私がシャーマンしてたころの桃だもの。

  今のJR巻向駅近に私が祈祷していた宮殿があってね。」

「 ”ヒミコ”と言えば、”ぶさいくなヒミコの邪馬台国!”を思い出す。」

「 誰がぶさいくよ!」

「 学生のころ、“ぶさいく(239年)な、ヒミコ”と語呂合わせで年代を憶えてたんだよ。」

「 もっと、いい語呂合わせ、考えてよ。」

「 倭迹迹日百襲姫命は三輪山の神、大物主と結婚したという伝説がある。」

「 それがね、夜しか、来ないのよ。彼。 蛇みたいにいろいろと、シツコイ人、実は本当に蛇だったの。

  それで、嘆き悲しんだあげく、箸であそこを突いて自害した。・・・だから、箸墓。

  ということになっているけど、実はこの話、帝の作り話よ。」

「 作り話?帝の?」

「 本当は、纒向の宮で、帝の兵たちの焼き討ちにあったの。祭儀用の桃もろともね。

  たくさんの人が嘆き悲しんで、全長160mある、大市の墓に「親魏倭王の金印・銀印」や「三角縁神獣鏡」と一緒に葬られたわ。

  帝は第10代ではなく、初代だってこと。

  西麓の王朝の歴史を闇に葬ったこと。

  私が一時期でも、倭の王のように思われていたこと。

  そして、私を殺めたのは帝だってこと。

  これは、2000年間の秘密!

  帝はその秘密を封印するために、2000年間、私の墓はけっして、あばかせないようにした。」

「 あんたは、やっぱり、卑弥呼 ?」

  もう、それっきり、声は聞こえなくなった。  同時に頭痛が・・・。

「 今のは白昼夢か? 伝承の年代とも合わんしなあ。

やっぱり、熱中症かも。早く帰って、寝よ!」

 纒向石塚遺跡の丘の上を心地よい悠久の風が吹き渡っていた。

 

 (内容はフィックションです。)

 

 



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