大阪市阿倍野区の女子校、私立明浄学院高校の保護者らが学校法人の理事会が正常な学校運営を阻害しているとして、全理事の解任を求める上申書を25日、所管の文部科学省に提出する。24日には、大阪府教育庁に同校の保護者会を開くよう指導を求める要望も出した。同校では3月末に教職員計18人が退職するなど混乱が続いている。

 複数の同校関係者によると、3月末に退職したのは当時の校長、教頭を含め、教員17人と事務職員1人。勤続30年以上のベテランも複数人含まれていた。

 背景には同じ学校法人が運営する併設校の大阪観光大学(大阪府熊取町)の経営悪化があるとみられる。複数の医療法人に資金支援を打診した結果、理事会のメンバーが相次いで代わり、2015年から今年6月までに4人も理事長が交代した。

 そうした中、理事会側から老朽化した校舎を取り壊し、高校の土地を売却して移転させる計画が浮上。ある教員は「学校は高級住宅地にあるので、土地は50億円以上で売却できると聞いた」と話す。

 移転案に対して教員らは反発。昨年9月には教員34人が現在の場所での高校存続を求める署名を理事長宛てに提出した。

 今年7月、高校の半分ほどの土地分について登記簿上に売買契約の仮登記が打たれたことが発覚。一部の保護者らが状況説明の保護者会を開くよう理事長らに求めたが実現していない。

 24日、府庁で会見した保護者の男性は「募集人員を90人減らした来年の募集要項を入手したが、これも学校からは説明がない。教員も知らないという。こんな状況はおかしい」と話した。

 4月に就任した理事で同校の絵面功二校長は取材に対し、校地の売買について「老朽化で校舎の建て替えが必要。収容できる生徒数に対して4分の1ほどしか生徒がいない。使われていない校舎もある」と説明。教員の大量退職については「私の臆測」とした上で、「学校の改革についていけない人がやめられたんだろう」と話した。

 明浄学院高校は1921(大正10)年に開校。吹奏楽部やバスケット部などは全国レベルで知られる。(伊藤喜之)

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